第53話 堕天使
少年は座り込む。
満月が雲に隠れたとき、大地は闇に包まれ始めていた。
戦いが終わっていた。
自分が作ったダンジョンに巻き込まれたおかしな出来事を思い返していた。
何が起きているのだろうか、と考えていると、突然、地響きのような音と共に大地が揺れ始めていた。
地面のひびが大きくなっていた。次第に、大地が崩れていくようであった。
その時、玄武はダンジョンの中へと落ちていく。
玄武は意識を失っていた。
それに気が付くと、黒猫が反射的に走り出して、滑り落ちる玄武を追いかけていた。
しかし、玄武の姿はダンジョンの中へと消えていった。
黒猫は足を怪我していたせいもあり、玄武に追いつくことはできなかった。
不満そうに顔をしかめる黒猫がつぶやいていた。
「あいつに聞きたいことがあったのににゃ…」
大地の裂け目から、黒猫はダンジョンの奥深くを見つめていた。
玄武は真っ暗な闇の中へと落ちていく。
ダンジョンの最下層まで落ちていったようである。
◇ ◇ ◇
深い闇の中、玄武は意識を失っていた。
静かな足音が近づく。
金槌坊Dが姿を現していた。
徐々に金槌坊Dが玄武を覆い尽くしていく。玄武の力を吸収し始めていた。
時間が経つと、金槌坊Dの姿は異形へと変貌していた。
数時間が過ぎただろうか、金槌坊Dは黒い悪魔を思わせる姿へと変貌していた。
真っ黒な翼を持つ堕天使のような存在になっていた。
彼の声が響いていた。
「やっと、私は神の力を手に入れた…。あと3つ、神の力を得なければならない。そうすれば、この世界を支配できる。刹那な刻、私は神となると決めた。主のために…。その時まで、私の名前をセツナと呼ぶことにしよう。さあ、ダンジョンを変えていこう…」
そう言いながら、彼はダンジョンの地面に術式を描き始めていた。
ダンジョンは悪意に満ちた空気で覆われていた。
描かれた術式が光を放ち始めていく。
セツナは異世界のようなダンジョンを創造しようとした。
神の力を使い、ダンジョンを変貌させていた。
「世界にある全てのダンジョンに術式を作り、世界を変えていこうじゃないか…」
そう宣言すると、セツナは深いダンジョンの闇の中へと消えていきました。
その時、彼は呼び名を変えていた。
セツナと言う名に。
術式を受けると、ダンジョンの中には変化が起きていた。
金槌坊Dが神の力を得てしまったせいだろう。
金槌坊たちも影響を受けていた。
抗うことができない。
金槌坊たちは自分たちの肉体が変化していくのを感じていた。
異世界のモンスターの姿に形を変えていく。
最後に、このことを主様に伝えなくてはならないと思っていたのだが、それもうまくはいかないことに気が付いていた。
「ああ、主様、どうか、わたしたちをお救いください……」
金槌棒たちが異世界のモンスターの姿に変わっていた。
既に、彼らは自我を失っていた。
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