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第74話 混乱

 悪魔のような姿のセツナというあやかしが消え去ったにも関わらず、屋敷の中は不可解な雰囲気に包まれていた。誰もが冷静さを失ったようであり、何処となく混乱しているようであった。



 誰もが呆然と立ち尽くし、静寂が屋敷を支配していた。

 静けさの中、少年は窓の外に視線を向けた。


 空はカラスの大群で満たされていた。彼らはまるでハイエナのように血の匂いに引き寄せられたかのようだ。

 その光景に、少年は深い嫌悪感を抱いていた。



 屋敷の中で何か凄惨なことが起きたことがわかる。

 無意識に生徒会長の顔を見つめた。しかし、彼女の顔には一切の表情がなかった。

 感情を完全に失っているようであった。



 ただ、生徒会長の顔が真っ暗な闇に包まれているようだった。

 突然、彼女の体が震え始めていた。

 心配に駆られた少年は声をかけようとしたが、すすり泣くような声が聞こえると、ただ、その場で見守ることしかできなかった。


 生徒会長は感情を抑えきれずにいた。

 実際、弟が妖怪に姿を変えられてしまったのだから、心が不安定になるのも無理はないことである。


 

 冷静でいられるはずもない。

 ずっと、生徒会長を猫又さんが優しく介抱していた。

 少年は立ち尽くすことしかできなかった。


 

  ◇  ◇  ◇



 それから2時間が過ぎると、陰陽師たちが屋敷に到着した。

 陰陽師の本家から来たようであった。




「何があったのか教えてもらえるか?」




 陰陽師たちは少年に問いかけた。

 しかし、少年は首を横に振り、答えを拒否した。


 陰陽師たちは屋敷の中を駆け巡り、何処かに生存者がいないかと探し始めていた。だが、どれだけ探しても、屋敷にはもはや誰の姿も見つからなかった。人間の存在は消え去っていたらしい。



 屋敷にはあやかしの死体だけが残されていた。

 少年はふと、屋敷の人々が牛に変えられていたという話を思い出したが、そんなことを口にすることはできなかった。

 

 生徒会長の家族がいなくなってしまったということを受け入れたくなかった。

 この場所から離れたいと思っていた。

 

 

 

 その時、少年はミコト生徒会長に目を向けていた。

 生徒会長が立ち上がろうとしていた。

 

 

 

 彼女は陰陽師たちに声をかけた。

 

 

「あの、私にも探索を手伝わせてください…」



 陰陽師たちはその申し出に困惑した。慌てて、猫又さんが生徒会長に声をかけた。

 

 

「生徒会長、ゆっくりしておいた方がいいですよ~」



 猫又さんは心配そうな顔をしていた。



「大丈夫、私はもう大丈夫だから…」



 生徒会長の声がした。



 彼女は自分の足で屋敷の中を確認しようとしていた。

 足取りは不安定ながらも、ふらふらと屋敷の奥へと歩を進めていこうとしていた。



 気が付くと、生徒会長の姿が視界から消えていた。



 少年は何もすることができなかった。

 その時、彼はセツナの言った言葉が頭をよぎっていた。




「秘密を知っている…」




 と、あのあやかしが言っていた。

 どういう意味なのか。いったい何が起きているのだろうかと…。



 屋敷の中の凄惨な状態を目の当たりにしながら、少年はあやかしの言葉を考えていた。少年の頭は混乱していた。

 


 

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