第78話 地獄へと
朱雀、白虎、玄武、青龍は神の力を宿している。それにもかかわらず、白虎は一瞬で倒されてしまった。青鬼にそんな力があるとは思えなかった。
屋敷で出会った時、青鬼はこれほどの力を持っていなかった。
その時、上空から声がした。
「なかなかやりますね…」
そこには朱雀は空に浮かんでいた。
周囲が妖力で満たされていた。
青い空が赤い炎で覆われ、ひとつひとつが地上へと降り注いでいた。薔薇の色をした炎が青鬼を包囲し、鋭利な炎が溢れ出ていた。
空間は熱を帯び、皮膚に突き刺さるような痛みをもたらしていた。
「この炎はね、全てを浄化する力を持っているのです。あなたの魂では耐えられないでしょう…」
朱雀の声が聞こえた。
「おお、素晴らしい炎ですね。以前の私なら、きっと燃え尽きていたことでしょう…」
青鬼が返事をした。
ただ、青鬼は苦しむ様子もなく、ただ静かに朱雀の姿を見つめていた。
「どうして、お前、倒れないんだ?…」
「そんなに驚かないでください…。ぼくはね、あやかしたちを贄にして、闇で心を満たしているんです…。もう、心などないのです。だから、あなたの攻撃が効かないのでしょう…」
「心を失うだって!? そんなことできるはずがない…」
朱雀が困惑していた。
次の瞬間、浮遊している朱雀の真っ赤な翼は切断されていた。
何も理解することもなく。
そして、少年は自分が闇の中に落ちていることに気づいた。
どうやら死んでしまったらしい。
◇ ◇ ◇
何故、死んでしまったのだろうか。
疑問になる。ただ、少年は自分が暗闇の中へと落ちていくことに気が付いた。
既に、体を動かすことはできないと気が付いていた。
少年の体がガタガタと揺れていた。
そのまま、少年は意識をなくしたらしい。
誰かが起こそうとしていた。
うーん、眠っていたい…
そう思っていると、自分の頬をつねられるような痛みに目を覚ました。
古い列車に乗っているかのように大地が揺れていた。
「ここはどこですか?…」
少年が尋ねた。
すると、男の子が答えた。
「やっと起きたね! 今、逃げてるんだよ。さあ、走れるなら背中から降りて!!」
その時、少年は起きたことを思い出そうとしていた。
ふと、生徒会長の顔が頭をよぎる。
見失ってしまったけど、大丈夫だったのだろうかと思っていた。
その時、九尾の狐の声がした。
「あなたね、心配そうな顔をしているんじゃないの。あいつらが来るんだから。さあ、急いで逃げるわよ!!」
九尾の狐の背中に、意識を失った生徒会長が乗っていた。
生徒会長を救出に来たのだろう。
ずっと、生徒会長は静かに眠っているようであった。
あと、戦いに敗れた朱雀もいた。
「もう、地上には安全な場所はないみたいね…」
九尾の狐の声がした。
「地獄に向かうことにしようよ。ちょうど、招待状もあることだしさ」
男の子の声がした。
「私は、行きたくないけど…。まあ、仕方がないわね…。ミコトの安全が一番だろうし…」
「ぼくは地獄に戻りたいんだよ~」
「はいはい。わかっていますよ…」
2人の会話は終わったらしい。どうやら、これから地獄に行くことになったらしい。
そう思うと、少年は目をつむることにした。
このまま地獄へ行くのも悪くないと思っていた。ただ、どうして自分が生きているのかがわからなかった。
【応援よろしくお願いします!】
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。