第50話 玄武
少年は玄武の亀の甲羅の上に立っていた。後方では蛇のようなしっぽが鞭のようにうねっていた。彼に向かってしっぽが振り下ろされる。とっさに少年はそのしっぽを掴んだ。
すると、黒猫の声がした。
「少年、相撲にゃ、相撲をするにゃ!!」
しかし、少年は反応しなかった。相撲がわからない。足をすくうとか、そんな技術はない。だから、両手に力を入れて、力で玄武を投げ飛ばすことにした。玄武のしっぽを捕まえたまま、大地に降りると、スクイは大きな声を出していた。
「ぬおおおおぉ~~~」
スクイ少年が玄武を投げ飛ばしていた。
ずどーーーーん!!!
九尾の狐が驚いていた。
逆さまになった玄武が元の少年の姿に戻っていた。
同時に地面が崩れていく。
どうやら地面の下にはダンジョンがあったらしい。
玄武はダンジョンに落ちていく。
ダンジョンにはスクイ少年が倒れていた。
まったく動けなかった。
どうやら、少年は背中を痛めてしまったようだ……。
九尾の狐がやってくる。
「あんた、思ったより力があるみたいね。まるで山男みたい」
「山男?」
「知らないの? まあ、良いわ。今度、あなたを連れて行ってあげる」
そう言いながら、九尾の狐が少年を治療をしてくれた。
すると、黒猫がやってきた。
「ぼくが言った通りになったにゃ。やはり、相撲は凄いにゃ」
黒猫がはしゃいでいた。
その時、ダンジョンにある湖に玄武であった少年が落ちていった。
それを見ると、九尾の狐が慌てた声を出していた。
「ああ、なんてこと。ちょっと大変なことになったわよ。スクイ、早くこのダンジョンから離れましょう!!」
九尾の狐は少年の体を持ち上げていた。
治療をしながら、急いでダンジョンから出ようとしていた。
その時、ダンジョンの中にたくさんの人がいることに気が付いた。
誰か、少年の名前を読んでいた。
しかし、ダンジョンの暗闇の中では誰がいるのかはわからなかった。
九尾の狐に抱えられて、少年は落ちてきた穴からダンジョンの外に出ることができた。
九尾の狐は真剣な顔をしていた。
「玄武は水の神、いまは倒れているけど、水のせいで、すぐに元気になると思う。水から妖力を回復してしまったら玄武と戦うのは得策ではないわ」
外に出ると、九尾の狐は電信柱の上をぴょんぴょんと走っていた。
少年はその後をついていくことにした。
近くの川からたくさんの蛇が現れてきた。
こちらに蛇たちが向かってきた。
追いつかれないように、少年たちは川沿いの道を走っていた。
川から亀の大きな甲羅が現れた。
甲羅に一つの大きな目があり、こちらの方に視線を向けていた。
「スクイ君、動ける?」
「大丈夫です…」
治療してもらって、どうにか体を動かすことができた。
少年の肩に黒猫が乗っていた。
「待て、何かが飛んできたにゃ!!」
少年が振り返る。
水の塊が飛んできていた。
速すぎる。避けきれず、九尾の狐が吹き飛ばされていた。
近くにいるスクイも弾き飛ばされた。
二人は地面にたたきつけられていた。
九尾の狐は動けない。
「いててててっ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、かすり傷ぐらいよ……」
スクイ少年の傷は浅かった。
しかし、九尾の狐は起き上がることができなかった。
「いったい、どうしたら良いんだにゃ!!」
「水の近く、ここで戦うべきではないわよ…」
「あの、二人は逃げてください。ぼくが止めてみます!!」
スクイ少年が立ち上がっていた。
自分の体の中にある妖力を使ってみることにした。
突然、少年の体が異形の姿になった。
彼の手が4つになり、体は3メートルほどの大きさになっていた。
ただ、顔は1つのままだった。
思ったよりも動けそうだなと少年は思う。
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