第80話 魂の儀式の前に
ずっと、あやかしの町は闇夜のように暗いままであった。電灯に照らされた町を見つめていると、段々、時間の感覚が徐々に失われていく。車いすに乗せられ、少年は儀式の場所へと向かうことにした。
太鼓の音が遠くから聞こえてきた。
広場まで到着すると、巫女の装束を纏った九尾の狐が立っていた。
九尾の狐は少年の方へと歩み寄ってきた。
「あら、やっと起きたのね」
九尾の狐の声がした。
どうやら儀式の準備していたらしい。
真っ白な服を着ていた。
「あなたの魂はそこまで小さくなっていたのね…」
九尾の狐は少年の魂のことについて気が付いていたらしい。
「あの、生徒会長は大丈夫ですか?」
少年が声をかけた。
それは、とても小さな声であった。
「大丈夫よ。私が、何とかするわ…」
「良かった…」
「ねえ、この格好、素敵でしょ!?」
九尾の狐が巫女の姿を見せるように、クルクルと回っていた。
そして、九尾の狐は少年を見つめていた。
「ただ、あなたの魂には驚かされるわ…。普通の人間であったら、ずっと前に、あやかしの魂に負けてしまったはず…。きっと、あなたの魂は強い力を持っているのよ…」
その時、九尾の狐を呼ぶ声がした。
あやかしが手を振っている。
「じゃあ、私は行くわね。儀式の準備をしなくちゃいけないからっ!!」
九尾の狐の声がした。
あやかしたちの方へ向かっていた。
少年はその姿を見つめていた。
自分の魂が小さくゆらめいていることに気が付いていた。
しばらくの間、少年は町の中を進んでいくことにした。
古風な家が立ち並び、そこにはたくさんのあやかしが生活をしているようであった。
ひそひそと、家の中からあやかしの声が聞こえてきた。
あやかしたちは人間の存在に気が付いたらしい。
こそこそと少年の話をしていた。
あやかしたちが少年をじっと見つめていた。
その時、少年を呼ぶ声がした。
朱雀がそこに立っていた。
彼は少年の方に歩みよってきていた。
朱雀に気が付き、あやかしたちが一斉にその姿を見つめていた。
あやかしたちはざわめいていた。
朱雀は少年に話しかけていた。
「久しぶりだね、スクイ君。君にお願いがあるんだ。セツナというあやかしを君が倒してくれないか?」
朱雀はそう言いながら、少年の目を見つめていた。
「頼む。君にしかできないことなんだ。どうか、セツナというあやかしを殺してほしい…」
◇ ◇ ◇
その夜、あやかしの町では祭りが行われていた。
これから魂の儀式が行われるらしい。
どのようなことが行われるのか、少年には理解ができなかった。ただ、生徒会長から取り出したあやかしの魂を少年の魂と合わせることになるらしい。
石の祭壇の上、生徒会長と少年は横になっていた。
すると、そこに老人が歩いてきた。
柳田邦夫という男である。その老人は呪文のような言葉を発していた。
老人の白髪が、真っ赤な炎の色に変わっていた。
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