第87話 特殊部隊
翌日、学校に来ると、少年はすぐに生徒会室へと連行されていた。
そこには猫又さんが不満げに立っていた。
「スクイ君、君は何をしたの? ダンジョンでさ。もうひとつ、生徒会長がまだ戻っていないわ! いったいどうなっているのよ!!」
すぐに、猫又さんは少年に詰め寄っていた。
生徒会室には金剛副会長も部屋にいたが、机で忙しくペンを走らせていた。
現在、生徒会の権力は全てを猫又さんが握っているらしい。
副会長がこちらをちらちらと見つめていた。
少年は思案していた。
どこまで話したらいいのだろうか、ただ、セツナの話はできないなと思っていた。
ずっと、猫又さんが少年をじっと見つめていた。
仕方がなく、少年は返事をすることにした。
「生徒会長ですよね? それは大丈夫です。ただ、地獄で魂の儀式を行った後、意識が戻らない状態なんです。おそらく、九尾の狐と一緒にまだ地獄にいるとおもいますが…」
「はぁ!? 地獄って、何よっ! それに、あなた…、ちょっと、変わってない?」
猫又さんは少年に恐怖を感じているようであった。
その反応に気づいていた。
幼い頃の記憶が蘇ってくる。
首を左右に振った。
「ぼくは変わっていません…。ただ、ぼくは今日もダンジョンへ行かなければならないんです。あの…、ダンジョンへ行くことに何の問題があるんですか?」
「学校とかそんなレベルの問題じゃなくなっているわ」
「いったい、何があったんですか?」
「なるほどね、君は知らないのかもしれないわね。生徒会長と一緒にいなくなってから、政府がダンジョンのモンスターに対処し始めたのよ…」
「そうなんですね…」
少年は猫又さんの話をきくことにした。
どうらや、ダンジョンの問題は日本で深刻化しているらしい。モンスターの出現が増えると、脅威論は日増しに強まってきていた。ただ、この現象は日本特有のものであり、海外では報告されていなかった。そのせいか、アメリカや西欧、アジアからの旅行者が興味本位でダンジョンを訪れ、モンスターに襲われる事件が発生していた。政府はダンジョンの事件が増えるにつれ、非常事態宣言を発するべきかどうかを検討していたらしい。
ただ、日本らしく、管轄の問題や対応の遅れがあった。
その間に、SNSでモンスターが話題になっていた。もはや手をこまねいてはいられなかった。政府は特殊部隊がダンジョンへの調査を開始することにしたらしい。
「まあ、これもネットの噂話程度のものだけどね…」
と、猫又さんは笑いながら言った。
◇ ◇ ◇
その夜、ダンジョンの中に入る複数の姿が確認されていたらしい。
彼らは特殊部隊であった。
暗視スコープを装着した男たちが、暗闇のダンジョンを進んでいた。
ダンジョンの中には彼らの小さな足音だけが響いていた。
目的は一つである。彼らはダンジョンで何が起きているのかを確認するミッションを受けていた。
戦闘は予想していない。
何かあれば、すぐに撤退するよう上官から命じられていた。
Aチーム、Bチームの特殊部隊が行動を共にしていた。Aチームは12人、支援のBチームは6人、合計18人がダンジョンに入っていた。
Bチームは後方を走っていた。その中の一人がポケットにある娘の描いた絵を見つめていた。その絵には、ダンジョンで、あやかしと人間が仲良く遊んでいる様子が描かれていた。
隊員の一人は娘の書いた絵を見ていた。
その時、前方の隊員が消えていた。
気が付くと、彼らの周りには恐ろしい姿をしたモンスターが立っていた。
その日、二つのチームが全滅していた。
しかし、特殊部隊からの音信が途絶えたことはニュースにはならなかったらしい。
◇ ◇ ◇
その次の日、少年のいる学校に幼い少女が訪れていた。
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