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第96話 ダンジョン配信 青鬼戦③

 ミコト生徒会長は雷神に守られ、その姿はまるで神の化身のようだった。一方で、青鬼は怒りに満ちた表情を浮かべていた。


 生徒会長が雷神の力を得ていた。雷神と契約をしたのはあやかしの魂を失った時のことである。陰陽師である彼女の魂が力を取り戻したせいだろうか。魂が肉体と結びつき、全体に根を下ろすと、生徒会長は陰陽師としての力が増していった。


 不完全だった力が正常に戻ろうとしていた。

 ただ、彼女の魂は揺らめき、困惑や焦燥、自己への苛立ちで満ちていた。



 その時、ミコト生徒会長の前に雷神が現れた。


 その魂の揺らめきが雷神を引き寄せたのだろう。霧散した霊力が集まり、形を成して雷神がそこに立っていた。

 生前、雷神は陰陽師であり、神として崇められていたらしい。


 雷神はミコトの魂に触れていた。

 そして、彼女にある条件を提示していた。

 

 

 それに従えば、ミコト生徒会長を助けると告げたのである。




  ◇  ◇  ◇




 ミコト生徒会長は雷神の力を身に纏っていた。

 天女の衣を思わせる装いで。




「それだけの力を持つなど、ありえないことじゃないか…。いったい、何が起きているんだ……」



 青鬼の声がした。



 雷神の攻撃を受け、青鬼は、自由を奪われたかのように体が動かなくなっていた。

 生徒会長は青鬼の姿を見つめていた。




「タイチ、私はあなたを殺したくない…」



「ぼくは負けない…」



 青鬼は否定する。

 どうにか体を動かそうとしていた。



 生徒会長が青鬼に語り掛ける。



「あなたは過ちを償わなければならない。そのために、お姉ちゃんも手伝うから…」


「今更、そんなことできるわけがないじゃないか!!」


「できるわ…」


「できない。だって、ぼくは神になるって言ってるじゃないか!!」



 青鬼の声は怒りに震えていた。



「神の力を手に入れるんだ!!」



 青鬼の顔には決意が浮かんでいた。青鬼は神の力を取り込み、それを使おうとしていた。ただ、神の力はこの世界に留まることができず、何かに憑依する必要があった。しかし、あやかしにはその力を憑依させることはできない。青鬼はあやかしであるため、神の力を宿すことは不可能であると思われた。それなのに、青鬼は神の力を自らに憑依させようと試みていた。



「ダメよ、その力を使っては…」


 生徒会長の声が震えながら響いた。

 青鬼は反抗した。


「うるさい!! セツナ様は大丈夫だと言っていたんだ!!」



 青鬼の右手が変わり始め、その変化は彼の体全体を覆い尽くす勢いで進んでいた。

 その様子がカメラに映されていた。





〈どうなっているの!?〉


〈いま、攻撃したらいいんじゃねーか?〉

〈雷で吹き飛ばせ!!〉


〈何で見てるんだよ〉

〈兄弟なの?〉


〈あれ、鬼だろ。兄弟のわけがないよ〉

〈女の子、泣きそうだけど…〉



〈いったいどうなっているんだよ…〉





 青鬼の姿が変わる。



「やっぱりだ。ぼくは神の力を使うことができるんだ!!!」



 青鬼は高揚していた。

 気が付けば、青鬼は白い虎の姿へと変貌していた。妖力は、以前とは比べ物にならないほどに増している。




「やめなさい!!」



 ミコト生徒会長は叫んだ。必死に首を左右に振りながら。

 その前には白虎のような青鬼が立っていた。

 

 

 



〈うわーーー、虎になったよ!〉


〈うん、神ってなんや!?〉

〈知らんわw〉


〈ただ、強そうじゃね……〉


〈モフモフしたい…〉

〈そこかよ!!〉



〈はあ?〉






「そんな力を使ってはダメよ!!」



 生徒会長は青鬼を止めようとした。

 生徒会長は雷を放ったが、青鬼はそれを巧みに避けた。




 青鬼がダンジョンの横壁を疾走している。





〈避けた!?〉

〈えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?〉


〈マジだ…〉

〈こんな早いらいげき、俺じゃなかったら気が付かなったね…〉


〈うるせーよwww〉






「はははっ、慣れれば、攻撃だって避けられるんだ!!」



 青鬼の嬉しそうな声がした。



「ダメよ、体がもたないわ!!」



 生徒会長の声がする。



「うるさい!!!」



 その言葉を無視すると、青鬼はミコト生徒会長を攻撃していた。

 鋭い爪を使い、生徒会長の体をバラバラにしていた。



 しかし、生徒会長の体はすぐに元に戻っていた。



「くそっ、何故、お前が神の力を持っているんだ!!」



 大量の雷がダンジョンに落ちていく。どうにかその攻撃を避けると、青鬼はミコト生徒会長に虎の牙を使い、噛みつこうとしていた。




「もうやめて!!」




 電流が流れると、白い虎の姿から電気が放電されていた。

 



