第51話 2つの剣
突然、雨が降り出した。冷たい雨が街の中を満たしていくと、ふいに少年は違和感を覚えて上空に飛び上がっていた。
空高く、雨雲よりもずっと上にまで飛び上がっていた。
丸い月が照らしている空が見えていた。
遠くの方に妖力が集まっているところがあった。
誰かがいる。
敵がいるのか確認をするため、敵の妖気を検知してみることにした。数キロの周囲にあやかしの力があった。
「これじゃ、判断できそうにない。玄武をやるしかないってことか……」
地面の方から玄武の蛇のしっぽが向かってきた。
両手でしっぽの蛇を掴む。
別の両手を使って、蛇の頭を殴りつけていた。
玄武のしっぽがグラつく。
スクイ少年と一緒に落ちていった。
その時、玄武のしっぽにおかしな黄色いリングが付いていることに気が付いた。
そのリングはまがまがしい光を放っていた。
スクイが地面に着地する。
すぐに玄武の後方へと走り出した。ただ、彼の心はあのリングによって不安定になっていた。
一体、あのリングは何なのだろうか。
突然、頭の中に一人の老人の姿が浮かんでいた。
これは玄武の記憶のようである。
誰だろうか。
何故、老人の姿が頭に浮かんできたのだろうか。
「ワシはこの世界を統治したい。お前はワシに従ってもらう……」
老人の声が聞こえてきた。
何だろうか。
嫌悪感しかない。
いや、怒りしか感じない。
ただ、おかしい。
いったいなんで戦っていたんだっけ…。
少年はわからなくなっていた。
ただ、スクイは玄武のしっぽを掴もうとした。
鞭のようにしっぽがしなると、スクイ少年は弾かれていた。
戦うしかないんだな…。
「くそっ、なんか武器とかないのかな……」
「これを使っていいわよ」
九尾のキツネの声がした。
9本のしっぽの間から、倚天剣が具現化されていた。
少年はその剣を受け取っていた。
「すごい剣ですね……」
「そうね。あなたにはもったいない。その剣は天をも切り裂くという由来なんだからね!」
「使わせてもらいます!」
「さっさと倒してきなさいよ!」
「わかりましたよ!」
玄武が吐き出した水流が向かってきた。
スクイ少年は剣を振り下ろすと、水流が真っ二つに分かれていた。
「はははっ、これは凄い!!」
玄武の攻撃を切り捨てていく。少年は走っていた。
「面白い!!」
水流の塊を粉々に切り刻んでいく。
玄武の足元までくる。
玄武の右前足を切ろうとした。
だが固い。
剣が弾き返された。
「固い…。確かに、四神と呼ばれるだけはありますね…」
スクイは4つの手で剣を握っていた。
思いっきり、玄武の右前足に倚天剣をぶつけてみた。
ただ、どうしても切れなかった。
すると、黒猫の声が聞こえてきた。
「仕方がないにゃ。ぼくの剣も貸してやるにゃ!!」
「ありがとうございます!!」
黒猫が剣を取り出していた。
少年はその剣、天叢雲剣を掴んでいた。
今度は2つの剣を使うことにする。
2つの剣を使って、玄武の足を切ろうとした。
「ぐぬぬぬっぐおおぉおおお~~~~~~」
スクイ少年は顔を真っ赤にしていた。
右前足を吹き飛ばした。
上空に玄武の足が上がる。
グラグラ、玄武の体が揺らいでいた。
「切れないのなら吹っ飛ばすだけさ!!」
玄武は逆さまになりそうな体を必死に持ちこたえていた。
その時、少年は玄武の腹部へ走っていく。
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