第56話 両親のこと
玄関先には、奇抜な服装をした女性が立っていた。
黒猫は彼女をエンマ様と呼んでいる。
ただ、そこにいるのは金髪を風になびかせ、風変わりな女性でしかなかった。
少年をじっと見つめていた。
その金髪の女性が少年を指差していました。
「お前があやかしを止めるのじゃ。これは命令だ!!」
その言葉に、少年は動揺していた。
突然の言葉に戸惑い、立ち尽くしていると、再び、エンマ様の声が響きました。
「お前があやかしを止めると言っているんじゃ。なんじゃ、聞こえておらんのか?」
「いえ、聞こえていますが…」
「返事がないとわからんじゃないか。それでは詳しい話をしよう。部屋に上がらせてもらうかな」
少年の横を通り過ぎ、エンマ様は部屋にある椅子に腰掛けようとしていた。
勝手に部屋に入り込んできたのである。
それを見ると、少年は困惑していた。
「ちょっと待ってください。あやかしって何ですか? いったい、あやかしに何が起きているんですか?」
少年が彼女に問いかけていた。
すると、エンマ様が驚いた顔をして、少年の顔をまじまじと見つめていた。
「なんじゃ、両親から、あやかしの話は聞いていないのか!?」
「え…、両親ってどういうことですか?」
「なるほどな。秘密にしておいたのか。じゃあ、わしのことも聞かされていないんだろ?」
「はい、聞いたことがありません…」
「そうか、そうか。では、わしとお前の両親と話をしようか。あれは4年前のことになる。小学生のお前が、あやかしの魂を制御できなかったことがあったのさ。それで両親がわしのところに助けを求めてきたということだ」
「ぼくの中にあるあやかしの魂が暴走をしていた…」
そう言うと、少年は驚いた顔をしていた。
全く覚えていなかった。しかし、それが事実だとすると、両親はあやかしの魂のことを知っていたのだろうか、いや、そんなことがあるのだろうか、2人からあやかしの話を聞いたことはなかった。
「でも、母親は夜の飲食店で働いていると…」
「ああ、雪子さんか、彼女はあやかしの居酒屋の手伝いをしてもらっているからな。あやかしは丑<<うし>>の刻(午前1時から午前3時まで)に生活を指定やつが多いから、その手伝いをしてもらっているんだよ」
「じゃあ、父さんもですか?」
「それはそうさ。数か月前、あやかしの異変に気が付いて調査をしてもらっているはずだよ。幹部の一人だから、あいつは忙しくて家にも帰ってないんだろ?」
「ええ、そうです…。ただ、ちょっと、よくわからないです。どうしてぼくには話をしてくれなかったのだろうか…」
「心配させたくなかったんだろうな。ただ、お前の中にあるあやかしの魂には強い力がある。殺生石が壊されてしまったせいで、お前の力が必要になってしまったのだよ」
「え、殺生石ってなんですか?」
「あやかしの力を封印していた石さ。社<<やしろ>>の中に隠していたのだが壊されてしまったらしい。そのせいで、世界には2つのおかしなことが起きようとしている…」
「2つのこと?」
「いま、2つの魂が神になろうとしているさ…。その前に、ちょっと、茶でも用意してもらえるかな…」
エンマ様が少年を見つめている。
仕方がなく、少年はお茶を入れる準備をすることにした。
ずずずずずっ
エンマ様がお茶をすすっていた。
「うん、うまい。あと、茶菓子もあればいいのだがな」
「…………」
「まあ良い。では、あやかしの話をしようか。殺生石が壊されたせいで、あやかしたちは力を持ってしまった。それにより、ぬらりひょんが神の力を手に入れようとしているらしい。さらに、お前が作ったダンジョンではおかしなあやかしが神になろうとしているらしい。まだ、そちらについては情報が不足しているのだがな…」
「おかしな、あやかし…。それはどんなあやかしでしょうか?」
「詳しいことはわかっていない。ただ、天狗たちに調べてもらったからな。まあ、間違いではないのではないかと思っている」
すると、黒猫がテーブルの上にやってきた。
黒猫がエンマ様に声をかけた。
「ちょっと待ってください。エンマ様、最近の天狗はナマケモノになっております。天狗の話を信じられるのかを疑わざるえないと思いますが…」
「ああ、高尾の天狗はな。高尾山が日本遺産になって浮かれているからな。今回は、鞍馬山の鴉天狗に頼んだから間違いはないじゃろ」
「なるほど、そういうことなんですな…」
その時、エンマ様は机に脚を載せて、少年を指さしていた。
彼女は少年に命令をしていた。
「神になろうなどと、不届き者が出てきたのじゃ。そいつらを抑えられるのはお前の中にいるあやかしだけということ、さあ、あいつらを止めに行くのじゃ!!」
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