おはよー
ぼちぼちやってきます。
誤字修正
ぼんやりした意識の中、少し離れたとこから
人の話し声が聞こえてきた。
内容はあまり聞き取れない。
ふかふかしたベッドの中だろうか?
ボーッとしながら話し声を聞いていると聞き取れるようになってきた。
「あ、あのー、朱莉様?昼食の準備が…」
「え?そ、そうね。えぇ、涼くんも行くでしょ?」
「姉貴…誤魔化せてねーよ…」
「それに!お父様ももう着く頃でしょ!行きましょう!!!」
「声でけーよ。響が起き…「うるさいなぁー…」」
あまりにも、うるさい。
体を起こしながら
「うるさいなぁー…」
と言ってしまった。
ここはどこだろう???
「響(ちゃん)!?」
「おはよー」
ボケーっとしたまま、とりあえず挨拶をした。
「おま、おはよーって…2日寝てるし、今昼だし…」
耳を垂らしながら目を軽く擦る動作が
あざといと涼介は悶えそうになる。
パシャ!パシャ!!
再び、ゴツいカメラで撮りだす朱莉。
「あのー…昼食……」
「あぁ、何度もすまん…。おい、姉貴!」
「ちょっと待って!今いい絵が撮れてるの!!」
涼介は毎秒数枚どころではないペースで
撮り続ける朱莉に呆れていると
キュー…、と小さな音が聞こえた。
お腹に両手を当てながら
「お腹すいたー…」
このセリフ、この動作あざとい。
わざとではないだろうか?そう考えながら内心で悶える涼介。
「そうだな…。えーっと、山田さんだっけ?響の分の昼飯ある?」
「…そうですね、コックの方に聞いてみます。それと、私は佐藤です」
「すまん…。じゃぁ、頼むよ。佐藤さん…」
「分かりました。では、ご用意ができましたら、また伺います」
使用人は頭を下げ、退室していく。
だんだんと頭が働くようになってきた。
でも、今の状況は全然わからない。
「あの、なんで朱莉さんは僕のこと撮りまくってるの?」
「可愛いから!」
頭を抱えそうだ。なんで、こんな状況なんだろう?
「響、大丈夫なのか?お前昼飯食べれるのか?体大丈夫か?」
すごい焦って聞いてくる涼介の対応がわからない。
「え?うん、大丈夫、あと物凄くお腹すいてる」
涼介が安心した表情になった。
「それはよかった…姉貴そろそろやめろって…」
「そうね~もう十二分に撮ったわ~」
朱莉さんは相変わらずの様子で余計に状況が掴めない。
「…それと、あれからどうなったの?」
「あー…響、お前あれから2日間ずっと寝てたんだよ」
「え?は??えぇ?!」
慌てて日付を見ると12月になってる。
「…葬儀は?」
「……」
「あとは火葬だけよ。響ちゃん」
涼介が言葉に詰まってるのを見かねて
朱莉さんが答えてくれた。
「そう…」
「火葬の時間だけは伸ばしてもらったの。その、言い難いけど
…損傷が激しくて……ごめんなさい」
「気にしないで、朱莉さん。
僕がこんなふうになっちゃったのが悪いんだから…むしろ、ありがとうございます」
「響ちゃん…」
パシン!!
大きく音が響き、音がした方を向くと涼介が自分の頬を叩いていた。
「とりあず、飯だ!!」
「そうね~、でも。その前に、響ちゃん着替えは
そこのタンスの自由に使ってね?
後で、響ちゃん専属の使用人も紹介するから」
「え?専属のって!!そんなのいいですよ!!
居候させてもらえる上にそれじゃぁ…」
僕はそんな面の皮が厚いやつじゃない。
むしろ、使用人として置かれてもおかしくない立場だ。
「組織のトップだった人の娘、次期リーダーの可能性がある人を
ぞんざいな扱いができるわけないでしょ~」
「え?そんな、次期って朱莉さんや涼介が居るじゃないですか」
「私達、橘家はね。響ちゃんのお父様が残したものを預かってるだけなの。
だから、娘である響ちゃんに返すだけなのよ~」
「えぇっと…」
「んー、わかりやすく言うとー。橘家の財産の半分の譲渡と
組織の指揮権返却かな~」
「は、い??」
え?つまり、気づいたらセレブの仲間入り?
わーい。って思えないよ…。
宝くじに当たったって方が実感湧くよ…。
「もちろん、拒否権はあるわよー指揮権の返却だけ」
「財産の方は強制なんですか…」
「うん、そもそも名義でそっちに流してあるはずよ?
口座はこちらで預かってるだけでね~」
「それは父さんのですか?」
「そうよー、貴女のお父様とお母様が残したものよ。大事にしてあげて」
「…はい」
そう言われれば断れない。
「でも、指揮権の話しは考えさせてください」
「はーい。じゃぁ~これでお話は終わりね~。
お昼食べるのよね?私達も部屋に戻るから着替えててね~」
「ありがとうございます」
めまぐるしい程にいろんなことが起こるなぁ。
でも、なんとか付いて行こう。
朱莉さんが部屋を出ると、涼介も後に続く。
「あ、涼介」
「ん?」
ドアに向かう涼介を呼び止める。
立ち上がって、涼介に近づく。
「大丈夫か?ふらついてるぞ…」
「寝起きだしねー」
側まで近づき
「涼介が居てくれて嬉しいし助かってるよ。ありがと!」
僕は涼介への感謝の気持ちをそのまま言葉に出し伝えた。
響は涼介を萌え殺す気です。
殺人未遂事件ですね。
次回は橘父が出ます。