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第85話 ダンジョン配信

 秘密の入り口を抜けると、少年と沼田君はダンジョンの入口に立っていた。

 沼田君はカメラをじっと見つめていた。


「おーい、映ってるかー?」


 大声で呼びかけた。


 沼田君は鞄から小さなマイクを取り出した。

 それを少年に手渡そうとした。



 少年はそのマイクを受け取り、「あーあーあー、どうですか、聞こえますか?」と小さな声で言ってみた。

 沼田君は少年のテンションの低さに不満そうだった。


「うーん、なんだかテンション低いな…」


 と言った。


「慣れてなくて…」


 と、少年は答えた。


 そのやり取りをしていると、携帯の画面にコメントが流れ始めていた。

 視聴者からリアルタイムで文字が書かれていた。





 沼田君の大きな声が聞こえた。



「ブンブンブンブン!!!」

 と、彼は叫んだ。


 画面には視聴者からのコメントが次々と流れている。


〈ブンブンブンwww〉

〈うぽつ、ぶんぶんーーーー〉

〈bunbunbun……〉

〈ブンーブンブンw〉


 どうやら「ブンブンブン」は配信の合言葉のようだ。画面は「ブンブンブン」という言葉で埋め尽くされていた。


 沼田君はカメラをダンジョンの景色に向けていた。


〈ダンジョン、キターーーーー!!〉

〈待ってたよーーー!!〉


 コメントは続く。

 カメラに向かって手を振り、沼田君は視聴者に挨拶をしていた。


 突然、カメラは少年の方へと向けられた。

 画面に少年の姿が映し出された。




〈うお、誰?w〉

〈あれ、翔平君はいないの!?〉

〈ショーヘー、まだ~かよ~~~~~〉




「翔平は来てないぜ。じゃじゃーん、今日は、新入りメンバーを紹介するんだ。オレのヒーロー、スクイ君だぜ!!」



〈誰だよw〉

〈知らねーw〉

〈どうせ、すぐに逃げるんだろw〉







「逃げねぇって!! スクイ君はヒーローなんだってさ!!」






〈うざw〉

〈顔真っ赤w〉

〈はいはいw どうせ、逃げるんですよね~ww〉

〈ダンジョンの2階層まで行けって言ってるだろーがよww〉





「お前らさ。わかっってねーなー」



 沼田君はカメラに向かって話しかけていた。

 一方、少年は洞窟を凝視していた。


「グルアアアアアアアア!!」


 轟音と共に、リザードマンの群れが洞窟から現れた。

 彼らは手に三叉槍を構えている。



〈うわっ、出てきたよ…〉

〈うしろ、うしろ、うしろ、うしろ、うしろ〉

〈やべーよ…〉

〈やっぱ、モンスターっているんだよおおお!!!〉


 視聴者のコメントが画面に溢れていた。


「グア!!! グア!!! グア!!! グア!!! グア!!! グア!!!」


 リザードマンたちは咆哮し、少しずつ近づいてくる。

 ピタピタと濡れた足音が響く。



〈やべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!〉

〈早く逃げろって…〉

〈怖えぇぇ!〉

〈やっちまえよwww〉


 ずっと、コメントは続く。

 その時、沼田君は座り込んでしまい、動けなくなっていた。


「や、やべぇ、足が動かねぇ…」


 彼は呟いた。


 カメラはその姿を映していた。一部始終を捉え、リザードマンたちが沼田君に迫る様子を映し出していた。




「グルグルグルグルグルグル、グルアアアアア!!!!」




 


〈こっち来てるって…〉

〈ヤバくね…〉

〈死んだわ、これ……〉

〈逃げろって!!〉

〈ふざけろよ。マジでさ…〉

〈逃げてーーー〉





 その時、少年がリザードマンの前に立ちはだかった。

 少年の姿が一瞬で消えると、次の瞬間、リザードマンたちの体が木端微塵に砕け散っていた。



〈あれ、どうしたの!?〉

〈嘘だろ!? やっつけた!?〉

〈そんなわけないって…〉



 視聴者の驚きの声がコメントになっていた。

 画面に映し出される。


 その時、巨大なリザードマンが現れた。



「グルァッ!!!!」



 巨大なリザードマンが激しい炎を吐き出した。



〈うわ、炎…〉

〈あーあ、避けられなくね…〉


 迫る炎。カメラに向かってくる。その時、少年はその炎を真っ二つに切り裂いた。

 巨大なリザードマンは困惑していた。


「グ、グルァ!?」


 声と共に、リザードマンの頭部と胴体が切断されていた。

 天井に向かって血が吹き上がった。



ドターーーーーーーーン!!!!




〈やったーーーーーーーー!!〉

〈キターーーーーーーーーーーーーーー!!〉



 視聴者の歓喜の声がコメントで溢れかえった。




〈おいおい、アイツ、武器持ってた!?〉

〈ぜったい、なかったよ…〉

〈手刀か…〉

〈そんなわけさ…〉


 視聴者からの疑念を持ったらしい。

 コメントが書かれる。


〈嘘だろ…〉

〈ああ、これってVRなんじゃね…〉

〈嘘松おつw〉

〈きっと、そうだな…〉


 その時、沼田君が力強く反論した。


「ちげーよ。VRじゃねーから、スクイ君は凄いんだぞ!!」


 カメラは倒れた巨大なリザードマンを映し出していた。

 その背景で、少年が何かを叫んでいた。




「セツナ!! セツナ!! いるんだろ!! オレはお前を倒すためにやってきた。出てきやがれ!!」




〈セツナって誰だよwww〉

〈ヤバいwwwwww〉


〈草草草〉

〈マジ、おもろいじゃんw 登録したわw〉




 カメラには少年の姿が映し出されていた。

 動画配信サイトで話題になる。もちろん、少年はそんなことを望んではいなかった。ただ、どうしてもセツナを倒さなくてはならないと思っていた。



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