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第97話 ダンジョン配信 青鬼戦 終

 ミコト生徒会長は地獄で交わした話を思い出した。


 彼女が目を覚ますと、地獄ではたくさんの雷鳴が響き渡っていた。

 突然、雷神の声が聞こえた。



「お前の魂はすでに壊れかけている…。きっと、数年もすればお前の魂は砕けてしまうだろう…」


「はい、わかっています…」



 それを聞いて、生徒会長は悲しそうな顔をしていた。

 彼女は雷神に尋ねた。


「ずっと、私はあやかしの幸せを願っていました。それは間違っていたのでしょうか?」


「知らぬ…。ただ、お前の魂からは陰陽師の力を感じる。それなのに、どうしてそんな絶望に埋め尽くされているのだ?」


「弟があやかしになってしまったのです…」


「お前の魂は美しい。きっと、歴史に名を残す陰陽師になれるだろう…」


「そんなことは望んでいません…」


「では、ワシの望みを叶えてはくれないか? そうすれば力を貸してやる。これは契約だ。どうだ、契約をしないか?」




 雷神が提案をしていた。

 その姿をミコト生徒会長がじっと見つめていた。





  ◇  ◇  ◇





 ミコト生徒会長が地獄での記憶を思い出していると、目の前で少女が泣いていることに気が付いた。

 そっと、少女の頬に手を触れ、落ちてくる涙をぬぐった。




「大丈夫。何も気にしなくていいわ…」

 


