4「おっさん、ド○えもんになる」
自分の思い描く世界観を文章にするって意外と難しいですね(笑
-目が覚めると部屋は暗かった。
電化製品などは見当たらない殺風景な部屋。
・・どうやら夢では無かったらしい。
体を起こし、靴を履き、窓の外を眺める。
外灯は点いているが暗く、日本とは比べ物にならない程に閑散としている。
時間の分かる物や携帯電話を持っていないし、この部屋にも時間の解る品も置いていない。
(携帯や財布等は没収された)
俺は眠い目をこすりながらボーッとする頭で椅子に座る。
そして少し頭の中を整理しようと思い、2つ目に取得したスキル"鑑定"について考える。
・・他人の事がある程度分かるのなら、自分はどうかと。
部屋の鏡に自分を映して見る。
名前:佐々木樹
種族:人間
職業:異世界から来た人
スキル:【シュームガス】【鑑定】【異次元収納】
ん?異次元収納?
俺の中で「の○太くぅ~ん!」と何かが叫んだ。
【異次元収納】
説明:任意の場所に異次元を作り、モノを収納できる。
入る容量、大きさは本人のレベルに比例、生物不可、収納されたモノは時間が止まる。
「おおーーーっ!猫型ロボットキタコレ!」
目が覚めた!一気に目が覚めたよママン!
学生達にはバカにされ、賢者には優しい口調ではあったが半ば呆れられていた自分だったが、ここに来て一気に挽回した気分になった。
・・いや待てよ、何で賢者はこのスキルの事を言わなかった?教えてくれなかったのは変だよなぁ?
まさか、このスキルも一般的に珍しくは無いとか言うオチで言わなかったとかか?
まーいいか、とりあえず"収納"スキルを試してみよう。
俺は、試しに右手で金貨と銀貨を数枚取り出し、どこかの猫型ロボットを思いつつ、右のズボンのポケットに入れると硬貨が消えた。
次に、左手で左のポケットに手を入れると硬貨、しかもどの種類の硬貨が入っているのかが解る。
「・・不思議な感覚だな」
同様に、目の前の空間からも出し入れ出来た。
しかし、空間はすぐ消え、そこに硬貨を投げたら落ちた。
どうやら投げ入れる事は出来ない様だ。
何故、俺にはスキルが3つも有るのだろう?
「実は俺は真の勇者なのでは・・」
いかんいかん、学生達と同じノリになりそうだった。
・・まぁ、考えても仕方無いし、今はこのスキルでどう生きていくか考えよう。
次に"鑑定"を見てみると
【鑑定】
説明:この世に存在する物を測り見る事が出来る。
今はレベルが低いからある程度しか分からないけど、上がれば筋力とか魔力数値も解る様になるかも知れないな。
そして見てないスキル、シュームガスについては見ないでおこう、つか見たくない。
「鑑定と収納か、商人とか向いてそうだなぁ」
そう考えながら廊下に出て、1階に降りて行くと騒がしい。
1階は食事が出来るフロアなんだが、酒も出している様だ。
上半身裸のマッチョや、髪の長い超イケメン、ビキニアーマーを着ている女戦士など、冒険者らしい人達が酒を飲んで騒いでいる。
俺はカウンターに座り、お姉さんにここのお勧め料理を注文する。
出てきたのはボロネーゼ?みたいなスパゲッティとジョッキに入ったエール酒を出された。
正直、薄味で余り美味しくは無い、しかも肉が獣臭い。
(何の肉使ってんだろ・・)
習うより慣れろの精神で食事を済ませる。
そして酒を飲みながら宿の受付をしてくれた小太りおっさんと色々話をしてみた。
「聞きたいんだけど、地図って売ってるの?」
「ウチには無いが、道具屋にはあると思うよ、まー安くは無いと思うけどね」
「おー、あるんだ。あとさ、ここから近い別の国ってどこ?」
「ここからだと"ウィダー"だろうね、色々な種族が暮らしている国だけど、治安は余り良くないって聞いてるよ」
「へー、その"ウィダー"に行くには乗合馬車とかあるの?」
「ああ、あるよ。街の中央で切符が売ってるから、行くならそこで買うといい」
「なるほど、明日にでも見に行ってるわ、あんがとね」
久々に飲んだ酒のせいもあり、気楽に話すことが出来たが、この酒、アルコール度高くね?
部屋に入ると一気に眠くなり床についた。
(あー風呂入りてぇ)
翌朝、早い時間に目覚めた俺は部屋を出る。
昨日おっさんに聞いた道具屋に向かって歩いていると、既に開店している店が多々ある。
まだ7時位だと言うのにパン屋や花屋、露店までもが既に開店している。
この世界の朝は早いらしい、道具屋も開いていた。
中に入って色々見るか、触ったら買うとかのルールがあったら怖いので見るだけにしておく。
「何か探しモノはあるのかい?」
と、奥から老婆が出てきた。
「あー、地図とか売ってますか?世界地図みたいのなんですが」
「あるけど、見てみるかい?」
お願いしますと言うと奥からA4サイズの羊皮紙を出してきたので見てみる。
「今がここ首都"フェーブルアール"だよ」
ふむふむ、かなり大雑把な地図だが、自分が今居る場所さえ解らないよりはマシだろう。
つか、この国"シュテリア"って言うんだ、名前はかっこいいな。
「この地図、買いたいんですがいくらですか?」
「1ゴールドでいいよ、昔もっと高く売れたんだけどねぇ、最近は出回ったせいもあるのか、なかなか売れないからねぇ」
「そうなんですか、自分は旅するんで欲しかったんですよ」
俺は1ゴールドを渡し、道具屋を後にした。
地図に1万って高すぎんだろ・・・でもまぁ羊皮紙だし、印刷技術も低いんだろうな。
この世界の生活における文明度は低い。
"魔法"や"スキル"そして"魔道具"と言った反則的な技術があるせいで、それらを代用すれば事足りる生活が成り立っているのだろう。
そんな事を考えつつ、中央広場にある乗合馬車の売店に辿り付く。
お金は残り約8ゴールド持っている。
・・・・この国を出るのに足りるのだろうか。
ビキニアーマーをガン見してたのは間違いないでしょう。