第69話 屋敷の攻防⑦
少年の中からあやかしの魂の声が聞こえなくなった。やっと、体を自由に動かすことができるようになった。
その時、ミコト生徒会長が目を覚ましていた。
ミコト生徒会長の声が聞こえる。
「スクイ君、どうしてこんなところにいるの?」
ミコト生徒会長は体を起こすと、目の前にいる青鬼の方に視線を向けていた。
彼女は青鬼を見つめていた。
「どうして、こんな場所にあやかしがいるの…」
あやかしの姿を見ると、生徒会長は驚いているようであった。
少年は説明することができなかった。
ここは陰陽師の屋敷である。生徒会長はあやかしがいることが信じられない様子である。
ミコト生徒会長の気持ちは理解できた。
ただ、青鬼が生徒会長の弟であるとは言えなかった。
青鬼の姿を見ると、少年は返事をすることができなかった。
その時、青鬼がこちらに走ってきていた。
とっさに、少年は戦闘態勢に入ろうとした。
ただ、青鬼と戦うべきだろうか。
いや、ダメだ。
しかし、どうしたらいいのだろうか…。
そう思うと、少年は生徒会長に視線を向けた。
青鬼は生徒会長の弟である。そのことを知っているため、少年は青鬼と戦うことをためらっていた。
では、どうしたらいいのだろうか…。
ただ、そのことを生徒会長に説明することもできそうになかった。
その時、少年は逃げることを決心していた。
生徒会長に視線を向けた。
「生徒会長、ごめんなさい!!」
少年は生徒会長をお姫様抱っこしていた。
きゃっ、と声がした。
生徒会長が驚いた顔をしている。
「いったい、どうしたの!?」
生徒会長の声がした。
その時、少年は走り出していた。
「やっぱり、戦ってはダメだと思うんです。逃げましょう!!」
青鬼とは反対側に走り出した。
ただ、屋敷は広い。
廊下を走っても出口が見えなかった。
困ったように、少年が生徒会長に問いかけていた。
「あの、この先に出口はありますか?」
「きっと、裏口があるとは思うけど。ねえ、どうしてあの鬼と戦わないの?」
「それは、ダメなんです…」
「じゃあ、私が倒してあげる。おろして!!」
「ダメです。いまは逃げることを考えましょう…」
少年は廊下を走っていた。
しかし、目の前にたくさんの餓鬼たちが現れてきていた。
少年は立ち止まっていた。
すると、生徒会長の声が聞こえた。
「もう、あなたが戦わないんだったら、私がやることにするわ!!」
そう言うと、少年の腕からミコト生徒会長が飛び降りていた。
彼女は瓶から白い犬を出した。
白い犬が餓鬼たちを蹴散らしていく。
突然、大きなゾウが現れていた。
ゾウの体は白い塗料で模様がペイントされていた。
そのゾウが青鬼を吹き飛ばしていた。
ズドーーーーーーーン!!!
青鬼が吹き飛ばされた。
壁を壊し、さらに奥の部屋まで吹き飛ばされていく。
グラグラと大地が揺れていた。
部屋の中から地響きのような音が聞こえてくる。
大きなゾウが走っていた。
鼻が槍のようになり、青鬼の腹部を突き刺していた。
青鬼が真っ赤な血を吐き出す。
その時、青鬼の声がした。
泣きそうな声がする。
「やめて、お姉ちゃん、やめて………。痛いよ……」
それはタイチの声であった。
その声を聞くと、生徒会長の顔が青ざめていた。
「あなた、その声って、もしかして…、まさか、タイチなの………」
すると、大きなゾウが消えていく。
生徒会長の顔を見ると、青鬼がニヤリと笑みを浮かべていた。
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