第66話 屋敷の攻防④
「やっと、ぼくは力を手に入れたんです。姉にも負けないぐらいのね。もう、誰もぼくを否定することなんてできないんだ。お願いです。スクイさん、ぼくに付いてきてください。そうすればあなたの望みだって叶えることができるんですよ」
生徒会長の弟、タイチ君の声が聞こえてきた。
ずっと、スクイ少年はタイチ君を見つめていた。さっき、彼はダンジョンにいたあやかしがモンスターに変わってしまったと言っていた。それは本当のことなのだろうか。いや、信じたくない。しかし、嫌な予感がしてきていた。少年は後ずさりをしそうになっていた。
少年はタイチ君に問いかけていた。
「タイチ君、何故、あやかしの仲間になったんだ?」
「そんなこと、スクイさんには言われたくないですよ。あなただってあやかしの仲間でしょ?」
「ぼくは、君の姉さんと一緒にあやかしの魂を救いたいと思っているだけだよ…」
「嘘だ。そんなこと信じられない…」
「なあ、ミコトさんの居場所を教えてくれないか?」
「やっぱり、あなたもみんなと同じなんですね。ぼくのことになんて興味がないんだ…」
「違う。そうじゃない…」
タイチの顔から表情が消えていた。
その途端、部屋の中には禍々しい妖気が満ちていった。
たくさんの餓鬼がうめき声を上げていた。
地面からは、餓鬼たちが這い上がろうとしているようであった。
タイチ君の声がした。
「もう、良いですよ。わかっていたことですから…。ただ、ぼくを否定するなら、あたなたは死ぬことになると思いますよ」
「死ぬって!?」
「そうです。いま、屋敷の結界を壊しました。たくさんのあやかしが屋敷に入ってきます。屋敷にいる人間は殺されてしまうことでしょう。だって、陰陽師はあやかしたちから恨まれていますから…」
「どうしてそんなことを…」
「だって、ぼくは陰陽師にはなれなかったんですよ。こんな苦しみには耐えられない。それに、ぼくは見たんです…。真っ黒な天使、堕天使ルシファーを…。きっと、あの方の苦しみが理解できると思うんです。だから、あの方の手助けをしたいんです!!」
そう言うと、タイチ君の体が変化していった。
その姿は青鬼のようであった。
「やっと、ぼくは力を手に入れたんです!! この力があれば屋敷の結界だって壊すことができるんです!!」
そう言うと、タイチ君は災いを退ける呪符を取り出していた。
その呪符を粉々にしていた。
結界がなくなると、地面から餓鬼たちが這い出てきていた。
タイチ君の笑い声が聞こえた。
「これで屋敷は終わりですね。たくさんのあやかしがここに来ることでしょう…あと、姉のことですよね。地下の懲罰の部屋にいるとは思いますよ」
大地が揺れ動いていた。ふいに、少年は足元に視線を向けた。
たくさんの餓鬼が足をつかんでいた。
◇ ◇ ◇
ドカーーン!!
その時、ドアが破壊された。
大きな音がすると、九尾の狐が部屋に入ってきていた。
九尾の狐の声がする。
「おかしな妖力があると思ったら、こんなところに鬼がいるなんてね…」
背中には法師が乗っていた。
しばらくして、猫又さんも走ってきていた。
法師が地面に降りる。
すると、彼は目の前にいる青鬼を見つめていた。
「強い妖力を感じていたのだが、こんな場所に鬼がいるなんてな…。青鬼に聞きたいんじゃが。お前は何処から来たんじゃ?」
「法師様、やっと来てくれたんですね。ぼくです。タイチですよ!!」
青鬼が返事をした。
ずっと、怒りに満ちた顔をしていた。
法師が驚いていた。
「なんじゃと…。タイチじゃと。それはどういうことじゃ…」
「あやかしから力をもらったんです。姿が変わっていて気が付かなかったですよね。ぼくはあやかしになったんです!!」
タイチ君が嬉しそうに笑っていた。
その姿を見ると、九尾の狐が人間の姿になっていた。
九尾の狐はタイチ君を睨みつける。
「あなた、魂まであやかしに売ってしまったようね。私にはどうでもいいことだけど…」
「あなたは九尾の狐ですよね? あなたも一緒にぼくが倒してあげましょう!!!」
そう言うと、青鬼が指示を出していた。
その途端、たくさんの餓鬼たちが彼らに向かって襲い掛かってきていた。
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