第60話 訪問
深い森の中を歩き続けていた。ミコト生徒会長の住む屋敷がその森の中にあるらしい。
町から離れてしまい、山の中を歩いているようですらあった。1時間ぐらいか、2人はミコト生徒会長の家に向かって森の中を歩いていた。
「陰陽師ってすごいですね…」
驚きながら、少年が声を出していた。
「それはそうよ〜」
猫又さんが返事をする。
森の中を歩いていると、段々と辺りが暗くなっているようであった。
急ぐように、少年は促しましていた。
それなのに、猫又さんは駅前で買ったサンドイッチを食べていた。
「もう、日が暮れてしまいますよ!」
「大丈夫。だって、もう、日が暮れてしまっているし。急いでも仕方がないわよ〜」
猫又さんはのんびりと答えていた。
それを見ると、少年は呆れた顔をしていた。
「そう言えば、あなたのペットの黒猫はどうしたの?」
「ぬらりひょんを探しに行くって、どこかに行ってしまいました…」
「へえ〜、そうなんだ。まあ、いないならいいけどさ〜」
サンドイッチを食べながら、猫又さんは少年の後をついてきていた。
彼らはゆっくりと山道を歩いていた。
日が落ちてきた。
それでも2人は山道を歩き続けていた。
夜になると、森の中から虫たちの音が聞こえてきていた。
人間の存在を拒絶するかのような暗い闇の中を歩いていた。
森の闇は段々深くなっていき、2人はさまようように歩いていくことにした。
しばらくして、やっとのこと森を抜けることができた。
目の前に、朱色に塗られた鳥居が見えてきた。
「やっと、見つかったわね」
そう言うと、猫又さんが少年の前まで歩いてきた。
鞄から金色の鈴を取り出していた。
鈴を鳴らす。
チリンチリン。
チリンチリン。
チリンチリン。
チリンチリン。
その音に誘われるように、鳥居の陰から人の形をした影が現れた。
のそのそと別の方向に歩いていた。
「大丈夫。使い魔だから、私たちを案内してくれるわ」
猫又さんの声が聞こえた。
その影は鳥居の中へと向かっていく。
追うように、2人はその後を追うことにした。
朱色の鳥居を抜けると、日本庭園のように広々とした庭が広がっていた。庭園を抜けると、威厳がある大門が現れてきた。その大門を見上げていると、突然、使い魔は忽然と消えてしまう。すると、猫又さんの声が聞こえてきた。
「これが生徒会長の住んでいる家よ。すごいでしょう!!」
猫又さんが門をたたいていた。
すると、大門がギィギィと音を立てて開き、屋敷の中から一人の老婆が現れた。
老婆は二人をじろじろと2人を観察している。
「はて、今日は訪問者の予定はなかったが…。お前たちは一体誰なのかね?」
老婆が問いかけた。
「私たち、ミコトさんに会いに来ました」
猫又さんが老婆に伝えていた。
すると、老婆が猫又さんの前にやってきた。
「ほう、学友の皆さんですかな…」
「はい、そうです」
「なるほど…。しかし、申し訳ないのだけれど、お嬢様には会うことはできないのですよ…」
「どうしてです?」
「この屋敷は特殊なのです。見ず知らずの人間には何も話すことができません。もしかしたら、あなたたちがあやかしかもしれないのですし。陰陽師は、あやかしに狙われていますからね。屋敷に入れることはできないのです。さあ、帰ってくださいな」
老婆が門を閉じようとすると、猫又さんは必死にそれを止めようとした。
「待ってください。どうしても入ることはできないんですか?」
「そうね…。私たちには判断できないの。でも、使い魔の試練を受けてみる?」
「わかりました。試験を受けます!」
老婆は笑いながら、
「わかりました。けっけっけっけっ。では、案内をいたしましょう…」
と言っていた。
その時、九尾の狐の声が聞こえてきた。
「騙されてはいけないわ…」
その声を聞くと、木の上から九尾の狐の少女が降りてきていた。
突然、老婆は倒れていた。
「あなたたち、こんな老婆に騙されてはいけない。試練なんて聞いたことがないわ。きっと拷問を受けるだけよ。こんなやつらは全員倒してしまえばいい。さあ、あの子を探しに行きましょう…」
九尾の狐の少女は門の中に入っていった。
「ちょっと、待って!」
猫又さんの声が聞こえてきた。
3人は屋敷の中に入ることにした。
大きな門を抜けると、京都のお寺のような建物が立ち並んでいるのが見えてきていた。
そこには強い妖力が満ちていた。
その妖力を感じると、少年は不安な気持ちを抱いていた。
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