父の形見:上
ボチボチですみません…。
読んでくれてありがとうございます。
騒ぎに駆けつけた涼介によりなんとか収集がついた。
これでやっと、お昼ご飯が食べられる…。
昼食中に一仁さんとお互いに自己紹介を済ませ、世間話をした。
昼食の食べ終える頃、僕は一つの覚悟を語った。
「一仁さん、お願いがあります」
そう言うと、ものすごい笑顔でこちらを見る。
「お、なんだ?響くんのお願いなら大抵叶えちゃうぞ!」
真剣な話なんだけどな…。
「僕の苗字を狐塚に戻せませんか?」
「「え?!」」
そういうと驚いたのは
涼介と朱莉さんの二人だけで
肝心の一仁さんは先程の飄々とした雰囲気はなく
こちらを真顔でまっすぐ見つめる。
「狐塚を名乗るという事は要らない争いを招くぞ?」
確かに、その通りだ。
「これは僕の我が侭です」
狐塚への恨みを受け止めるため。
真意を一仁さんは理解しているようで悲しい表情をした。
「ま、仕方ない。にしてもお前は、博善そっくりだなー…」
父さんを覚えていない僕にはいまいちピンとこない。
「そういう、自ら茨の道を進むとことかな!」
そう言い爆笑してる。
ひとしきり笑い終わった後、真顔に戻り
「とりあえず、渡すものがあるから来てくれ」
この人の感情の起伏がよくわからないなぁ…。
「わかりました」
「じゃぁ、私たちは先に行って待ってるわねー」
「え?どういうこと?あ、おい…姉貴待てって…」
朱莉さんと涼介は出ていくのを見守り、一仁さんが立ち上がったので付いて行く。
何を渡されるんだろう?
もうー、なんでもありだなぁー。
一仁さんの書庫?に地下へ続くエレベーターがあった。
「はぁ…地下って…なんで作ったんですか?」
「ん?ロマンだ」
「は?」
「地下基地つったら漢のロマンだろ」
さいですか…。
そのまま地下に着くまで漢のロマンについて語られたが全て聞き流した。
エレベータが止まり、さっきまでと打って変わって無言のまま歩く一仁さん。
一直線の通路をメインに分かれ道がいくつもある。
歩き続けるとメインの道に大きな扉があり、一仁さんが開け中へ促される。
そこは武器庫?のようで、刃物系だけじゃなく重火器なども置いてある。
「なんですか、この物騒な部屋は…」
「武器は漢のロマンだろ!」
「確かに」
「お、わかるか!!」
ゲームなんかで見るような物がたくさん置いてある。
「まぁ、ここじゃないがな。こっちだ」
そのまま奥へ行くとダイヤル式の小さな金庫だけ置いてある。
金庫を開け、中にあったものを僕に手渡す。
「ほれ、博善の形見」
こいつ、投げやがった。
「投げないでください」
卓球の玉より1回り大きいくらい?
中には桜の一本あり花びらが落ちて行っている景色が
3D動画でも見ているような…でも、すごく懐かしさと同時に悲しさを感じた。
「『まるで、故郷を思い出してる様な感覚』だろ?」
「え…」
「博善がそれを見ながらいつも言ってたんだよ」
確かにそうだ。見ていると懐かしさとと共に、ひどく切なくなってくる。
「これはなんですか?」
「さぁ?ただ、博善はそれを刀にして戦ってたぞ」
「え?!」
「狐塚の秘宝をパクったらしいかなぁ!」
ドヤ顔しながら親指立ててこっち見んな…。
「まぁ、あいつも狐塚だ!身内のもんだし。そんな問題ないだろ!」
いや、問題だし…盗難に身内関係ないし…励ましたつもりなのかこのおっさんは。
「これが父さんの形見なんですか?」
念のため、もう一度確認する。
「おう!」
父さん…盗難品が形見って…ちょっとつらいよ…。
話しをどんどん進めたいだけどなぁー_(:3 」∠)_