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その宇宙船

作者: 雉白書屋

 宇宙。そこは人を惹きつけてやまない謎とロマンに満ちた世界……。しかし、同時に危険も付き纏う、果てなき迷宮……。

 宇宙と聞くと、中には星々がまるで外灯のように我々の行く先を照らしてくれていると思う者もいるかもしれないが、実際はヨツハシデンキの電球のように明るくはないし、そんな考えはこのオオタ製菓のグミのように甘い。

 地球を飛び立った我々、エヴァースリー号の乗組員は常に不安を抱えながらも、暗き航路を突き進んでいた。


 そして、ついに……ついにその時が来たのだ。

 人類史上初、地球外知的生命体が存在する新惑星の発見である。

 我々が降りた地点。そこからこのニコラのカメラで撮影した画像を見ていただきたい。この惑星の原住民だ。我々を警戒してか、彼らはかなり遠くにいるのだがズームで撮影してもこの解像度。彼らの模様のひとつひとつまでも鮮明に収めることができた。

 まったくもって素晴らしい技術力である。……しかし、我々には残念ながらSF小説に出てくるような翻訳機の類はない。このイペリアのスマートグラスに搭載されているAIを用いた翻訳機能は全世界、どの言語にも対応し瞬時に翻訳し、全く違和感なく自然な会話を楽しむことができるのだが、さすがに彼らの言語まではインプットされていない。

 が、しかし、AIには学習機能があり、もしかするとこの惑星に滞在中に彼らと会話することができるかもしれない。

 その期待を胸に抱きつつ、手筈通り、まず彼らに贈り物をするとしよう。と、どんなものを贈るのか気になるだろう。当然だ。ファーストコンタクトが大事。彼らと友好的な関係を築けるか、ここにかかっているのだから。さて、まず最初にご紹介するのは――





「なあ、なあ」

「ん?」


「あいつらさ、何してんのかな」

「わかんね。こっち見て、物を広げ始めたと思ったら、こっちを気にせず、ずっと喋ってら」


「あいつら空から来たよな。あれ、乗り物だよな」

「ああ、でもあれ、なんか汚らしいというか、嫌いだな」


「だな。なんだろうなこの気持ち」

「おなかいっぱいって感じだ。見たくないな」


「みんなにもそう伝えよう」

「だな、行こう」



 さて、彼らと接触する前に一つ、これだけは申し上げたい。

 我々、エヴァースリー号がここまで来れたのは、地球のスポンサーの方々のお陰であるということを。乗組員一同、心の底から感謝しております。

 ご覧ください。隕石群に突入したのにもかかわらず船体が無事だったのも、まるで護符のようにスポンサーの方々の広告が我々をお守りくださって、そして――

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