橘姉弟
お久しぶりです。繁忙期にて、忙しく書く余裕もストックもありません!かなりの日数を空けてしまい、ごめんなさいm(_ _;)m
もう少しで余裕も出てくるんですけどね…
涼介はカーテンの隙間から差す朝日に気づき、
「あれから何日たったっけな…?」
奏士との一件から響は今まで目を覚ます気配がない。
コンコンとノックする音の後、数秒の間を置き朱莉が入ってきた。
「涼くん、あれから2日間ずっと側に居るの…?少しは自分の部屋で休みなさい…。
響ちゃんが起きたら知らせるから、休まないと今度は涼くんが倒れるからね…?」
薄暗かった部屋のカーテンを開け、悲しそうに朱莉はつぶやく。
「もう少ししたら、戻るよ」
「昨日もそう言ってたって使用人に聞いたよ?
部屋に戻ってないんでしょ…。休みなさい」
涼介はベッドで眠る響から目をゆっくり離し、しぶしぶ椅子から立ち上がり部屋を出て行く。
「姉貴、響が起きたら俺が寝てても叩き起こしてくれ」
「わかったわ。起こすから涼くんも寝ててね?」
涼介が部屋から出て行った。
部屋を出る、この部屋は響に割り当てるつもりだった。
「まさか、最初に使うのがこんな状態か…」
涼介は自分の無力さが嫌になってくる。
響の母が死んだ日、狐塚からの各地に襲撃があり
響の家も襲撃されてることに気づく頃には遅すぎた。
奏士との一触即発の状況での会話に手一杯で響のことを朱莉に任せきりだったことや
狐塚に武田家が襲撃を受けたことだけしか知らなかったこと。
全部、詰めが甘い自分が招いたことだ。
「っ!!」
怒りのあまり、叫びそうになるのを必死で抑え自室に向かう。
「ふぅ…」
涼介が出て行くのを確認し、朱莉は思わずため息をついた。
「響ちゃん…、ごめんなさい」
ベッドに近づき、響の手を握る。
「私のせいで…ごめんね?響ちゃん…」
無力だった、世界中でいろんな事を経験し地盤も整い権力も大きくなった。
それでも、響を救うことはできないだろう。
悔しくて、何も言えない。言葉にできない。
でも、この子だけは救いたい。助けたい。
「響ちゃん…」
涙が頬を伝う感触で自分が泣いていることに気がついた。
朱莉は十数年ぶりに泣いた。
「母さん…」
小さな呟きは時計の針が動く音以外しない
静かな部屋の中で大きく響いた。
泣き疲れて寝てしまった朱莉が目を覚まし、
慌てて時間を見る。6時間くらい経っていた。
「なん…で…?」
辛い夢なのだろう…、寝言を言いながら泣いている。
ドアのノック音と共にドアが開く。
「姉貴、響の様子は?あと昼飯食べるだろ?」
「さっきから寝言を言っているから眠りが浅くなってるはずよ。
お昼はもう少し後で食べるわ」
「起きるといいな…」
「ええ…」
姉弟は響が早く目を覚ますことを祈る。
「姉貴」
「なに、涼くん?」
「俺は何があっても護ろうと思うよ」
「そう…」
「俺にできることなんて、全然ないけど。
これが今思いつく精一杯の考えなんだ」
「そうね…私は傲慢かもしれないけど救いたいわ…。
それとね、涼くんは響ちゃんと自分の両方を護りなさい」
「それ無理じゃね?」
「それでもよ。涼くん、響ちゃんにまた大切な人を失わせる気?
涼くんは、響ちゃんの親友なんでしょ?」
「あぁ……そうだな。なんとかやってみるよ…」
「それでこそ、男の子!がんばれ~」
「へいへい…」
「…ありがとう」
ハッキリとした声が響いた。
姉弟はさっきの話しを聞かれたのかと思い恐る恐る見ると、
先程まで泣いていた響が眠ったまま、笑っていた。
涼介はその顔が可愛すぎて、フリーズ。
朱莉はすかさず、何処から出したのかゴツいカメラで連射している。
ドアのノック音と共に
「失礼します。朱莉様、涼介様、そろそろお昼です。
今日は一仁様も…え?????」
使用人の一人がこのカオス状態を目撃してしまった。
橘姉弟は、響LOVEです。
この後、グラウ・グリュックは響の親衛隊となる。
とは、限りません。