第64話 屋敷の攻防②
九尾の狐は、あやかしの集まる方へと歩を進めていた。
歩きながら、この世界の変化について思いにふけっていた。世界はおかしな方向に進んでいる。最近、あやかしの力が増していることを実感していた。
九尾の狐は原因が何であるかを考えていた。
きっと、ミコトやスクイ少年が関わっている可能性が高いと考えていた。
しかし、そのことを口に出すことはなかった。
もっと危険な何かが存在するような感じがしていたから。
世界で何かが起きている。
そのことを知らなくてはならない。
秘密を暴かなければならない。
しかし、九尾の狐でさえ、それが何であるかがわからなかった。
ただ、2人の中にある奇妙な力が気になっていた。
「まあ、急ぐことではないわ…」
独り言を吐いてから、九尾の狐はあやかしの集まる小屋へと向かうことにした。
一体、あやかし達が何をしているのか。
小屋の前にいるあやかし達に話しかけることにした。
九尾の狐が姿をみると、あやかし達は驚いた表情を浮かべていた。
「あれ、九尾の狐様じゃないのか!?」
「嘘だろ、どうしてこんなところにいるんだよ!!」
九尾の狐の姿を見ると、あやかしたちは慌てふためいていた。
その中から、雪女の声が聞こえてきた。
「九尾様、どうしてこんなところにいらっしゃるんですか!?」
九尾の狐が視線を向けていた。
雪女は跪いた。
九尾の狐は雪女に問いかけた。
「妖力を感じたわ。お前たちは一体何をしているの?」
雪女が答える。
「私たちは…、法師の坊主を殺しに来たのです。私たちの計画に干渉しようとしていますから。たいしたことではありません。九尾様、坊主が死ぬ様子をご覧になりますか?」
「そうね。ところで、その法師は何をしたの?」
「私たちは指令を受けて、陰陽師の娘を奪いに来たのです。しかし、法師が邪魔をしています。間違えて陰陽師の娘を犯人だと思っているようですが、このままでは放っておけません…」
「なるほど、そういうことね…」
どうやら、法師はあやかしと関係はないらしい。
そう思っていると、雪女の声がした。
「そうそう、今日、屋敷に侵入したバカな人間がいたらしいのです」
「侵入者?」
「そうです。きっと、娘の学友なのでしょうね。その侵入者を犯人にして、坊主を殺すことにしたのです。どうですか、九尾様は、坊主が殺されるのをご覧になりますか?」
「なるほど。そういうことね……」
「そのため、私たちは急いでおります。侵入者が捕まる前にやらなくてはならないので…」
九尾の狐は黙っていた。
何故か、彼女は怒りを感じていた。
法師が殺されても構わないはずなのに、気分が悪くなっていた。
九尾の狐は法師がいるという小屋に入ることにした。
「ちょっと、私が法師の相手をしてあげるわ」
九尾の狐の声が聞こえた。
◇ ◇ ◇
その時、猫又さんは屋敷の陰に隠れていた。
ずっと、九尾の狐があやかしたちと話をしているのを見つめていた。
九尾の狐の前で雪女が跪いている。
偉そうである。
ただ、あやかしと争いにはならなくてよかったと思っていた。
どうやら話が終わったらしい。すると、九尾の狐は小屋の方に歩きだしていた。
小屋の中に入っていったのである。
それを見ると、猫又さんは不安になっていた。
「いったい、何をしているの…」
猫又さんは呟いていた。
しばらくの間、猫又さんはあやかしたちも小屋を見つめていた。
何もできず、その場所に待機をしていた。
すると、小屋のドアが開いていく。
突然、法師を背中に乗せた九尾の狐がこちらに走ってきていた。
あやかしたちも呆然としていた。
びっくりしているのか、彼らは呆然と立ち尽くしていた。
九尾の狐の大きな声が聞こえてきた。
「さあ、早く、逃げるわよ!!」
猫又さんは九尾の狐を見つめていた。
九尾の狐が走ってくる。
猫又さんが返事をした。
「ちょっと、なんで法師を連れてきているのよ。そいつが犯人なんでしょ!!」
「今は話す時間がないわ。さあ、行くわよ!!」
「ちょっと、何が起きているんですか~!!」
猫又さんの大きな声が聞こえた。
ただ、どうすることもできず、九尾の狐を追いかけていた。
その時、法師が笑っていた。
「ほっほっほっ、こんなことになるとはな。年を取るものだな~。あやかしの背中に乗る日が来ようとは。愉快じゃ、愉快じゃな~~~~」
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