第76話 生徒会長の魂
生徒会室に1人の男の子が立っていた。
その姿は幼く、見た目は小学生の高学年くらいにしか見えなかった。しかし、途轍もない妖気を持っていた。
男の子は少年を見つめていた。
「ぼくと一緒に地獄に来てよ。そこで寝ている女を連れてさ…」
男の子の声がした。
いったい、地獄とは何だろうか。
そう思っていると、男の子が椅子に座っていた。
横を見ると、ソファーでミコト生徒会長が眠っているのことに気が付いた。
その姿を見て、少年は驚いた顔をした。
すると、男の子の声がした。
「この子、勝手に寝てしまったんだ…。ねえ、ぼくはどうしたらいいんだろう?…」
「きっと、生徒会長は疲れていたんだとは思います…」
「ぼくの話も聞いてくれなくてさ、勝手に、寝てしまったからどうしようかと思ったんだ。ホント、めんどくさいよね。やっぱり、ぼくは地上になんて来たくなかったんだ…」
「あの、生徒会長に用事があるんですか?…」
「その女の子の魂が壊れかけているだって。地獄にその子の魂があるから取りに来てって話をしてたんだよ。それなのに、突然、眠ってしまったんだ…」
「壊れかけた魂って…」
「何か知っている?」
「いえ…」
「そっか、さっぱりわからないんだよ…」
男の子は困った顔をしていた。
その時、少年は考え込んでいた。
どうやら生徒会長の魂が危険な状態であるらしい。
屋敷のことが原因だろうか。
生徒会長の魂が完全に壊れてしまったら、彼女はあやかしに変わってしまうのではないか。
ふと、少年はそんなことを思っていた。
「あの、生徒会長はどうなってしまうんですか?」
少年が尋ねてみた。
それを聞いて、男の子は困った顔をしていた。
「そんなこと、ぼくは知らないよ。知りたいなら、地獄へ行って、柳田邦夫に聞いてみたらいいんじゃないかな…。そう言えば、君の両親だって地獄にいるんだろ?」
「ぼくの両親は地獄にいるんですか!?」
「何だよ? そんなことも聞いてなかったの!?」
男の子の声がした。
「そうですね…」
少年は静かに返事をした。
すると、父親も母親も地獄にいるということなのか。
いったい、そこで何をしているのか、心の中でそのことに思いを巡らせていた。
「あの、ぼくも地獄に連れて行ってくれませんか?」
少年は男の子に視線を向けていた。
地獄という場所に興味を抱くようになっていた。
家族が何をしているか。
少年はそれを知りたくなっていた。
「もちろん、最初から、そのつもりだよ。ただ、その女を地獄へ連れて行かなくちゃいけないんだよ。その子を起こしてよ。何度も起こそうとしているんだけど、全然、起きてくれないんだからさ~」
そう言うと、男の子が疲れた顔をしていた。
ずっと、生徒会長の椅子に座り、男の子は生徒会長を見つめていた。
その時、地面が揺れ始めていた。
突然、妖力に満ちていた。
この場所から遠くないところ、強大な妖力がぶつかり合っているのが感じられていた。
その妖力は尋常ではなかった。
いったい、誰が戦っているのか…。
大地からはまがまがしい妖力が溢れ出ている。
その時、生徒会長が目を覚ました。
突然、妖力に導かれるように、生徒会長が部屋を飛び出していった。
少年は生徒会長を追いかけていく。
「待ってください!! 生徒会長~~~~~~!!」
少年が声を掛ける。
しかし、生徒会長振り替えることなく、ただ、妖力に向かって走り続けているだけだった。
彼女を止めることはできそうになかった。
強い妖力の方に向かっていく。
戦いの場所では5つの強大な妖力がぶつかっていた。
きっと、激しい戦いが繰り広げられているに違いない。
1つはセツナの妖力である。
そこに踏み込むことは危険だと少年は感じていた。
ただ、少年は生徒会長を追いかけていた。
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