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第92話 ダンジョン配信 青鬼戦①

「では、始めましょうか…」




 青鬼の低い声が聞こえてくる。

 その声を聞き、少年は青鬼に問いかけてみることにした。




「タイチ君、どうしてこんなことをするの?」



 少年の声がした。

 ただ、青鬼は顔を左右に振っていた。




「わかるでしょ、あなたたちがダンジョンを汚すからです。以前は、あなたはそんなことをしなかったはずですが…」



 と、青鬼は答えた。


「以前って、どういうこと!?」


「もう、話は終わりです」



 少年の問いを黙殺すると、青鬼は歩みを進めていた。

 妖気が強まっていく。




「私は、あなたと話すつもりはありません。一発で終わらせてあげます。セツナ様のためにもあなたを消滅させてあげましょう!!」



 青鬼の妖力の波動は圧倒的な力を持っていた。

 大地が揺れ、空気が震えていた。


 青鬼が攻撃を放った。

 しかし、少年は青鬼のその拳をしっかりと掴んでいた。



〈おいおい、始まったよ…〉

〈人間じゃね…〉


〈無理だわぁぁぁぁ!!〉

〈うわ……、ダンジョン怖いわ………〉




 沼田君はカメラを構えていた。


 ダンジョンの様子を映していた。カメラのレンズを通じ、少年が青鬼と対話している様子が捉えられていた。しかし、会話の内容までは聞き取ることができなかった。何を話しているんだろう、沼田君は疑問に思いながら、カメラを少し前に進めようとした。


 

