第1話【遠い夢の中】
夢を、見ました。小さな少女の夢を。長い白銀の髪の少女、青い瞳の少女の夢を。
泣いていたました。数多の人に囲まれて。泣いていたのです。
人々の顔に生気はない。大小問わずに身体中に発疹があり、体の一部が結晶化している者まで中にいる。
ひとりぼっち。慕った者たちは既に助かる見込みはありません。あまりにも呆気なく、残酷にも一人取り残されたのです。
そして、少女は。
昔父が発した一言の意味を、漸く理解しました。自分が普通でないことを、漸く理解したのです。
それを、目に見えぬ傍観者である私は、只眺めていることしか出来ません。これが私の過去ならば。私にあの時、声を掛けてくれた者など誰もいなかったのです。だけど─────。
夢の中の私に位、優しい言葉を掛けても良いではないですか……
未だに目覚める事の出来ない夢を見ていると、何処からか声が聞こえてきました。私を呼ぶ声が。耳から伝わるのではなく、直接頭に響くような声が。
姿なき声は、声だけは頭の中で響き渡るのです。何時もと同じ、なのに思い出せない声が。
遠い昔に聞いたことがあるような、全くないような声は、私を呼ぶのです。しかし、所々掠れる。酷い時には意味の理解できない雑音のみ。
『────は────の────』
肝心でありそうな部分が、全く聞き取れないのです。
何が、何なのか。全く、わからない。それがもどかしいと思いながら何度も繰り返してきた光景に仕方ないとも思う。
だが、最後に。目覚める間際に聞こえる物ならば、理解できる。
───ルチア
なぜならば、それは。
───ルチア・アレグリア
それは、私の名前────。
夢は幻に。幻は記憶に。記憶は現実となる。
私には、何処までが夢なのか、何処までが現実なのか。知る術はないのだろう。
だけど私は生き続ける。今の私には、それしか。それだけしか出来ないのだから。
ルチア・アレグリア(年齢不詳)
銀色の長髪。青い瞳。
旅する魔法剣士の端くれを名乗る女。
見た目はまだまだ子供と言われる程だか実際は違うらしい。子供体型を気にしている。
宝物は友に譲られた銀色の剣。鞘と柄に赤色の宝石が付いている事以外宝飾が付いていない、シンプルな物。