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第35話 ダンジョンへの誘い

「やっと、妖力の使い方が分かってきたようだにゃ」


 黒猫の声がした。


 野球の練習にも慣れ、妖力の操作にも手慣れた少年は、早くも1週間が経とうとしていた。小学生の頃に培った野球の技術が蘇り、バットを握る感触やグラウンドの土の匂いが、懐かしい記憶として心に甦る。何も考えずにただグラウンドを駆け回っていたあの頃を、彼は思い出していた。



 練習を終えた少年は、泥だらけの服から着替えていた。

 彼は、翔平と一緒に家へ帰ることにした。


 2人は駅へと歩いていた。



「スクイ君、手伝ってくれてありがとう。やっぱり、君は野球がうまいからな……」


 翔平の声が聞こえてきた。



「大したことじゃないよ」

 


 少年は笑っていた。

 ダンジョンのことをすっかり忘れてしまったかのような、心からの笑顔だった。


 しかし、次第に話はダンジョンのことになっていた。 



「そうだ、スクイ君、もう一つ、君に頼みたいことがあるんだ……」


「頼みたいこと?」


「来週なんだけど、秘密のダンジョンに行くことになってるんだ。君も一緒に来てくれないかな? たくさんの仲間がいたほうが安全だろうし……」


「え、ダンジョンって。それって、もしかして……」


「そうだよ。話題になっているじゃん。ダンジョンのこと、配信してみたくてさ。君にも手伝ってほしいんだよ」


「ぼくが手伝いをするの?」


「うん、そうだよ」



 翔平は真剣な顔をしていた。


 少年は困ったなと思う。ダンジョンを作っているのが自分であるとは言えそうにはなかった。それに一週間ほど、彼はダンジョンに行かないでいた。スライムのことがあってから、何となく彼はダンジョンから離れていた。

 そんな時、ダンジョンへの冒険の誘いを受けることになった。実際、教室でダンジョン配信が話題になっている。ただ、少年はそういうことに疎くてどうしていいのかわからなかった。



 ぼくに手伝いなんてできるのだろうか……。


 どうしようかな。



 そう思いながら、少年は翔平の顔を見つめていた。

 ただ、翔平の頼みを断ることができない。



 翔平は真剣な顔で立っていた。


 少年は困ったなと思う。ダンジョンを作ったのは自分だけど、それを言うわけにはいかないなと。

 一週間ほどダンジョンから離れていた。



 スライムの件以来、何となくその場所を避けていた。そんな中、ダンジョンへの冒険に誘われることになった。教室ではすでにダンジョン配信が話題になっていたが、そのようなことに疎く、少年はどう対応していいかわからなかった。



 ぼくに手伝いなんてできるのだろうか……。

 どうしようかな……。


 

 そう思いつつ、少年は翔平の顔を見つめていた。

 しかし、翔平の頼みを簡単には断ることはできなかった。



 少年は考え込んでいた。



「ダンジョンか……。まあ、よくわからないけど分かったよ……」


 

 と、返事をした。



「ありがとう、じゃあ、今度な!!」



 そう言った途端、翔平は駅へと走り出した。

 一緒に帰る約束だったのに、と少年は戸惑いながら思った。




 ◇  ◇  ◇  

 


 

 翔平がいなくなると、少年は一人で駅へと向かう帰路を歩いていた。


 ふと、少年は立ち止まった。

 後方から漂うあやかしの妖気を感じ取り、誰かに尾行されている気配がした。




 一体、誰がいるんだろうか……




 そう思いながら坂道を下り、駅前の群衆を抜けた。

  立ち止まり、踵を返していつもとは別の方向へと進路を変えてみることにした。


 住宅街の中心に向かっていくことにした。坂道を駆け下りるように歩いたが、まだ誰かが後をついているようであった。スーパーの前を通り抜ける。駐車場に入った時、少年は公園に立ち止まり、相手が現れるのを待つことにした。



 左右に視線を送り、あやかしの姿を探していた。

 すると、生徒会長の声がした。



「スクイ君、君はこんなところで何しているんだ?」



 振り返ると、学校に来ていないはずのミコト生徒会長がそこに立っていた。

 その姿を見て、少年は困惑していた。



「あれ!? いや、どうして生徒会長はここにいるのですか!?」



 すっかり、驚いた顔をしていた。

 猫又さんは生徒会長は天狗のところで匿われていると言っていた。



 どうしてこの場所にいるのだろうか…。



 生徒会長は真剣な顔をしている。



「ああ、このあたりで変な感じがしたんだよ。妖力に似たような感じというか。何が起きているのかを確かに来たんだ」


「いや、そうじゃなくて…」


「どういうこと?」


「生徒会長は天狗の所にいると聞いていたので…」


「ああ、そうか。天狗たちが口うるさいから逃げてきたんだよ」


 生徒会長は笑っていた。

 その顔に悩みはなく、吹っ切れたような表情をしていた。

 


 生徒会長は真剣な顔をしていた。




「なあ、スクイ君、君にお願いがあるんだ。私と一緒にダンジョンに行ってくれないか?」



 

 それを聞いて、少年は返事をすることができなかった。



 また、ダンジョンの話である…。

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