 その瞬間、青鬼が不快そうに顔をしかめた。


 追い払うような仕草を見せた。

 それは、近づくな、という意思表示のようだった。




〈モンスターって知能あるんだなw〉

〈何を話してたよな!?…〉


〈すげ…〉

〈このモンスターさ、特殊個体なんじゃね?!〉


〈強そうだな…〉

〈モンスターヤバいわ…〉





 ダンジョンが激しく揺れていた。

 その影響で、沼田君が持つカメラも大きくぶれ、彼の足元も不安定になり始めていた。


「うわっ!!」


 と、沼田君が叫び声を上げた。


 カメラが手から滑り落ち、映像は乱れていた。

 その時、画面には倒れているマイケル君の姿が映し出されていた。




〈あれ、あれ、マイケル君じゃね!?〉

〈おいおい、マジか…〉

〈嘘だろww〉


〈そう言えば、マイケル君がダンジョンに行くって、SNSに書いてただろ…〉

〈倒れてるじゃん…〉





 書き込みを見て、沼田君はマイケル君へカメラを向けていた。

 ダンジョンにマイケル君が倒れていた。




〈マイケル君、キターーーー!!〉

〈血が出てる。モンスターにやられたんかなw〉


〈人類最強が負けた、だと…。やっぱり、モンスターはやばいんだな…〉

〈あの腕、折れてね?〉



〈スタッフが怯えてるわw〉

〈逃げた方がいいだろ、これ、マジだわ…〉






 沼田君の持つカメラがスタッフたちの姿を映していた。

 マイケル君を介抱しながら、スタッフはこの場所からの脱出を試みているようであった。



 カメラは、その姿を映し出していた。

 しかし、暗闇の中から、黒いゴブリンたちが集まってくる。

 緊迫した様子が映し出されていた。



〈ヤバい、ゴブリン来たよ…〉

〈あら、かわいい〉



〈無理、これは逃げられないってw〉

〈\(^o^)/オワタ〜!!〉


〈マイケル君、ゴブリン倒して~!!!〉





 ゴブリンたちが集まり、不気味な笑い声を上げていた。

 ケッケッケと。


 笑い声は、沼田君を不安にさせていた。

 無意識に後ずさりをしていた。


 突然、ゴブリンの一匹が大きな咆哮を上げていた。


「ガルアアアアアアアア!!」


 周囲は恐怖に包まれていた。

 スタッフの一人がゴブリンの持つ斧に襲われていた。

 彼の体は真っ二つになっていた。






〈うわぁあああああああああああああああああ!!〉

〈はぁ!?〉

〈マジで、死んでね!!!!!!!!!〉



〈ふざけろって!?〉

〈おかしいよ。これはマジで…〉



〈ふぅ、致命傷で済んだな…〉

〈これ、ガチ!?〉





 血吹雪の中、ゴブリンが別のスタッフのほうに向かっていた。




「ゴルルルルルルァ!!!」




 たくさんのゴブリンがスタッフに向かっていた。

 恐怖で、スタッフは震えていた。




〈ダメだ、全滅するわ〉

〈逃げろって…〉


〈恐怖で動けなくなっているだろ〉

〈誰か、通報しろって!!〉



〈警察には連絡したけど…〉






「ゴルルルッ!!」





 ゴブリンがジャンプし、スタッフの上に飛び乗っていた。

 スタッフは恐怖で震えていた。


 すると、ゴブリンはスタッフを見下ろしていた。

 ケタケタと笑う。バカにするように。


 ゴブリンは槍を手にする。

 スタッフに突き刺そうとした。しかし、突然、ゴブリンは吹き飛ばされた。



 立っていたのはマイケル君であった。

 マイケル君は怒っていた。



「クソがっ、オレの仲間に手を出すんじゃねーーー!!!」


 マイケル君は怒りに満ちた声で叫んでいた。

 マイケル君はゴブリンたちの前に進み出ていくと、強い決意を込めた言葉を発していた。



「相手はオレがしてやる!!!」





〈うおーーーー、マイケル君がきたーーーーーーーー!!!〉

〈待ってたよ!!〉


〈あーあ、ゴブリン、終わったわ……〉

〈マイケル君、正義の鉄拳、お願いします!!!!!!!〉





 マイケル君がゴブリンに向かっていく。

 しかし、青鬼から受けたダメージは深刻なものであった。



 マイケル君の動きは鈍かった。



 

 ゴブリンが体当たりしてきた。

 その攻撃を受けると、そのまま、マイケル君は倒れてしまった。




〈あれ?〉

〈ダメだわ…これ……〉





 マイケル君の右腕が切断されていた。



 真っ赤な血が流れる。 

 ゴブリンたちの群れがマイケル君に襲い掛かっていた。




〈ダメだ。やられちまうよ……〉


〈そんなこと言うな。マイケル君を信じろよ!!〉

〈あーあ、なんでさ、避けねーんだよ…。あんなの避けられるだろ!!!〉


〈もう見てられねーよ……〉

〈そういえば、あの少年はどうなったのかな!?〉



 コメントを受けて、カメラはスクイ少年の姿を捉えていた。

 少年は青鬼の攻撃に耐えていた。



 

 まるで、反撃をしようとしなかった。




〈こっちもダメだな…〉

〈怖がってるのかな。まったく攻撃してないじゃん…〉



〈くそっ!! マイケル君、どうなったんだよ!!〉

〈回復薬はよ〉



〈回復薬なんてあるわけねーだろ!! これはガチの現実なんだぞっ!!〉





 青鬼の攻撃を受けると、少年が倒れてしまっていた。

 映像が震えていた。



 その時、少年の周りを白い煙幕が覆いつくしていた。



「スクイ君、大丈夫!?」



 誰かの声が聞こえてきた。


 カメラはその声の方向へと向けられた。

 暗闇の中にはミコト生徒会長が立っていた。その近くに、九尾の狐、副会長の金剛、さらには書記の猫又さんも立っていた。




〈仲間、キターーーーーーー!!!!〉

〈きたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!〉


〈よし、いけるぞ!?〉

〈マイケル君が回復するまで、踏ん張ってくれぇぇぇぇぇ!!!〉





 ミコト生徒会長の声が聞こえた。



「スクイ君、ケガしてない!?」



 生徒会長の顔を見ると、少年は悲しい気持ちになっていた。




「あの、大丈夫です…。ただ、タイチ君が…」




 その時、青鬼が彼らを睨んでいた。

 生徒会長の姿を見て、怒りに震えているようであった。




「大丈夫よ。あの、青鬼は私が何とかするわ。だから、あなたは自分がしなくてはならないことをしなさい!!」


「はい、わかりました…」



 生徒会長の言葉を聞いて、スクイ少年はカメラを持つ沼田君の方へと向かっていた。

 少年は沼田君に声をかけていた。

 

 

「沼田君、頼みがあるんだ。バイクでぼくを最下層まで連れて行ってくれないか? ぼくはセツナというあやかしを倒さなくてはならないだ…」


「ふーん、詳しいことを聞く時間はなさそうだな。じゃあ、オレが連れてってやるよ!!」


「ありがとう…」


「気にするなよ。オレのヒーローの頼みなんだしさ!!」



 カメラをバイクに取り付けて、沼田君はエンジンをかけようとしていた。

 バイクのエンジン音が響き渡っていた。




 その時、青鬼の声がした。



「逃がしませんよ!!」



 青鬼はバイクのほうに向かってくる。

 しかし、青鬼の前にはミコト生徒会長が召喚した白い犬たちが行く手を塞いでいた。


 気が付くと、青鬼は冷たい目を向けていた。




「また、ぼくの邪魔をするんですね…」


「当然でしょ。私があなたを止めるのよ。だって、あなたのお姉ちゃんなんだからさ!!」


「すぐに、あなたを殺してあげますよ…」




 その時、沼田君の声がした。



「じゃあ、最下層で、このダンジョンをクリアさせてもらいましょーーーーか!!!」






 沼田君のバイクが走り出した。




〈ブンブン配信キターーー!!〉

〈ブンブンwwwブンブンwwwww〉

〈ブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブン!!!〉



〈ブンブンwww〉

〈最後まで応援するぜ!!〉




 沼田君のブンブン配信は全世界で配信されていた。

 SNSを通じ、動画配信はネットで拡散されていき、たくさんの視聴者がその動画を見ることになっていた。


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