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中年オヤジ異世界に行く。  作者: もりびる
6/6

6「おっさん、プライドと戦う」

 小説って・・言葉選び難しいですね(泣)

-翌朝、宿屋で朝食を済ませ、ズタ袋を手にして中央広場へ向かう。


 収納を使おうか迷ったが、この世界にとって珍しいスキルだったら面倒だし、賢者とかに知られて引き戻されたりしたら最悪だ。


 馬車が来るまで時間はまだ早いが、もし乗り遅れたら次の便へ乗るお金を払う事が出来なくなる危険性があるので、ベンチに座り待つ。


 待つ間暇かと言われればそうでもない。

 行き交う人や馬車を見つつ、昨日と同じ売店に居るお姉さんの秘密を知ってる俺は、色々と妄想TIMEに入ってるので時間の経過は早かった。


 暫くすると時計台の鐘が鳴り、馬車がやって来た。


 馬車と言っても豪華ではない、西部映画とかで見た幌馬車だ。


 「"タリウス"行きの運行便がでまーす!切符をお持ちの方は来てください!」


 切符売り場のお姉さんがそう言うと、ゾロゾロ人が集まって来て切符を渡し、馬車に乗り込んでいく。


 お姉さんは俺の切符を受け取ると


 「2台目がもうすぐ来ますので、そちらへ乗って下さい」「あ、来ましたね、どうぞ乗って下さい」


 俺は冷静を保ちつつ返事をし、2台目に乗り込む。

 お姉さんありがとう、貴女のムフフな秘密は誰にも言いませんので安心して下さい。と、心に誓う。


 馬車の席は横向きの長椅子があり、3人×2で、1台につき最高6人乗り、俺は酔ったら怖いので1番後ろに座る。


 客は全員男、鑑定してみると商人や農民、冒険者など様々だった。


 そして、ズタ袋からクッションを出し座布団代わりに敷いて座ってると最後の客が入って来た。



 「すみません、手を引いてもらえますか?」


 

 その男は白衣装で、帽子も白く、神父か司祭とかだろうか、満面の笑みで俺に手を差し出してきた。

 

 鑑定すると司祭と判明した。

 司祭は自力で上がれないのだろう、何故ならその男はかなり太っているからだ。


 俺は手を差し伸べると司祭を引き上げ、その際に鑑定スキルで色々と分かったが、外見はともかくこの司祭、真面目で忠実な教徒みたいだ。

 

 司祭は俺に礼を言うと、持っている手ぬぐいで溢れる汗を拭いているが、汗は止まらず、既に衣服も濡れている。


 正直、見ているだけで暑苦しいが、こればかりは体質なので仕方無いよな~とか思っていると馬車が動き出した。


 馬車は大通りをゆっくりとした速度で通り、そして、大きい門をくぐり抜けて行く。

 目の前の司祭は手ぬぐいを馬車の外に出し、濡れ雑巾の様に絞ると大量の水が地面に落ちる。

 (どんだけの汗の量だよ・・)


 街を出るときに、チェックとか顔見せとか何らかの通過規定があるのかな?

 と、思っていたが何も無く、そのまま門を抜け外に出た。

 


 『呪』

 


 出た瞬間に俺の心臓がキリキリ痛み出した。

 まるで3年間付き合った彼女にフラれた時の様に、、、いや、その時よりも痛い、鼓動も早くなってるし、何だコレ!


 とっさに自分を鑑定してみると


 【ラファトスの呪い】

 詳細:術者ラファトスが定めた範囲より出ると発動する呪い。

    発動するまで如何なるスキルでも判明出来ない。

    オリジナルスキルの為スキル"解除"使用不可。

 効果:発動後、数分で"死亡"する。

    呪いをかけられた者は術者より遠ざかりたくなり発動を受けやすくなる。

 解除方法:神の使途が保持する体液を服すれば効果は打ち消される。


 

 城を出る際に杖で「祝福を」とか言って呪いをかけやがったのかあの賢者!

 神の使途の体液とか、ああ、目の前に居る司祭は確かに"使途"の加護を保持していたが、体液とか想像したら何だ俺のアレで司祭のアレなモノから出た体液を飲めって事か?

 無理無理無理!そんなんだったら死んだ方がマシ!!!


 体液、体液・・汗も体液か?汗ならセーフだよな!セーフだよな!やばい、心臓の痛みが増していく、これはマズイ!本当にマズイ事態だよママン!!

 

 俺は前屈状態で心臓を手で押さえ苦しむ。

 顔から汗がしたたり落ち、鼓動が早くなっていき、まるで心臓を手で握られている様だ。

 その状態が尋常では無かったのか、司祭が「おお、どうしました、大丈夫ですか?」と尋ねながら肩に手を置く。


 俺は「すみませんっ!」と言いながら司祭の持つ手ぬぐいを奪い取り、その湿っている手ぬぐいを口に当てた。


 味とかそんなの気にしない、鬼気迫っている俺には体裁なんてものは皆無!チューチューと馬車内に響かせながら手ぬぐいから汗を吸い出し口の中に入れる。

 だが、理性とか今まで生きてきた人生のプライドとか色々混ざってすんなり喉を通らない!

 早く!早く飲まないと!時間が無い!!

 (これは塩水これは塩水これは塩水・・)

 自身に言い聞かせる、何度も何度も言い聞かせ・・

 

 『ゴクンッ』


 ・・俺は飲んだ。



 すると、心臓の痛みが和らいでいき、自身を鑑定すると"ラファトス呪い"は消えていた。


 

 「はぁ~、、、良かった」



 涙ながらに言い放つ俺。

 俺の行動に呆気に取られている他の客。

 完全にドン引きしているだろう司祭。





 ・・・・・・さて、どう説明しようかな。 

 

このおっさんが報われる日は来るのだろうか・・。

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