第42話 ダンジョン配信の夜
その夜、少年は自宅のベッドで眠りについていた。しかし、何かが心地よくなく、突如として真夜中に目覚めた。
目を開けると、彼の体には大蛇が巻き付いていた。その大蛇は、藤原得子が夜刀神に変わった姿だった。なぜ彼女がここにいるのか、昨日、九尾とはぐれてしまったらしく、少年の部屋に入り込んでいたらしい。
少年は何度も彼女を追い出そうと試みたが、その度に眠りに落ちてしまっていた。夜刀神は少年が目覚めるのを待っていたが、退屈を紛らわすために、結局は少年の体に巻き付いていたという。
「く、苦しい……」
少年が言う。
夜刀神が長い舌をペロッと出していた。
あやかしとは不思議なものである。
寝ぼけ眼をこすりながら、少年はトイレへと向かった。トイレのそばで黒猫が震えていた。どうやら蛇は苦手らしい。そういえば、ダンジョンでは静かだったな、と少年は思い出した。
コップを手に取ると、水道水を飲むことにした。
昨日、翔平と話したことを思い出していた。
翔平は不満そうなことを漏らしていた。どうやら、翔平たちはダンジョンの記憶がないらしい。
それを聞いて、少年はほっとしたのを思い出していた。
トイレから出ると、酔っ払って帰宅した母親が帰ってきていた。少年は、眠ってしまった母親をそっとベッドまで運ぶことにした。
母親が酔いつぶれて帰ってきたので、少年は彼女を優しく布団に寝かせた。その後、天井裏でうごめく夜刀神に、この家を離れるよう告げると、少年は自分のベッドに潜り込もうとした。その時、携帯電話が鳴り響いた。
電話は翔平からだった。
「おい、スクイ、お前、一体ダンジョンで何をしたんだ!?」
翔平の声は慌てていた。
それを聞いて、少年は眠そうに返事をした。
「おいおい、ちゃんと聞いてるのか?」
「ああ、聞いてるよ。ただ、何を言ってるのかさっぱりだよ…」
「とにかく、ネットを見てみろって!」
「え? こんな夜更けに何でそんなことを…」
「急いでるんだって!」
不満そうにしながらも、少年はノートPCを開くことにした。
そして、ニュースサイトを開いてみると、そこにはダンジョンの出来事が詳細に報じられていた。
ダンジョン配信者の中に有名なユーチューバーがいたらしい。
ユーチューバーが死亡したと書かれている。
「うわぁ~、ユーチューバー、ダンジョンに来ていたんだ!?」
「違う、違う。そっちじゃない!!」
「え、違うの?」
「そうだよ、いま、URLを送ったから見てみろよ!」
メッセージの通知音と共に、少年のPCにはURLが届いていた。
少年はそのリンクをクリックした。
画面はダンジョン専門の動画サイトへと切り替わり、そこにはある映像が流れていた。
それは、少年自身が黒い狼の腹部を力強く殴り、狼の上半身が天井へと吹き飛んでいく様子を捉えたものだった。
「うわぁああ〜〜〜〜〜、ぼくの姿が映っているじゃないか〜〜〜〜〜〜」
少年の驚きの声を出していた。
しばらくの間、真夜中の静寂を破る叫び声が部屋中に響き渡った。
◇ ◇ ◇
翌日、少年は学校へと向かっていた。
駅を出ると、そこにはミコト生徒会長の姿があった。
どうやら少年を待っていたらしい。
生徒会長が少年に向かって手を振っていた。
「おはようございます。生徒会長…」
と、少年が挨拶をしていた。
その時、猫又さんが駆け寄ってきました。
「生徒会長、やっと戻ってきてくれたんですね!」
と、猫又さんが言っていた。
ミコト生徒会長に抱きつき、顔をスリスリと擦り寄せていた。
その後、猫又さんは少年に目を向けていた。
「あら、ダンジョンで有名になったスクイ君じゃないですか~」
猫又さんはにやにや笑っていた。
「ところで、副会長はどこに行ったんでしょう?」
そう言うと、猫又さんは首を傾げました。
「さあ、何処にいるのかしらね…」
◇ ◇ ◇
その頃、剛力副会長は天狗の屋敷の前に座っていた。天狗に囚われていた生徒会長を助け出そうと、副会長はずっとその場所を離れずにいた。しかし、生徒会長が既に屋敷から逃げ出していた。そのことを副会長が知ったのは、それから数日後のことであったらしい。
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