第58話 異変
殺生石が破壊されたことで、あやかし達が力を持ち始め、世界のバランスが崩れ始めてしまったらしい。町中には妖力が溢れ、低級のあやかしの姿が確認されるようになっていた。
学校でも何か騒動が起きているかもしれない。少年は不安を感じていました。
久しぶりに学校へ行けるようになった少年が教室のドアを開けたとき、いくつかの空席があることに気が付いていた。転校生であるあやかしの4人が欠席しているようだった。他にも欠席している生徒がいるらしい。学校で何かが起きているのかもしれない。
そう考えていると、男性教師が教室に入ってた。
教師の大きな声が聞こえてきた。
「沼田!ちょっと来い!」
男子教師が呼びかけると、教室中の生徒たちが沼田君に視線を送った。
沼田君は不満そうな表情を浮かべていた。
「何ですか?」
「お前、あれほど連絡したのに、どうしてダンジョンに入ったんだ?」
教師が問い詰めた。
すると、沼田君が反論をしていた。
「待ってください。ダンジョンに行くのは僕の自由です。これは人権侵害ですよ。僕は何も悪いことはしていません。教育委員会にクレームを出しますよ!」
「お前、この数日でどれだけの人がダンジョンで死んだか知ってるのか?あそこは危険だ。ちょっと話をしようじゃないか」
「ええ、わかりました……」
沼田君が答えると、男子教師に連れられて教室を出て行った。
教室から2人がいなくなった。
すると、生徒たちのざわざわした声が聞こえてきた。
少年は混乱していた。ニュースでダンジョンの話題になっているらしい。しかし、少年は詳しいことを知らなかった。男性教師がダンジョンで人が死んだと言っていたが、それが本当かどうか疑問に思っていた。ダンジョンには手作りのスライムしかいないはず、有害な生物は存在しないと信じていた。
生徒たちがダンジョンでの死亡事故について話しているのを聞き、少年は驚きを隠せなかった。そんなことが起こるはずがないと思いながらも、金槌坊たちとの連絡が途絶えていたことが気にかかった。
何かが起きているのかもしれない。
もしかすると、転校生のあやかしが何かを企んでいるのかもしれない。しかし、転校生が不在で、真相は分からなかった。
教室はダンジョンの噂話で持ちきりだった。
その時、九尾の狐の声が聞こえてきた。
「やっと学校に来られるようになったのね……」
教室のドアの前には、九尾の狐の少女が立っていた。長い黒髪を揺らしながら、少女は少年の方へと歩いてきた。
「きっと薬のおかげですね。ありがとうございました」
「気にしないで」
「あの、ダンジョンで何が起きているんですか?」
「わからないわ。ただ、ダンジョンに異世界のモンスターが現れているという話は聞いたわ」
「異世界のモンスターですか!?」
「ええ、知らなかったの? あなたが眠っている間に、ダンジョンでは色々なことが起きていたのよ」
「そうなんですね。でも、僕にも色々あったんです…」
そう言い、少年は両親のことを考えていた。
これ以上、両親の2人には迷惑をかけるわけにはいかない、そう思っていた。
すると、九尾の狐の声がした。
九尾の狐の少女が悩ましそうな顔をしていた。
「学校もおかしいわ。4人の転校生も来ていないし、生徒会長も不在みたい…」
「生徒会長も来ていないんですか?」
少年が尋ねた。
「ええ、それが気になっているの。あなたが確認してくれない?」
「わかりました…」
その時、授業が始まるチャイムが鳴り響きました。
「じゃあ、またね。何かあったら教えて」
九尾の狐は隣の教室へと戻っていきました。
その後、少年は通常通り授業を受けましたが、沼田君はまだ戻ってこなかった。
ダンジョンで何が起きているのか、少年は確かめる必要があると感じていた。
しかし、ダンジョンは危険な場所となり、立ち入り禁止になっているらしい。ダンジョンに行くなら、他の人に見つからないように慎重に行動する必要があるだろう。学校が終わるのを待つべきかもしれない。が、ダンジョンのことが気になり、少年は教室にじっとしていられなっていた。昼休みになると、彼は教室を抜け出し、体育館の裏にある秘密のダンジョンの入り口へと向かっていた。
金槌坊たちが無事であることを確認することが、彼にとって急務であると思っていた。
少年はダンジョンのドアを開けることにした。
すると、ダンジョンの中は変化をしていた。
景色までが違っている。洞窟だったはずなのに石畳に覆<<おお>>われた通路が作られて、壁には火が付いた松明<<たいまつ>>が掛けられていた。ダンジョンの奥の方には骸骨<<がいこつ>>が歩いていた。いや、スケルトンと呼ぶほうがいいのだろうか。異世界のモンスターがたくさんいた。すっかり、ダンジョンが変わっていた。
そのことに気が付き、少年は呆然と立ち尽くしていた。
「いったい、ダンジョンで何が起きているんだ…」
少年の声が聞こえてきた。
彼の声は困惑に満ちているようであった。
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