姉、こわい
仕事が少し忙しかったので投稿遅れました。ごめんなさい。
僕の身長は今いくつなのか。それが問題じゃない…確実に縮んでるんだよ!!
「よし、そろそろいいな」
「なにが?」
頃合だ、みたいな涼介のドヤ顔がムカつく。そして、身長を返せ。
「いやー、そろそろ姉貴が帰ってくるから紹介しようとなー」
「お姉さんいたの?!」
「おー、居る居る。海外飛び回ってるもんでな。そうそう会えないんだわ」
へぇ…なんか凄そうなお姉さんだなぁー。キリキリしてて怖い雰囲気でもあるのかな?とか、僕がボーっと考えていると、涼介の携帯が大音量で流れた。
「わっ!」
「おー、すまん。姉貴からだわ~」
「なんで、マナーにしないの?こんな静かなところで、その爆音はやめてよ」
「すまん、すまん」
物凄い平謝りをした後、涼介は電話に出ている。
「姉貴がこっち来るってさー」
「そう、わかった」
ちょっと緊張するなぁ…。
それから、涼介と談笑しながら待っていると、奥の扉をノックする音が聞こえ、
「はーい」
扉が開き、こちらに近づく足音。
「おかえり、姉貴ー。響ならこっちだ」
「涼くん、ただいま~。そして、響ちゃん。初めまして、橘 朱梨です。弟がお世話になってます」
僕たちのところまできて、すごい綺麗な姿勢でお辞儀してきた。
「あ…初めまして、こちらこそお世話になってます…」
あたふたしながら対応し、朱梨さんをよく見る。
すごいふんわりした優しい雰囲気に緩やかなカールの入った茶色い髪がとても似合ってる。
とても、涼介と姉弟には見えない…。
挨拶を済ませ、朱梨さんが固まった。
「涼くん」
「うん?どうし…って姉貴?!目が開いてるぞ!!何かあったのか?!!!」
どうして、目が開いたら驚くんだろう?
確かに、さっきまで柔らかい雰囲気と一変して、開いた両目で見られると
全部を見透かされてるような感じで少し怖いけどさ。
「何かあったじゃないよ、涼くん。この子、物凄く可愛いじゃない…このワンピースだって涼くんの話しから想像して選んだものだけど。選んだ私が言うものじゃないけど…ここまで似合う子は見たことがないよ」
ここに諸悪の根源が居たのか。この服は朱梨さんが選んだのか…。
「おー、確かにすげー似合ってるって俺も思ったわー」
「響ちゃん?」
「は、はい!」
涼介のことを完全に無視して、また僕の方を見る。目は閉じたように細くなっている…これが通常なのかな…。
「私の妹になりませんか?」
「え?」
何言ってんだろうこの人?
「いえ、間違えました。事情は涼くんから全部聞いていますし、こちらでも調べました。今後、女の子として生活するのであれば色々と物がいりますので、一緒に買い物に行きませんか?」
「え?えぇ、そうですね…。僕には何がいるのかわからないので…朱梨さんがよければお願いします」
「朱梨さんだなんて…これから一緒に暮らすのだから親しみを込めて『お姉ちゃん』と呼んで?」
何か拒めない怖さがある。すごく親しい雰囲気で話しくれてるはずなのに、拒めない…。
「……ごめんなさい、流石に無理です…」
「ふふ、確かに今会ったばかりの人に親しくできないものね。じゃぁ、今後の課題ね?」
「え…わ、わかりました…」
全然、諦めていない…。怖い、僕が諦めそうだよ…。
「涼くん、ちょっとこっちきてー」
「なんだよ、さっきからガン無視してたくせに…」
「?」
朱梨さんが離れながら涼介を呼び、文句を言いながらも涼介が付いて行く。
僕から少し離れた位置で白いチョーク?で円を書くと、
初めからそれを境にした円柱だったかのように空中に御札を張った。
「なんで、消音の結界張っての?」
「それは、もちろん。響ちゃんには聞かせられないから~」
「はぁ…んで、何の話なんだよ…」
「涼くん、響ちゃんと結婚しなさい」
「…はぁ?!」
「そうすれば、響ちゃんが必然的に私の妹になるの」
「妹にしたいだけなら、親父に頼んで養子にしてもらえばいいだろ…」
「涼くん、それは断られるかもしれないでしょ?それに涼くんはそれでいいの?」
「いいもなにも、響次第だろ」
「そうじゃなくて、涼くん。前に言ってた『理想の彼女』の見た目にぴったりじゃないの?」
「なんで知ってんだよ?!盗聴か?!!」
「内緒、そんなことより。そうじゃないの?って話しでしょ」
「そんなことじゃないって…姉貴、正直に言うと…」
「うんうん」
「どストライクです」
「おぉー、よく言えました~」
「だからって、昨日まで男だって思ってた響に突然それは無理だろ…」
「結界の理由はそれよ~。それで、『私の妹計画』に協力してくれるのでしょ?」
「くれる、くれないじゃないだろ…拒否権ねぇーじゃん…」
「さすが、涼くん~」
「ただし!無理やりなことはやめてくれ。今回はいくら姉貴でもやりすぎたら許さねぇ」
「あら~、既に夢中だね~。大丈夫よ、そんなことはしないわ。ただ逃がさないだけよ~」
向こうで普通に喋ってるように見えるけど、僕には一切の声が届かない。
読唇術なんて持ってないから、何を話してるのかサッパリわからない。
でも、話終わった雰囲気の中、チラッとこちらを見る涼介と朱梨さん。
涼介から可哀想なものを見る目でこちらを見ている。
朱梨さんは少し開いた目で、獲物を完全に捉えた感じだった。
それを見て、僕は何かを諦める必要があると覚悟をした。
身長のことなんて小さいことだった…。
涼介の姉、怖すぎるよ…。
設定のことで、ここが知りたいとかありましたら、言ってください。書き方が難しいのです。