橘父のロリコン疑惑
「おかえりなさいませ、一仁様」
俺は使用人数名に迎えられ手を上げそれに答える。
「ただいま、子供たちは?」
「響様の部屋に居ます。会われますか?」
「頼む」
使用人の一人が「では」と答え部屋へ案内される。
ここ数日の出来事を聞き仕事を補佐に放り投げてきた。
博善の嫁が狐塚に殺され、娘?息子か?を保護したこと聞かされた。
俺と博善が懸念していた、
こんな日はできれば来てほしくなかっただがなと、自嘲気味笑ってしまった。
久々の我が家でゆっくりしていたいがそうはいかないらしい。
博善の息子にどう接して良いかを考えるうちに使用人が立ち止まった。
「こちらの部屋です」
そういい、俺の後ろへと下がる。
「ありがとう」
さて、とりあえず我が愛しの子供たちの久しぶりの顔を見るか!
張り切ってノックをし、ドアを開ける。
「た…ぁ?」
子供たちは見当たらず、黒いワンピースの少女が
マフラーを手に取り見つめている。
俺はそれを見て固まった。
顔は童顔で、美人よりの可愛さがある。
町を歩くだけで、誰もが好感と保護欲を掻き立てるだろう。
さらに、少女と思えるその子は女性としての曲線ははっきりしている。
これだけであれば、発育のいい美少女として一仁は普通に接したであろう。
しかし、少女の長い年を生きた人がふとした時に見せる哀愁に満ちた雰囲気と
子供の見つめる母の様な優しい微笑みを見てしまった。
その少女が俺に気付いた様で、こちらを見つめる。
その瞳にも、驚く。
薄い金色の瞳が、光の反射によって赤く見える。
ピンクゴールドとはまた違った不思議な色をした瞳だった。
「あの、何かご用ですか?」
その声を聞き、我に返り
「結婚してください」
そう俺は土下座した。
とりあえず、着替えようかなっと僕がベッドから立ち上がる。
突然、ノックと同時に使用人が2人入ってきて「失礼します」と言い。
お湯で全身を拭かれ、髪を梳かされ、例の黒いワンピースに着替えさせられた。
これを濁流のような勢いで素早くこなされ気付いた時には、
「失礼しました」と言い去っていった。
「はぁ…」
全身を拭かれたのは羞恥だった。
もう二度とされたくない…。
テーブルにマフラーが綺麗に折りたたまれていたのを見つけ、手に取る。
ぼんやりと夢の事を思い出す。
はっきりとは思い出せないけど、母さんと話してお礼を言ったのを覚えている。
「死なないで」そう言われたこと思い出す。
本当にありがとう、母さん。
そんな考えごとをしていたせいか、誰かが扉を開けこちらを見つめているのに
気付かなかった。
少し恥ずかしかったが何かの連絡かもしれない。
「あの、何かご用ですか?」
そう聞くと、唐突に
「結婚してください」
人生初のプロポーズである。
え?どういう?え???
「まだ、15です!!!!!」
断り方をわからない、僕にとってはこれが精一杯だった。
…僕は何を言っているんだろう。
バっと立ち上がりこちらに近づき、両肩に手を置かれる。
人はパニックではそうそう失神できないようだ。
「なお、よし!!!」
近くで大声を出され、もう訳が分からない。
「うぅ…」
自然と涙が溢れて僕は目を瞑った。
「痛だたたた!!!!痛いって!!!やめなさい、朱莉!」
突然、さっきの男性が叫ぶ。
恐る恐る、目を開けると朱莉さんが
後ろからアイアンクローしてた。
アイアンクローとは、基本掌で顔面を掴むもので握力でダメージを与えるもののはず。
「お父様?その病気最近治ったのではなかったんですか?」
「さぁ?あ、…」
朱莉さんのお父さん?が答えた瞬間開いているドアの方へ
掴んだまま片手で投げた。
何なんだろう、この家族。
不動産屋探そうかな…。
朱莉さんは割と力持ちです!