第68話 屋敷の攻防⑥
あやかしの魂が少年の体を操作していた。少年の手を動かし、生徒会長の胸に突き刺した。ぐふっとミコト生徒会長の声が聞こえてきた。彼女は苦しそうな顔をしていた。ただ、あやかしの魂にためらいはなかった。強引に、ミコト生徒会長の中に入り込もうとしていた。
しばらくの間、生徒会長の魂を守る妖気をこじ開けようとしていた。錆びついた鍵穴を開けようとするように。ミコト生徒会長の中にある、あやかしの半分の魂を取り出すために。ずっと、少年はあやかしの魂を止めようとした。
「待ってください!!」
少年の大きな声がした。
一瞬、あやかしの魂が動きを止めていた。
——何故、止めようとするのか!?
「この人はあやかしたちを救おうとしていました…。ぼくは彼女を殺したくないんです…」
——だから、止めてほしいと?
「そうです…」
——なるほど、では、お前に聞こう。お前の中にある呪いはどうするのだ? 気が付いているだろ? 段々、その呪いはお前の魂に侵食していることを…
「それは、わかっています…」
——お前は助かりたくないのか?
「もちろん、助かりたいです。右腕に違和感を覚えることもあります。ただ、ダメなんです。きっと、彼女は死んではダメなんです…」
——ダメとは?
「世界で妖力が強まってきています。きっと、あやかしたちが暴れているのはぼくのせいだと思うんです…。だから、ぼくはあやかしたちを止めなくてはならない。そのために、彼女の力が必要になると思うんです…」
——はははっ、なるほど。いろいろなことがあったんだな。お前にも。魂から青臭さがなくなったのもそのせいだろう…
「あの、彼女を助けてもらえませんか?」
——どうやら、お前は勘違いをしているようだな…。別に、彼女を殺そうなんて思っていない。自分の魂を返してもらうだけ。オレの魂がなくなっても、おの女には自分の魂は別にあるだろ?
「じゃあ、助かるんですね?」
——もちろん。さあ、文句はないだろ? では、オレの魂を返してもらおう…
そう言うと、ミコト生徒会長の妖力を砕いていき、彼女の魂に触れようとした。
その時、あやかしの魂がおかしなことを言った。
——いや、おかしい…。この女、魂がないぞ…。どうして魂がないんだ!?
「どうしたんですか!?」
——待て。そうか、あいつのせいだな…。柳田邦夫という男、あいつが、この女の魂を隠してしまったらしい。その痕跡が残っている…どうやら、この女を助けるために、お前は地獄に行かなくてはならないようだ…
「魂を隠したって…」
——そうだ、地獄で柳田邦夫を探してくれ。そうすれば全てがうまくいく…。どうやら、また、オレは眠らなくて張らないようだ。この女は目覚めさせておく。2人で鬼はどうにかするんだな…後のことは頼んだぞ……
そう言うと、あやかしの声が聞こえなくなっていた。
その時、ドアの前に青鬼がいた。
突然、青鬼の叫び声が聞こえてきた。
「ぼくの体を傷つけたな。お前はぜったに許さないんだからな!!!」
激昂しているため、我を忘れているようである。
「タイチ君、待ってくれないか!!」
「うるさい。お前の話なんて聞きたくない!!」
青鬼の大きな声がした。
その声を聞くと、ミコト生徒会長が目を覚ました。
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