第79話 提案
地獄に着いたらしい。そこでは、あやかしたちの声が聞こえてきた。どうやら、家の前に少年の姿を見ようとあやかしが集まっているらしい。
あやかしたちの話声が聞こえてきた。
「面白いね。こんな場所に人間の魂が来るなんて」と1人のあやかしが言った。
「どうして連れてきたんだろう?」別の声がした。
「しっ、そんな大きな声を出すな。人間に聞こえてしまうぞ!!」ともう1人のあやかしの声がした。
少年はベッドの上で眠っていたらしい。
あやかしの声を聞きながら、自分の魂が消えそうになっていることに気づいた。
その時、少年を呼ぶ声がした。
「おい、少年、まだ眠っているのか? さあ、起きるんだ! 柳田邦夫が呼んでいるぞ!」
男の子の声がした。
目を開けると、男の子が立っていた。
しかし、少年は立ち上がることができなかった。
「まあ、寝かしておきなさい」
と、声が聞こえた。
「だって、あなたが連れて来いって言ったんでしょ!」
と男の子の声がする。
「まあ、いいじゃないか…。太陽と月が重なる今夜、あの子の魂の儀式をするんだ。私だって、神経質になることもあるんだから…」
老人が部屋に入ってきた。
少年のベッドの前にある椅子に腰を下ろした。
真っ白い髪の毛で、顔が見えなかった。
「少年、気が付いているかもしれないが、君の魂はあやかしの魂の影響を受けて、すでに消滅しかけているようだ…」
「きっと、セツナというあやかしのせいです…」
「セツナか…。話は聞いているが、君は、あのあやかしと関係があるのかな?」
「わかりません…」
セツナのことを考えると、少年の魂が震えている。
老人はその魂を見つめていた。
「なるほど、少年、君の魂はセツナと魂の関係を持っているようだね。君であれば、セツナを止めることができるかもしれない…」
「セツナを止めるとはどういうことですか?」
「彼は人間を全て殺そうとしているからね…。まあ、その話は今度にしよう…」
そう言うと、老人はしわだらけの手でタバコに火をつけていた。
部屋の中を煙が充満していく。
すると、老人の声がした。
「明日、1人の女の子の魂を戻す儀式を行うことになっていてね。その時、あの子の中にあるあやかしの魂を君の魂とつなげようと思う。そうすることで、君の魂を助けることができると思うんだ…」
老人の声が聞こえてきた。
この老人は、柳田邦夫なのだろうか。
そんな気がしていた。
いったい、魂とは何だろうか。
自分の魂が終わることには気が付いていた気がしていた。
セツナの姿が頭の中に浮かんでくる。
いつの間にか、少年は自分の魂がセツナの影響を受けていることに気が付いていた。
老人が部屋を出て行くと、少年は再び目を閉じることに決めた。
少年は返事をしなかった。
少年が眠っていると、あやかしたちにより儀式の準備が進められていた。
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