第45話 勝負
放課後になって、少年は生徒会室のドアを叩いていた。生徒会長がいて、その隣には九尾のキツネの少女が座っていた。
生徒会長の声がする。
「スクイ君、この前はありがとう。そして、もう一度、私たちはダンジョンに行こうと思っている。あのダンジョンにはあやかしの秘密があるようなんだ。その調査をしたいんだ…」
九尾のキツネの少女が少年をじっと見つめていたが、少年は黙ったままだった。
できれば、ダンジョン調査には行きたくなかった。
しかし、生徒会長はダンジョンのことを気にしているようである。生徒会室での話が終わった後、少年は自宅に戻り、食事を済ませ、歯を磨き、風呂に入った後、ベッドに潜り込んだ。
薄明かりを見つめながら、生徒会長の言葉を思い返していた。
ずっと、生徒会長の言葉が頭に残っていた。
「私はダンジョンの秘密を暴くつもりだから…」
何を意味するのか考えていた。
気が付くと、少年はいつの間にか眠りに落ちていた。
◇ ◇ ◇
次の日、学校での普段通りの生活を送っていた。
昼の休憩になると、少年の机の上では黒猫が横になっていた。
腹を出してふてくされている。
いったい、何を怒っていたのだろうか。
「何かあったんです?」
それを聞くと、黒猫は小さく目を開けていた。
しかし、少年に返事をすることはなく、ただ、不満そうな顔をするだけであった。
「別に……」
「どうして、機嫌が悪いんです!?」
「怒ってにゃいわ。ただ、あの九尾のことにゃ、今日になったら、学校に来てミコトにくっ付いてアホ面をしてやがるにゃ。そんな姿を見たら、腹が立たないわけがにゃいじゃないか!!」
「ああ、なるほど……」
「あいつは何かを企んでいるんだ。そのことをミコトに伝えなくてはならないにゃ!!」
「だから、腹を立てているんですね?」
「腹なんて立ててないにゃ!」
「そう言えば、さっき、教室で2人は楽しそうに話をしてましたよ」
「あーあーあー、そんなこと聞きたくにゃーわーーーー!」
黒猫は耳を折りたたんでいた。
その時、教室のドアが開いて、九尾の狐の少女が立っていた。
黒猫が九尾の狐の少女を睨みつけた。
どうやら仲が悪いらしい。
「もう、お前、何をしにこんなところに来たんにゃ!!」
「あら、教室に来るのは当然じゃない。ただね、私、あやかしだから私は太陽とか苦手なのよ…」
少女が手をかざした。
太陽の光を浴びて、血管が透けて見えるほど繊細な美しい手がそこにあった。
その真っ白い手からは、儚さが感じられた。
その時、黒猫のつっけんどんな声が響いた。
「九尾、お前の教室は隣にゃろ!!」
「ふふふっ、そうね。ただ、あなたと話をしに来たのよ…」
「あー、無理無理。ぼくは忙しいんだにゃー」
「へー、忙しいのね。でも、さっきまで屋上でごろごろしてただけでしょ? 猫だから昼寝も大事なお仕事なのかしらね~」
「ち、ちがうにゃ…。いろいろと考えていただけだにゃ……」
「へぇー、それは凄いわね~」
「くっそ、信じてねーにゃー。本当なんだからにゃ!!」
九尾のキツネがくすくすと笑っていた。
それを見ると、黒猫はずっと不満そうな顔をしていた。
その時、九尾のキツネの少女が提案した。
「じゃあ、黒猫さん、私と勝負しませんか?」
「勝負って何にゃ!?」
黒猫が尋ねた。
「ミコトさんを賭けての勝負ですよ。どうですか?」
「なるほど、いいにゃ。やってやりるにゃ!!」
「それでは、ダンジョン配信の視聴者数で勝負しましょう!」
「わかったにゃ。こっちには有名な配信者がいるからにゃ。さあ、少年、私と一緒にダンジョン配信に行くにゃ!!」
黒猫は少年の顔を見つめた。
ダンジョン配信の話を聞いて、少年の顔が引きつっていた。
「え、ぼくも行くんですか?」
「当然にゃ。黒猫一匹でダンジョン配信などできないにゃ。一緒に、忌まわしい九尾の狐をぎゃふんと言わてやるにゃ!!」
「待ってください。ぼくは絶対にダンジョン配信なんてしませんから!!」
少年は叫んでいた。
ただ、黒猫は無視していた。
黒猫により少年はダンジョン配信をすることになったらしい。
【応援よろしくお願いします!】
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。