「うおぉぉぉぉ!! 絶対、かみ砕いてやる!!!!」




 その時、青鬼の体には異変が生じていた。

 

 

 神の力の影響なのか、全身が石のように硬直していく。その体が崩れ落ちそうであった。


 

 青鬼は絶叫していた。




「グギャッァァァァァァァァァァ!!!!」






〈凄い声wwwwwwww〉


〈人間じゃねーな!!〉

〈ヤバいわ〉


〈勝てるんや!!〉

〈もう少しじゃん。攻撃すれば倒せるわ!!〉

〈いけるんだ!!!!〉






「なぜ、こんなことになっているんだ……?」




 青鬼の下半身は砕け散っていた。

 その姿を見ると、青鬼は信じられないという声を上げた。



「もう諦めなさい…」



「ダメだアアアァァァァ。絶対、ぼくは神になるんだ!!! 撮るな、カメラで撮るな!!! 全員、ここから逃がさないからなぁ!!!」




 青鬼は怒りに任せて叫んだ。しかし、体はもはや自由に動くことができなかった。

 ミコト生徒会長の次の攻撃に耐えることは不可能であると思われた。




「もう終わり…」


「ふざケんな!!!!!」




 青鬼は最後の抵抗を試みた。

 ミコト生徒会長は目をつむると、青鬼に最後の一撃を加えようとしていた。






「ギィィィィィィぃぃ!!!」






 その時、ゴブリンの声がした。



 カメラがゴブリンを映していた。

 映像には、少女に刃物を突き立てているゴブリンの姿を捉えていた。




「た、助けて…」




 少女の声がする。

 その姿を見ると、青鬼が笑みを浮かべていた。





「よくやった…。こっちに連れて来い…」



 

 青鬼はゴブリンに命じていた。



「タイチ、やめなさい!!」


 

 ミコト生徒会長が叫んだ。



「クソがあぁぁぁっ!! 誰に命令をしているんだ!!!!」



「もう終わりなのよ…」



 ミコト生徒会長の声が静かに響いた。

 青鬼はニヤリと笑いながら、ゴブリンが連れてきた少女を見つめていた。生徒会長は少女がいるため、青鬼への攻撃をためらっていた。



 ゴブリンが青鬼の近くに近づく。 

 すると、青鬼はゴブリンの腕を掴んでいた。





「ギャアアアアアアアアアアアアアアァァァァ!!!???」





 ゴブリンの叫び声がした。

 その途端、青鬼がゴブリンの妖気を吸収していた。



 青鬼の体は再び元の姿に戻った。



「ふう、落ち着いた…」



「その子を離しなさい…」



 ミコト生徒会長が静かに命じた。



「なら、その憑依を解くんだな…」


 

 青鬼は笑みを浮かべながら条件を出した。

 すると、猫又さんの声がした。


 

「ダメです。青鬼の意見なんて聞いちゃダメです!!」



 猫又さんが不安な顔をしていた。

 しかし、ミコト生徒会長はただ黙っていた。

 


「わかったわ…」



 そう言うと、生徒会長は雷神の憑依を解いていた。



「ああ……。それはダメです!!」




 猫又さんが叫んでいた。

 ただ、ミコト生徒会長は既に決断を下していた。





「はははっ、これで終わりだ!!!!」





 青鬼が攻撃を加えていた。

 

 

 一瞬で、ミコト生徒会長の体に腕が突き刺さっていた。

 生徒会長は真っ赤な血を吐き出していた。





 真っ赤な血が溢れていた。





〈お、終わった?〉

〈やべ……〉


〈負けたってことでいいんだろうか…〉

〈嘘だろ……〉


〈ヤバない?〉

〈マジかよ!?〉


〈ヤベエえええええええええ!?〉






「あ〜!! 倒したぜ〜!!」





 青鬼が歓喜していた。


 その横で生徒会長が倒れていた。彼女の口から真っ赤な血が落ちていた。


 ただ、何かを言っている…。


「お前、何を言っているんだ?」



 青鬼が問いかけた。

 その時、生徒会長の体が軽やかに浮かび上がり、身体全体から光が放たれていた。




「雷神さん、あなたとの契約を果たすことに決めました…」




 生徒会長の声がした。

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