第82話 依頼
段々、自分の魂の色が変わっていくのを感じていた。たくさんな色が混ざり合い、徐々に黒へと変わっていくように。少年の魂はあやかしの魂に影響されて、何か別のものへと変わろうとしているようであった。
長いこと、少年は眠り続けていたらしい。
◇ ◇ ◇
目覚めると、誰かの声が聞こえてきていた。
視線を向ける。
そこには男の子が立っていた。
「あなたは人間ですか? それともあやかしですか?」
おかしな質問をされていた。
ただ、男の子は少年を真剣に見つめていた。
すると、少年の口が動いた。
少年の口から、おかしな言葉が発せられていた。
それは少年の意志ではなかった。
「お前こそ、形代だろう。人間でもあやかしでもないくせに、なぜ、そんなことをオレに聞くんだ?」
「あれ、バレてましたか?」
男の子が舌をペロリと出していた。
それを見て、少年は不満そうな顔をした。
「それはどうでもいい。誰の指示でそんなことを聞いたんだ?」
すると、ドアの方から声がした。
「ワシが頼んだんじゃ…」
老人が立っていた。柳田邦夫である。
少年の方へ歩いてきた。
少年は柳田邦夫を睨みつける。しかし、老人は気にしていない。
「やはり、お前か。オレの体を封印して、さらには、オレの魂を真っ二つにしたことは忘れていないからな!!」
「どうやら思い出してしまったようじゃな…」
「当たり前だ!!」
「やむを得ないことだったのじゃ。ところで、お主はワシの頼みを聞いてくれないか?」
「嫌だ。また、オレを騙そうとしているのではないか?」
「違う。人間とあやかしを救ってほしいのじゃ…」
それを聞いて、あやかしの魂は笑っていた。
ゲラゲラと笑っていた。
「なるほど、セツナというあやかしについてか…」
「そうじゃ。知っているのか?」
「気が付いていないようだな…」
「何がじゃ?」
「セツナというあやかしは、この少年が作り出したものだ。まあ、少年もそのことには気が付いていないようだがな…」
「どういうことじゃ!?」
「大したことではない。まあ、ダンジョンで暴れたら、セツナは現れるだろう。オレが倒す。それまでは休ませてもらうか。別に、お前の頼みを受けたわけではないからな…」
そう言うと、あやかしの声はもう聞こえなかった。
その時、少年は困惑していた。
自分とセツナというあやかしとの関係は一体何なのだろうか。セツナが「秘密を知っている…」と言っていたことを思い出す。いったい、あれは何だったのだろうか。そう思ったのだが、あやかしの魂はその疑問に答えてはくれなかった。
ただ、少年はダンジョンに向かうことになったらしい。
セツナという妖怪を退治するため、そして、自分が作り出したダンジョンを攻略するために。
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