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第一章の1
不定期連載です。最後まで続けられるように少しずつ書き進めて参ります。よろしくお願いします。
のりとひめのみことは男児でありながら巫女の出立ちであった。
幼子にはいつも一人の青年が付き添ってそばにいた。青年の名はアツシ。
アヅキアシカヅチノミコトと言う。
彼もまた神の名を名乗り、天に仕えし者。
幼きのりとひめはアツシ青年について行く。
みそぎの時間のようだ。
岩を登り水辺に出る。辺りには人影は無く、獣も無い。
水は滝のように流れ出て流れて行く。
そこは泉のようになって流れて行く。
のりとひめは白装束のまま、そこに入る。
アツシ青年はうたを歌っている。何とも涼やかな音色で。
水音だけが響く中を美しいうた声がすり抜けていく。
彼がうたうのは、あまのうた。
続きます。