第90話 青鬼との対峙
「うわーー、鬼が出た~~~~~~~~!! おかあちゃーーーん!!!」
マイケル君の叫び声がダンジョンに響き渡った。
一瞬にして、周囲は静まり返り、スタッフたちは困惑した表情でマイケル君を見つめていた。その視線に気づくと、彼は恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
すぐに、マイケル君は冷静な顔に戻ると、
「ごほん、ごほん、あーあー、なるほど、あれがモンスターか。少年、大丈夫か?」
と、沼田君に声をかけた。
「え、ああ、はい…」
沼田君が答えた。
「まったく、突然モンスターが現れて、少年が驚いてしまったじゃないか…」
マイケル君は青鬼を指さし、
「これからお前を倒してやる!!」
と強い口調で宣言した。
すると、青鬼はマイケル君をじっと見つめて、
「お前は何を言っているんだ? 私の姿に驚いたのはお前だろう!?」
と、尋ねていた。
しかし、マイケル君は青鬼の問いを無視していた。
突然、右手の拳を振り上げていた。
「モンスターの話なんて、誰が聞くかよ! さあ、くらえ、メガ豚パーーーーンチ!!」
マイケル君のパンチが腹部に命中していた。
しかし、青鬼は動じず、マイケル君を虫を払うように払いのけていた。
一瞬で、マイケル君はダンジョンの壁に吹っ飛ばされた。
その時、少年の声がした。
「君、タイチ君だろう?」
少年が声をかける。
すると、青鬼が少年を見つめていた。
「もう、その名前で呼ぶのはやめてください…」
そう言うと、青鬼は表情のない顔が少年を見つめていた。
暗い闇が満ちていた。
◇ ◇ ◇
威圧感を放つ青鬼がそこには立っていた。
できれば、青鬼とは遭遇したくなかった。数段、青鬼の体は大きくなっていた。
不安そうな表情で、女の子が少年のズボンを掴んでいた。
青鬼と出会うとは思っていなかった。いや、考えるべきだったのかもしれない。女の子からの頼みで父やを探すため、さらに、沼田君が警察に追われているという話もあり、少年はダンジョンの探索に向かっていた。
青鬼が少年に声をかけた。
「どうやら、ダンジョンに来るということの意味をご理解いただけていないようですね。ここは、もうあなたが知っているダンジョンではないのですよ…」
と、青鬼は言った。
どうやら青鬼は少年と戦うつもりらしい。
もう逃げることはできない。そう感じた瞬間、生徒会長の顔が少年の頭によぎっていた。
青鬼は彼女の弟である。
戦うべきかどうか、と少年は迷っていた。
その時、沼田君が割り込んできた。
「あの、ちょっと待ってください!!!」
突然、沼田君は両手を広げて、二人の間に入ってきた。
彼は交渉を始めていた。
「戦うなら、ブンブン配信をさせてくれませんか!!」
沼田君の大きな声が聞こえてくる。
それを聞いて、青鬼はくすくすと微笑みを浮かべた。
「構いませんよ。人間にダンジョンの恐怖を教えるためにも…」
「良いんですか? ありがとうございます!! それでは準備をしますね!!」
沼田君は頭を下げて、感謝の意を表していた。
すぐに配信の準備を始めていた。
その間、少年は青鬼を見つめていた。生徒会長のことを考えると、青鬼との戦いを避けるべきだと思っていた。ただ、青鬼は戦いを望んでいて、その意志に逆らうことは難しいと感じていた。
どうすべきかわからなかった。
そんな時、少年の内からあやかしの魂の声が聞こえてきた。