「でも、怪我をして…」



「このぐらいたいしたことないわ。ねえ、どうしてこんなところにいるの?」



「お父さんを探して…」



「そう。私も手伝ってあげるわね。ねえ、雷神さん、あなたの望みをかなえてあげる。だから、私に力をもらえないかしら?」




 すると、雷神が生徒会長の前に現れていた。

 生徒会長に問いかける。




「即身仏になるというのだな?」



「もちろんです…」


「わかった…」




 その時、生徒会長が願っていた。

 その顔は真剣である。



「ただ、1つだけお願いがあります!!」


「青鬼のことか?」


「そうです。雷神の力を使えば、きっと、タイチを倒すことはできます。ただ、救うことができないのです…」


「なるほど、では、ワシができることをしてやろう…」


「ありがとうございます…」




 その時、ミコト生徒会長の姿が変貌しようとしていた。

 それに気が付くと、青鬼が走っていた。




「何をしようとしている? そんなことさせないぞ!!」



 突然、青鬼の声がした。



 ミコト生徒会長に攻撃をしようとしていた。しかし、前には九尾の狐が立ちはだかっていた。

 九尾の狐の咆哮が響き渡っていた。


 段々と、九尾の狐の尾が大きく膨らんでいた。


 10メートルはあろうかという大きさで、青鬼よりも数倍以上に巨大だった。

 青い炎を纏い、その炎が燃え盛っていた。


 鋭い牙を剥き出し、青鬼に睨みを利かせていた。




「いい加減にしなさいよ……」


「九尾…、何で、お前が邪魔をするんだ!!」


「黙っていようかと思ったけど、もう我慢の限界だわ。ミコトを傷つけるなんて許せない!!!」




 周囲は青い炎で埋め尽くされていた。

 炎に囲まれ、青鬼は身動き一つ取れなくなっていた。



「邪魔だ、炎を解除しろ!!」




 青鬼は怒りに満ち溢れていた。





〈どうなっているんだ!?〉

〈九尾ってさ、九尾の狐がいるってこと!?〉


〈でかい。初めて見たわ〉

〈初見ですw〉


〈すげーなーーーーー!!〉

〈モフモフ、キターーーーーー!!!!!〉



〈もふぉもふぉもふぉもふぉもふぉもふぉ~~~~~~~~!!!〉




 その時、ミコト生徒会長が歌をうたいだしていた。

 百人一首のようである。




『このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに』





 その時、梅のつぼみが生徒会長を優しく包み込んでいた。




〈何!?〉



〈何か、百人一首みたいな声がしなかった?〉

〈それも知らんのかよw〉


〈菅原の道真だよ!!〉

〈はあ? なんだよ。それ?!〉




〈わからねーって…〉




 ミコト生徒会長の体が大きな梅のつぼみに覆いつくされていた。

 青鬼の苛立った声が響いた。




「くそっ、なんだ、この炎は…。白虎の力を使ったのが失敗だったか…」




 青鬼は炎に怯えていた。

 その時、大きな梅のつぼみが開き、中央に赤い色と白色の輪郭を持つ花が咲いていた。


 そこから一人の男が現れていた。




〈誰だよwww〉



〈公家の人じゃねwwww〉

〈AAで見たわw〉

〈麻呂でごじゃるかw〉


〈なんだよ、それwwwwwww おっさんは返れw〉


〈いや、菅原の道真なんじゃねーか?〉



〈だからさ……そいつが誰だよww……〉





 ミコト生徒会長が菅原道真に変わっていた。


「あなただったのね…」


 九尾の狐がつぶやいた。


「おお、お主もいたか。今度、またゆっくりと話をしたいものじゃ…」


「嫌よ…」


「はははっ、なるほどな。では、依頼から解決させようかの…」



 菅原道真が右手を伸ばすと、弓道で使う弓矢が現れていた。

 光り輝く矢が出現していた。


 弓を引いて青鬼の方に向けていた。




「なに?」



 青鬼が声を上げた。

 その途端、光の矢が青鬼の頬をかすめた。


 光の速度に近い速さ。

 避けることは不可能のようであった。




 青鬼の顔が震えた。




「バカな…」




 青鬼はそう言ってみたが、それ以上の言葉は出てこなかった。

 菅原道真の手が再び光っていた。

 



 新たな矢が形成された。






〈やべーーーーーーーー!!!!〉


〈矢を放ったの!?〉

〈どういうこと?〉


〈FPS低すぎw〉

〈配信だと下がったいるするからな…〉



〈当たったら即死だろな…〉

〈スゲエエエエエエ!!!〉



〈どんなスキルだよ…〉





 青鬼の声が絶望に満ちていた。



 弓矢はすでに引かれていた。

 青鬼は震えながら、どうにか防御用の妖術を発動させた。だが、光の弓矢は防御を容易に貫通していく。光の矢は右足に深々と刺さっていた。




「ギャアアアアアアアアア!?」




 青鬼の叫び声が聞こえてきた。




「待て、待ってくれ!!」




 青鬼の悲痛な声が菅原道真に訴えていた。




「黙っていなさい…」



「ぼくを殺して良いと思っているのか? そんなこと許されないんじゃないか!!!」



「大丈夫、殺しはしないさ…」





 その時、後方から三匹のゴブリンが襲い掛かった。

 雷鳴が轟いた。




 バリバリバリバリッ!!!!


 


 ゴブリンたちは炭のように消え去った。






〈こえぇぇぇぇ!?〉

〈なんだ!?〉



〈ホント、やば過ぎじゃね…〉







 青鬼は絶望をしていた。


 3連続で発射された矢が青鬼の足と腕に刺さっていた。

 身動きができない。




「くそがっ!!!」





 バチバチと音が聞こえてきていた。

 悲鳴が聞こえた。



 青鬼が憎々しげな顔をして、菅原の道真を睨みつけていた。




「解け!! お前を絶対に許さない!!!」





 その姿を見ると、菅原の道真が笑みを浮かべた。





〈うわっ、めっちゃ強いやんw〉



〈早く倒して~〉



〈ここから逆転されることってある?〉

〈モフモフ展開希望w〉




「これから、お前を捉えさせてもらう……」



「何をするつもりだ!?……」



「封印させるんだよ」



「封印って…!?」



「私の従魔にさせ、しばらくしたら元の姿に戻してやろうといっているんだ…」



「やめてくれ…」



「これは契約だ…」



 青鬼が叫んだ。



「くそくそくそっ、ぼくは神になるんだ~!!!!」


 その時、青鬼の上に勾玉が突如として出現していた。

 眩い光を放っていた。



「なにをするんだ?」


 と青鬼が問うた。


「大丈夫だ。安心しなさい…」


 と菅原道真が静かに答えた。



 青鬼が慌てた声を上げた。しかし、その声は聞こえなくなっていた。勾玉に青鬼の姿を取り込まれていった。

 そして、そこには何も残らなかった。




〈スゲェェェェェ!!!〉



〈消えた?〉

〈これはやばいわww〉




〈完全な勝利だな…〉






「ミコト、お前の約束を守ってやる。その代わり、お前はワシの器になってもらおう…」




 雷神の声が聞こえてきた。




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