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灰色の狐  作者: fomela
第1章
12/24

買い物

僕が涼介の姉である『朱里(あかり)さん』の怖さに震えていると、

「ところで、(きょう)ちゃん?」

「ひゃい!」

噛んだぁ……。

「そんな緊張しなくてもいいのよ?」

「は、い…」

無理、絶対無理。


「それでね、さっき涼くんとも話したんだけど」

「え」

「したわよね、涼くん?」

「お、おう…」

涼介と朱里さんが全く噛み合っていない…。なんの話なんだろう…怖い。

「お買い物に行きましょう?」

「「え???」」

涼介と僕がピッタリ揃う。涼介、その話をしてたんじゃないの…?

「わ、息ピッタリ。仲がいいわね〜」

「それは、涼介とは長い付き合いですし…ってそんな事じゃないです!買い物って僕、この見た目で行くんですか!?」

涼介のなんか照れた顔してるのがキモいが、無視…この見た目で外に出たくないと主張する。

「あ、そうね〜。耳と尻尾の隠し方を知らないんだったわね〜」

「隠し方とかあるんですか!?」

「ええ、あるわよ?でも、1日やそこらでパッとできるものじゃないし…そうね!今回は特別に〜」

と、言いながらさっき空中に貼っていた御札とは文字?模様?が違うものを僕に近づけると燃えた。

「ひぅ!!!」

我ながら情けない悲鳴を上げる。

「おっけ~。これで尻尾と耳を誤魔化したわよー」

「え?」

姿見を見てみると耳と尻尾が消えてる。

あった場所を触ると、感触がある…なにこれ?

「それは視覚的に見えなくなってるだけで存在を消したわけじゃないの」

「それでも、これ…すごいですね…」

「ふふ、さぁ~!それでお買い物行けるわね~?」

朱里さんが微笑んで…いや、ニンマリした顔でこっちに問いかけてくる。

「そ、そうですね」

拒否できる選択肢を与えてくれない…。

「車はもう手配してあるの。行きましょ~」

「え?」

「姉貴…。響、諦めろ…姉貴はもう誰にも止められねぇ…」



日が沈み、冷え込む。

寒さに堪えながら、歩いていく人たちを見ながら僕はあまり寒さを感じていなかった。

着けている防寒具はマフラーのみ。あとは…ストッキング?

この二つのおかげで暖かくなっているにしてもワンピース、長袖だけど…ワンピースのみ。

なんで、これで寒く感じないのか自分でも不思議だな…。

と、物思いにふけっていると朱里さんが、

「着いたわよー」

「そうですね…」

朱里さんの行動力と、迅速さにもう何も言えない。恐怖しかない。

「響ちゃん、ここはね貴女が住んでいた町から車で3時間はかかる町よ。

そして、此処がこれから暮らすこの町、最大のデパートよ~。

涼くんや響ちゃんが行く、学校は寮生活になるからここを利用してね~」

「ちなみに、このデパートのオーナーがこの姉貴なんだよ…」

「え…」

「そうよ~。ぜひ、ご贔屓に~~」

「…はい」

もう、僕はどこへ行っても適応できそう。悟りの道が開けた。

「さて~、響ちゃんの服を買いに行きましょ~」



「朱里さん」

「なあに~?」

ここは無理です。悟りの道?僕には程遠かった。

「なんで?!なんで!ここが!最初に来る場所なんですかぁ!!!」

「大声で叫ぶと目立つわよ~。もう目立ってるけどねー」

「目立つとか目立たないよりも大切なことがあります…なんで…最初に…下着売り場なんですか…」

「まず、響ちゃんのサイズを測らないといけないの。でね、どの道ここに来るのだからスリーサイズも一緒に測って買っちゃいましょ?」

「それじゃ、俺、UFOでキャッチしてくるわ」

「まって、僕だけおいてくな!」

身長差が開いた涼介を見上げ、必死のあまり涙がでてきた。それでも、涼介の手を全力で掴んだ。

「響…俺がここに居たらそれは晒し者だ…俺に死んで来いと?いや、そんな顔…分かった…居ればいいんだろ…」

涼介は死を覚悟した戦士のように女性用下着売り場の中に入っていった。

僕は、赤面し涙目になっている。

それを放置して朱里さんが、

「定員さーん。この子のサイズ測ってくださいな」

「畏まりました、オーナー。サイズを測った後はこちらで下着を見繕いましょうか?」

「そうね、その中から響ちゃんが選んでね?」

「そして、僕に選ばせるの?」

「そうよ~。そこから私が見て、良いものだったら購入~」

「それ僕が選んでないじゃないですか…」

どうとでもなるがいいさ…。



「こんなもんかな~」

「…」

「響、目が死んでる…。俺も、直ぐそっちに行くわ…もう無理」

下着を計30着着替え、その中から10着を購入し朱里さんの使用人?に持っていってもらった。

そして、僕と涼介はベンチに沈んだ。

「ん~、思ったよりも時間かかっちゃったし。服は私が適当に買っておいてあげるから今日は帰りましょうか~」

そう言われ、時間を見ると20時前だった。

「そうですね。帰りましょう」

「いや、俺は腹が減った」

そういえば僕も何も食べていなかった。それを思い出すとお腹が減ってきた…。

「僕もお腹が減りました」

「そうね~。じゃぁ~フードコートに行きましょ?」



「俺はがっつりと、大盛り豚骨チャーシューメンの定食だな!」

「私は、あんまりお腹が減ってないからハーフチャーハンにするわー。涼くんついでにお願い~」

「おうよ。響は?」

「僕は…」

どうしようかなーっときょろきょろしていると甘いにおいに気づきそちらを見る。

「僕はたい焼き」

「たい焼きかよ!」

「だって、食べたい」

おいしいし、甘いし、鯛だし。

「涼くん~、細かいと嫌われるわよ~」

「お、おう。響、何個欲しい?」

「3"匹"欲しい」

匹を強調しながら僕は言った。

「3匹な…買ってくるわ」


「ほれ、熱いぞ」

「ありがと」

「俺たちは出来上がり待ちだから先に食ってろ」

「うん」

茶色い紙袋を受け取り、中から1匹取り出す。

触った感じはしっかりと焼けて硬い。

頭から齧った。表面のサクサクした感触から、ふんわりと柔らかな生地とともに甘いあんこが出てくる。

「おいしぃーーー」

パシャッ

「え?」

朱里さんがすごいゴツいレンズの着いた携帯で僕の写真を撮ってきた。

「ごめんなさい。あまりにも可愛かったから…これは永久保存版にするわ」

「……」

もう何も言うまい。

「涼くんにも送っておくね~」

「あざっす」

あぁ、たい焼きおいしいな~。

あと2匹あるとかすごい幸せだなー…。

僕は必死に自分を誤魔化す。



「さて、食べたことだし帰るかー」

「そうね~、もうそろそろ車も来る頃ね」

「満足…っ!!!」

食後、帰宅しようとしたとき

あの時…、母さんが殺された時にいた。黒いスーツの男が人混みの中で見えた。

「先に帰ってて」

見間違えじゃない、絶対にあの時に居た男だ!!!

「は?っておい!!」

「響ちゃん?!」

僕は黒いスーツの男まで一気に走った。

最近、ちょっと忙しいので1日1話はできないかもしれないです。ごめんなさい。

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