表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中年オヤジ異世界に行く。  作者: もりびる
2/6

2「おっさん早くも脱落する」

 おっさんが臭いのか、臭いからおっさんなのか、うん、両方ですね。

-普通の家庭に生まれ、三流大学を出て中小企業へなんとか入社し、上司の罵倒に耐えながら仕事をし、もう少しで役職に手が届きそうな所で会社は倒産。


そして、半ば人生を諦めながら次への就職をハロワで探しながらのバイト生活。


そんな中、マンガや小説で良くある"異世界召喚"に巻き込まれる。


最初は少し期待していた「もしかして俺は選ばれたのかも?」なんて思っていた、時期がありました、はい。




それにしても"臭い"って何だよ・・・。




 聞くと、異世界から戻る方法は無いらしが、伝承によると魔界の長、"魔王"を討伐すると戻れるアイテムが手に入るらしい。

(らしいって何だよ、本当かよ)


 その後、地下の祭壇上から出て行き、賢者と鎧を着た騎士に連れられて部屋を出る。

 すると学生達がクスクス笑いながら「臭いって、ぶはっ」「何か臭わね?」とか小声で後ろに居る俺をチラチラ見ながら話していた。


 正直、殴ってやりたい衝動に駆られるが、聞こえていたステータスだけでも俺の数十倍は強い。

 殴り返されて即死パターンは嫌なので、ここは大人の我慢をしておく。



 暫く歩くと騎士訓練場へ案内された、そこには何故か鶏小屋が設置してあり、各自、剣を持たされた。


 「挨拶が遅れました、私は賢者ラファトスと言います、暫くは私が皆様を案内しますので宜しくお見知りおきを。」


 賢者そう言い、この世界でのレベル上げのやり方について説明する。


 簡単に言うとこうだ



「生きているものを殺傷する事で自身のレベルが上がる」



 うわ~、物騒だわ~、世紀末だわ~。


 そして今から鶏を殺傷してレベルが上がる体感をしろと言う。


 なんつ~リアルなアトラクションだ・・。


 俺達は戸惑っていると騎士が


 「こうやるんですよ、ほらっ」と言いながら1羽を剣で刺した。


 鶏はなんとも言い難い断末魔をあげ、動かなくなった。

 (まさかケン○タッキーの製造過程を体験するとは)


 学生の1人が剣を刺す、他の学生も流れで刺す。

 (何だろこいつら凄いな、順応力パネェ・・。)


 集団心理だろうか、俺も少し顔を背けながら刺す。

 30羽は居ただろうか、皆で1羽1羽に剣を刺して行くと体が少し暖かくなる感じになり、これがレベルアップなのかと体感で分かった。


 すると不思議な事が起こった。


 学生達は

 「音を消して歩ける魔法か、まぁクセになってるからな音殺して歩くの」

 「火の魔法か、業火で灰に出来るな!」

 「俺は水の魔法かな、スプラッシュとか」

 「防御魔法か、使えるのかこれ?」


 等と話し合っている。

 (何か1人ゾ○ディック家が混ざってるな)


 俺は魔法なんて使える手ごたえなんか無い、どうやらこの世界でも"才能"は無いらしい。


  「貴方も何か新たな能力が入りましたか?」


 賢者が問うが俺は


 「何も変わりません、魔法使えないんでかね俺」


 「どうでしょう、本人が気付いて無い場合もありますので、もう一度この水晶に手を 置いて診てみましょう」


 俺は手を水晶に置き、賢者の顔を見ていると顔色が変わった。


 こ、コレは俺にも何か素晴らしい能力が備わるのかもっ!と期待していると。


 「"鑑定"のスキルが新たに備わりましたね。スキルが2つ付加するのは珍しいですね、ですが"鑑定"のスキル自体は珍しくは無く魔法でも鑑定魔法はあるので何とも言えませんね・・」


 なるほど、またしても一般人レベルから抜け出せて無い訳ね。


 「試しにあの鎧を着ている騎士をを"鑑定"してみて下さい、名前くらいは分かるかも知れません」


 俺は騎士を見て"鑑定"スキルを使おうとしてみるが何も起きない。

 ジーッと騎士をを見ていると「ああ、見ながら知りたいと思って下さい」と言われその通りにすると。


 名前:ドミスタン

 種族:人間

 職業:騎士

 スキル:馬上ランス


 騎士のデータが一気に入って来た、ネトゲとかで画面にステータスが出るのを読むのではなく、脳に直接入って来ると言う、それは何とも言えない不思議な感覚だった。


 どうやら"鑑定"の能力は正常に使えるらしい。


「彼の名前は"観え"ましたか?」


 賢者に言われたが、名前以外も"観えた"ので言おうか迷う。


 「まぁ、普通は自分よりレベルや能力が高いと名前も解りません、簡単に言うと強くなれば解る範囲も広く、深くなるので、これからと言った所ですね。自分より強いか弱いかの判別をする程度のものと思って下さい、余り使い道はありませんが(クスッ)」


 「そ、そうですか、やっぱり何も解りませんでした。」


 何か賢者の口調が「こいつやっぱダメじゃん」な感じだったので黙っておこう。


 ついでに賢者も鑑定してみる


 名前:ラファトス

 種族:悪魔

 職業:賢者

 スキル:呪詛


 おいおい、何だよこいつ・・人間じゃねーじゃん。


 何か見てはいけないものを見てしまった気でフリーズしていると、学生達から


 「あ~あ、おじさんダメじゃん」

 「どうすんのこれからさぁ?」

 「何しに来たんだよ」

 「あえて言おう!カスであると!」


 等の言葉が俺のハートに突き刺さる。

 

 (来てねーーーよ!好き好んで来てねーーーーよ!ボケゴラァ!!)



 歯向かうと軽く昇天されるので、心の中で叫んでおく。


 その後、昼食の準備が出来ているとの事なので、食堂まで案内されながら訓練場を出て行く、騎士達を先頭に学生の後ろを俺、最後尾に賢者が歩いて訓練場を後にする。


 学生達が食堂に入ったタイミングで俺は振り向き、賢者に向かって


 「すみません、少しいいですか?」


 と言うと、食堂の手前で考えていた言葉を延べる。


 「すみません、私は他の方々とは違い、優れた能力もありません。召喚に巻き込まれたのだと思います。ですが、皆様を恨んでません。暫く暮らして行けるお金を頂ければ自分で何とかして行こうと思うのですが、如何でしょうか?」


すると賢者は少し考えつつも


 「それでよろしいのでしょうか?私としてはもう暫く鍛えてもらってからでも遅いとは思いませんが、、、少しお待ち下さい、王と話してきます」


 そう言うと足早に去って行った。


 俺は廊下で立って待つのも暇だが、食堂に入って学生達と食べる気にはならない、腹は少し減っていたが今の彼等と食事しても美味しく味わえないだろう。


 そうこう待っていると賢者が来た。


 「解りました、王からも許可を得たので、貴方は自由です。ですが、約束としてこの"召喚"の事は他言無用でお願いします」



 俺は即「勿論です、言いません」と言うと賢者が手に持った杖の先を俺の右肩にそっと乗せると


 「貴方に今後の祝福を」


 と言い、子袋を渡した。


 「貴方には迷惑をかけたと思います、少ないですがこれを」


 俺は子袋を受け取り、騎士に城の外まで案内された後、気になっていた子袋の中身を確認した。


 中身は金貨10枚と銀貨20枚が入っていた。

 

 この世界の紙幣価値や物価等は分からないけど思った。





 ・・・何か少なくね?







 読んでくれた方に感謝します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