第84話 ダンジョン攻略のため
朝、少年は家族が揃った食卓を見つめていた。
久しぶりに目にする。
父親と母親の姿がある。その時、父親の声が聞こえてきた。
「これからセツナというあやかしを倒しに行くんだってな?」
父親の問いかけに、少年はぎこちなく頷くことにした。
「まあね…」
と、返事をすると、椅子に腰を下ろした。
父親の目から涙がこぼれ落ちていた。
「うっうっ、知らない間に、お前も大きくなったんだな…」
ガチで泣いていた。
それを見ると、母親の声がした。
「何で泣いているのよ、すーちゃんは世界を救ってくれるんだからね~」
「そうだよな…。やっぱり、俺たちの子供だな」
「そうね」
「オレは感動しているぞ~!!!」
2人が抱き合っていた。
涙を流している。
朝から、こんな姿を見させられる子供の気持ちもわかってほしい。
少年は学校に向かうことにした。
「いってらっしゃーい!!」
2人の声が聞こえてきた。
家の窓から、少年に向かって手を振っていた。
◇ ◇ ◇
学校に到着すると、少年は悩んでいた。
世界を救うため、セツナというあやかしを倒さなければならない。それは少年にしかできないことらしい。しかし、本当にそんなことができるのだろうか。
不安が少年を襲っていた。
教室に入ると、少年は沼田君を探すことにした。以前、沼田君はダンジョンを探検した経験があり、教室の中で最もダンジョンに詳しいはず。最新の情報を得られるかもしれないと考えたのだ。
しかし、沼田君を見つけたとき、少年は衝撃を受けた。ダンジョンに入ったことで先生に厳しく叱られたせいか、沼田君は不良になってしまっていた。
金髪に染めて、ヤンキーのような姿をしていた。
沼田君は以前の彼とは大きく変わっていた。
彼に声をかけたくなかったが、ダンジョンについての確認をしなければならなかった。躊躇しながら、少年は沼田君の肩を叩いてみることにした。
「沼田君、ダンジョンのことを聞きたいんだけど…」
すると、沼田君の表情が一変した。
突然、椅子から立ち上がった。
力強い声がした。
「スクイ君、ダンジョンに行くんだね。やっぱり、君は僕のヒーローだよ。じゃあ、一緒に行こうよ!!」
その言葉を発すると、沼田君は少年の手を引っぱって教室を飛び出していた。校門を出ると、近くの駐車場には大きなバイクが置いてあった。
「ブンブン、飛ばしてダンジョンへ行こうよ!!」
沼田君はバイクに跨がっていた。
生徒会室に立ち寄りたかったが、それどころではないようだった。
「ねえ、沼田君、バイクの免許持ってるの?」
少年が尋ねる。
沼田君はにやりと笑った。
「免許なんてないよ。このバイク、兄貴から借りたんだ。ま、いいじゃないか。昔から『盗んだバイクで走り出す~』って言うしな。さあ、ブンブン行きましょうか!!」
エンジンが爆音を立てた。
バイクが走り出す。これ以上、少年は沼田君に問いかけるのをやめることにした。
今は、ダンジョンの問題を解決すればそれでいい。
少年は楽観的になっていた。おそらく、あやかしの魂の影響を受けているのだろう。だが、少年はまだその事実に気づいていなかった。バイクが爆音を響かせながら、ダンジョンへと走り出した。
少年のダンジョンの攻略が始まろうとしていた。
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