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ぼやき

作者: 森村 杳

今回はコンビにの店員さんになりました。

 またあの夫婦が来た。

 いつも一緒に来る。

 こっちは仕事してるっていうのに。

 なにイチャイチャしてるんだか。

 買うもん買ってさっさと出てけ。

 まず、アイスを見るでしょ。

 次に冷食コーナー寄ってからお酒見て。

 ほら、パン見てる。

 いつも買ってって飽きないのかしら。

 お弁当は見たって買わないでしょ。

 今日はデザート買うの?

 どうせ温め物買うんでしょ。

 さあ、かご持ってきたわよ。

「いらっしゃいませ」

 目いっぱい営業スマイル。

「ポイントカードはございますか」

 持ってるの知ってるけどね、決まりだから聞く。

 ピッ、ピッ、ピッ、ピッっと。

 バーコード読ませて袋に入れる。

「17番と50番のタバコください」

 そらきた。

「こちらでよろしいですか」

 一応確認してバーコードを読ます。

「それと、アメリカンドック2つください」

 ほらやっぱりね。

「かしこまりました、温めてよろしいですか」

「お願いします」

 電子レンジに入れて。

「先にお会計よろしいですか」

「あ、はい」

「1520円になります」

 女のほうが金を出す。

「細かいのある?出そうか」

「大丈夫、あるから」

 どっちでもいいからさっさと払ってよ。

 先にアメリカンドッグ取って来たほうがいいわね。

「こちらご一緒にお入れしてよろしいですか」

「温かいのはこっちにもらう?」

「いいわよ」

 ごちゃごちゃ言ってないでさっさとしなさいよ。

「どうされますか!」

 やば、強い言い方しちゃった。

「なんだよその言い方、あんたムカツクな」

「やめなさいよ」

 女がとめてるけど旦那は怒ったみたい。

 ちょっとやばいかな。

「何かお気に障りましたか」

「ふざけんなよ、今の言い方はなんだよ」

「申し訳ありません」

「それに、なに睨みつけてんだよ」

「そんなことありません」

 やっぱりやばったかも知れない。

「やめなさいよ」

「こんな奴に馬鹿にされる覚えないんだよ」

 こんな奴ってなによ。

「馬鹿になんてしていません」

「ふざけるな、店長呼べ、店長」

 あ~あ、完全に怒っちゃった。

 めんどくさい。

 この夫婦しょっちゅう来てるからまずかったかな。

「なにかございましたか」

 やば、店長来ちゃった。

「この人、ムカツクんですけど」

「何か失礼を致しましたか」

「言い方きついし、睨まれるし、俺は客だよ」

 出た、必殺の自分は客攻撃。

「私、そんなことしていません」

 冗談じゃないわよ、客だからってなんなのよ。

「従業員が失礼をしたのなら、私が謝罪いたします」

 店長、頭下げちゃった。

 なんでよ、私が悪いみたいじゃない。

「いや、お宅にのせいじゃない、あの店員の態度が気に入らないんだよ」

「判っています、私が責任を持って理解させます」

「お宅がそう言うならしょうがない」

「ありがとうございます」

 店長ったら、また頭下げてる。

「もういいでしょ、買いに来づらくなっちゃうよ」

「判ったよ」

 私を睨みながら店を出て行く。

 こっちこそムカツクわよ。

「またのご来店をお待ちしています」

 店長は深々と頭下げてるし、怒られるのかな、でも私が悪い訳じゃない。

「塩田さん来て」

 やっぱりね。

「はい」

 店長に促されてバックヤードに入る。

「私、失礼なことはしていません」

 先制攻撃だ。

「そうですか、では何故お客様が怒ったのでしょうか」

 えらい冷静ね店長。

「判りません、虫の居所が悪かったんじゃないですか」

「塩田さんはずいぶん怖い顔をしてましたね」

「あのお客さんが急に怒り始めたからです」

「いいえ、レジを打ってるときらでした」

 え、ずっと見てたの。

「それは、レジのところでもたもたしてたから・・・」

「塩田さん」

 おわ、店長まじ顔してる。

「はい」

「お客様に対する態度ではありません、貴方は前にもお客様を怒らせていますね」

「それは」

「お客様が悪いのですか」

「いえ」

 さすがにやばいわね。

 店長の顔、怖くて見れない。

「私たちは店員です、お客様と対等ではないんです」

「はい」

「前にも同じ事を言ったと思います」

「はい」

「理解してもらえますか」

「はい」

 ここは素直に返事するしかないでしょ。

「反省してください」

 そう言って店長は店に戻って行く。

 なんでよ、私のどこが悪いっていうの。

 お客が勝手なだけじゃない。

 店長だって、私のいうこと何も聞いてくれないで、冗談じゃないわ。

 ああ、腹が立つ。

「塩田さん、大丈夫?」

「あ、川村さん」

「店長に怒られたの?」

「そうよ、私の話しを聞きもしないで」

「あのお客様、どうして急に怒ってたの?」

「レジの前でもたもたしてたから、ついきつい言い方しちゃったのよ」

「それは、失敗だったわね」

 何?この女も客の見方?

「私もたまにあるわ、スーパーで買い物した時とか、お会計してるのに旦那が後から商品持って来たりとか、塩田さんはそういうの無い?」

「たまにはあるけど、タイミングだからしょうがないわよね」

「同じ事じゃない」

「何が?」

「さっきのお客様」

「違うわよ、あんなの一緒にしないでよ」

「そうかなあ、同じだと思うけど」

「川村さんもあっちの味方なんだ」

「味方とかじゃなくて、仕事って割り切ってるだけ」

「大人ね」

「お給料もらってるし、お客様とは立場が違うもの」

「客だからってえばられる必要無いと思う」

「そうかな……、そろそろ行くわ、店長に怒られちゃう」

 そう言って川村さんは店に戻った。

 なによ、みんなして、本当に今日は頭に来る。

 冗談じゃないわよ。

「塩田さん、今日はもういいですよ、帰ってよく考えてみてください」

 店長に言われて私は店を出た。

 ほんっとに腹立つわ。

 夕飯の買い物でもしましょ。

 近所のスーパーに寄って買い物をした。

 レジに並んで会計の順番を待つ。

 やっと順番が来た。

「お会計は1250円になります」

 何?

「ちょっと高いんじゃない」

 コンビにの店員なめないでよ、計算したんだから。

「お待ちください」

 店員がレシートを出して金額を調べる。

「お間違いありません」

「なんでよ、これとこれが半額でしょ!」

「申し訳ございません、こちらは3割引になります」

「何いってるの、半額のシールが・・・」

 貼ってない、確かに3割引きだわ。

「私の見間違いね、でも、客に恥かかすことないじゃない」

「申し訳ございません」

「店長を呼べ」って言いけど、言えない。

 自分で見間違えたんだから。

 あああ、今日は何もかも駄目な日ね。

 これじゃ私も嫌な客じゃない。

 今日はさっさと家に帰りましょ。

 これ以上嫌な思いしたくない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] コンビニの店員の悲しい気持ちが伝わる。 確かに理不尽な客てのはいる。こっちは悪くないのに頭を下げないといけない悔しさ。客が悪いのにそれを誰にも注意されない理不尽さ。 [気になる点] とはい…
2011/06/03 13:09 退会済み
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