第75話 地獄への招待状
世界が一変しようとしていた。
世界が新たな局面を迎えたようであった。その変化の原因には、無数に作られたダンジョンの存在があるだろう。ダンジョンが世界を根底から変える要因となろうとしていた。
そんなことを考えながら、少年は自分の部屋の隅に置かれた虫かごをじっと見つめていた。
かつて、たくさんのアリで埋め尽くされていたが、そのアリ巣はずっと静まり返っていた。気が付くと、少年は自分だけがこの世界に取り残されたように感じていた。
父も母も、家にはいなかった。
きっと、あやかしのことが影響しているのだろう。
ベッドに倒れこむ。
少年は動画を見つめていた。
最近、1つの動画配信が世間を騒がせていたのだ。
その動画は、あやかしの存在を現実の存在にとしようとしていた。
さらに、人々に警鐘を鳴らした。
あやかしというのは人間にとっての脅威であると。
いったい何が起きているのか、少年にはわからなかった。
ただ、それは仕組まれたようであった。
セツナの顔が浮かぶ。
もしかしたら、セツナというあやかしのせいだろうかと思う。
そんな気がしてならなかった。
既に、世界で何かが起きようとしていた。
もしかしたら、陰陽師の屋敷での凄惨なできごとが影響していているのかもしれない。あの日を境に、突然、あやかしが脅威として語られるようになっていた。
気が付くと、ダンジョンも変わっていた。
たくさんのモンスターによって埋め尽くされ、以前のように、自由に行動できる場所ではなくなっていた。
地獄の蓋が開いたようであった。
次第に、その深い闇の兆しが露わになろうとしていた。
気が付くと、人間とあやかしとの関係がおかしくなっていた。
人々はその対応に追われていた。
段々、生徒会も影響を受けることになっていた。
毎日、少年は生徒会長と作業をしていた。
ただ、気がかりなことがあった。
生徒会長のことである。
ずっと、生徒会長は心を失ったようであった。
それは、弟があやかしになったせいだろうか、生徒会長の家族のことだろうか。あの日から、誰一人、生徒会長の家族は見つかっていなかった。それを聞かされると、彼女は以前の生徒会長ではなくなっていた。
彼女は何かが変わっていた。
毎日、あやかしを助けることによって自分の精神を保とうとしていたのかもしれない。
一切、眠ることもしなかった。
彼女はあやかしのために行動をするようになっていた。
◇ ◇ ◇
朝になると、少年は生徒会室のドアを開けていることにした。
部屋に生徒会長がいると思っていた。
しかし、そこに立っていたのは男の子だった。
静かに少年を見つめていた。
不穏な空気を纏っていた。
「待っていたぞ、少年。お前に地獄への招待状を渡してやろう…」
男の子は少年に一枚の招待状を手渡した。
それは予期せぬ招待であった。
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