第77話 予知死
少年は走っていた。
きっと、禍々しい妖力に影響されたのだろう。このまま進んでいったら、自分は死んでしまうのではないかという思いが頭をよぎっていた。
不思議な気持ちが頭の中に浮かんできた。
簡単に死ぬなんて、そんなことあるはずがない。すぐに、そう思うことにした。
ただ、頭から死を拭い去ることができなかった。
まるで予知のように感じられた。
その時、足音が近づいてくることに気が付いた。振り返ると、先ほどの男の子が後を追ってきていた。
「待て、少年。これより先は危険だと思うけど!」
男の子が叫んだ。
その言葉に、少年は反論することができなかった。
男の子が心配そうに少年を見つめていた。
少年は、自分に死相が見えているのではないか、そんなことが頭をよぎっていた。しかし、少年は生徒会長を助けなくてはならないと思っていた。
まあ、こうなったのもダンジョンを作ったせいだしさ。
そう思うと、自分が笑っていることに驚いていた。
人生って難しいな。運命とか、宿命とか、そんなことを考えながら、少年は生徒会長を追いかけていくことにした。
◇ ◇ ◇
次第に、妖気が濃くなっていく。
走っていると山道で倒れている人がいることに気が付いた。
きっと、妖力に当たったのだろう。
これほどの強い妖力だと人体にも影響を与えるのだろうなと思う。
いったい、何が起きているのだろうか。
山の奥まで辿り着く。
段々、少年の頭は麻痺していた。
何も考えられなかった。
恐怖が強すぎて、それ以外の感情を押しつぶしてしまったみたいに。
「グルァァアアアア~」
その時、獣のような叫び声が聞こえてきていた。
青い空がひび割れた。
青い空から、氷で作られた虎が落ちてきていた。
「こんなところに、白虎がいるんだ!?」
男の子の声がした。
氷の虎は白虎の姿であるらしい。
ぐったりと倒れていた。
どうやら白虎は怪我をしているようである。
その時、知っている声がした。
振り向くと、そこには生徒会長の弟であった青鬼の姿があった。
「もう終わりですか? 白虎さん、まだ、戦いは始まったばかりだというのに…」
青鬼がそこに立っていた。
以前と、異なる雰囲気をまとっていて、人間を超越した存在へと変貌していた。
生徒会長には見せられないなと少年は思った。
青鬼の姿が、死神のように少年には見えていた。
青鬼がこちらを見つめていた。
青鬼の姿を目にして、自分が震えていることに気づいた。
「こんなところに人間がいるとはな…」
青鬼が言う。
青鬼は自分に気づいていないようだと少年は感じていた。
対応策に思いを巡らせていた。
すると、突然足の先に痛みが走っていた。
見下ろす。
すると、右足の靴には大きな穴が開いていた。
足からは血が溢れ出ていた。
「おや、どうしてだろう? お前の胸に穴が開かないんだ!?」
青鬼の声がした。
どうやら攻撃をされたらしい。
「逃げろ…、人間……。この状態を、あやかしたちに伝えるんだ…」
白虎の声がした。
すると、青鬼が返事をしていた。
「ダメですよ。ぼくの邪魔をしては…。白虎さん、あなたはセツナ様の贄なんですから…」
突然、白虎の頭部が吹き飛ばされていた。
ただ、光景を見つめていた。
その時、少年は自分の予知した死を見つめていた。
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