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第5話 生徒会長

 犬も歩けば棒に当たるとはよく言ったもので、学校へ向かう途中で同級生にぶつかるなど、日常茶飯事でおきていることかもしれない。曲がり角で、体当たりを受けたスクイ少年にとって、これが初めてのことだっただけだろう。




 ドッカーーーーーーーーーン!!!!!




 衝撃で少年は吹き飛ばされ、地面に倒れ込んでいた。

 スクイ少年はその場に倒れていた。



 軽自動車にぶつかったのかと思ったのだが、どうやらそういうことではないらしい。少年は目の前の女性が倒れていた。



 彼女の方へ視線を向けることにした。 

 同じ制服の女生徒が倒れていた。

 


 見たことがある気がする。

 はっ、と少年は女性のことに気が付いた。

 生徒会長だ。


 彼女の名前は下鴨しもがも美琴ミコト


 高校三年生、生徒会長であり、全生徒から恐れられている存在である。先生からの信頼も厚く、学校のため、秩序のために行動し、ルールに厳格なタイプである。絶対、かかわってはいけないと思っていた。



 生徒会長の声が聞こえてきた。



「いててっ……ごめんなさい、誰もいないような気がしていたんだけど。どうしてだろう。おかしいな〜。おっと、君、大丈夫かい?」



 その声を聴いて、少年の胸がトクンってなっていた。

 何故か、少年の胸がときめいていた。




 おかしい。




 少年の中にあるあやかしの魂がさざめいていた。

 何が起きたのか。


 

 そう思っていると、ミコト生徒会長がこちらに歩いてきた。

 どうやら少年を心配しているらしい。



「ケガはない?」


 と、生徒会長が尋ねる。


 

 あの生徒会長が優しく手を差し伸べている。それに気が付くと、少年は驚きを隠すことができなかった。



「え? 大丈夫で…、です……」


 と、少年は返事をした。


 

 慌てているように返事をしていた。



 生徒会長の優しそうな顔がこちらに向けられていた。少年は顔を背けていた。だまされるな。生徒会長は悪即斬の人。かかわってはいけない。ダンジョンを作っていると言ったら、きっと、生きて帰れることはできないだろう。



 少年は生徒会長に視線を向けていた。

 生徒会長は長い髪をかき分け、その隙間から端正な顔立ちが見えていた。




 その時、あやかしの半分の魂が震えていた。何故か魂が震えている。それを抑えることができず、さらにその震えが大きくなっているように感じていた。いったい、どうしたというのだろうか。



 少年は自分の体を抑えることができなかった。

 ぎゅっと胸を抑えていた。



「どうしたの?」


 

 

 生徒会長の声が聞こえてきていた。


 何が起きているのか。

 あやかしの魂が何かに反応をしているような気がしていた。いったい、それは何だろうか。生徒会長に視線を向けた。違和感がある。あやかしのような力を感じる。もしかして生徒会長の中にもう片方の魂が宿っているということなのか。



 いやいや、そんなことがあるのだろうか。

 ありえない。



 きっと、間違いである。そう思ってみたけど、生徒会長から同じ波長の妖力を感じていた。すると、もう片方の魂が入っているのだろうか。


 胸がドライアイスでも触ったようにひりひりとしていた。

 ずっと熱いものを感じる。



 まさか、そんなことがあるだろうか……。

 そんなことがあるのかな……。



 どうしても信じられない。


 絶対、そんなことはないと思いたい。ただ、あやかしの魂が叫んでいる。ああ、それは生徒会長の中にあやかしの半分の魂があるということなのだろうか。いや、そんなことはないはず。そうさ、きっと、そう、あれさ、学校に行きたくなくて、おかしな夢でも見ているんじゃないだろうか。ああ、これは夢なんじゃないか…。



 ほっぺをつねる。

 あれ、痛いな。


 あれ。

 おかしいな。



 もう一度、ほっぺをつねる。

 おかしい。



 少年は生徒会長に声をかけてみることにした。

 問題ないさ。

 どうせ夢なのだと思いながら。

 


「あの……、ミコト先輩。ちょっとお願い事があるんですが……」

 と、少年が言う。


「君、私のことを知っているのか?」

 と、生徒会長が言う。



「生徒会長のことは全生徒が知っていると思いますけど…」

「ああ、なるほど。で、どうしたの?」


「あの、ぼくのほっぺ、つねってもらえないでしょうか?」

「え、それはどういうこと?」


「夢じゃないかと確かめたいだけなんです……」

「夢、寝ぼけてるの?」


「はあ、そうなんです。きっと、まだぼくは寝ているんだと思うんですよ……」

「夏休み明けだからかしらね。まあ、仕方ないわ……」




 ミコト生徒会長がスクイの頬をつねっていたた。



「いたたたたっ!!」


 痛みで、とっさに声を出していた。

 あれ、夢じゃないのか…。


 

「ごめんなさい、手加減が苦手で……」

「いえ、大丈夫です……」


 少年が言う。

 すると、ミコト生徒会長が笑っていた。


 笑い方は見覚えのある笑い方のような気がしていた。

 不思議な感じがしていた。



 うーん、どうやら夢ではないらしい。すると、あやかしの片方の魂が生徒会長の中に入っているということだろうか。いやいや、あり得ない。簡単に、片方の魂に出会えるものか。どうしても信じられない。


 ただ、気になることがある。生徒会長の中にあやかしの魂があるとしたら、その魂を取り戻すためには何をしたらいいのだろうか、少年の中にいるあやかしの魂に問いかけてみた。



 その時、生徒会長の声がした。



「あなたは1年3組のスクイ君よね?」

「ええ、そうです。何で知っているんですか?」


「生徒の顔と名前を憶えているの。凄いでしょ!」

「はあ……」


「じゃあ、元気そうだし、先に学校に行くわね!! グラウンド利用のことで話をしなくちゃならない用事があるの。何かあったら3年2組の私の教室まで来て!!」


 ミコトが鞄を拾っていた。

 ほどけた髪を結ぶと、彼女は学校の方に走り出していた。



 少年はその姿を見つめている。



 どうしたら良いのか。


 少年は立ち尽くしていた。ただ、これで呪いを解消することができるのか。道路にはミコト生徒会長が宿しているあやかしの妖力の残穢ざんえが満ちていた。



 妖気に心が満たされていく。


 まあ、それはあやかしの魂のせいなのだろう。

 ただ、少年はどうしても受け入れることはできなかった。



 少年は不安な気持ちを抱いていた。

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