第30話 ダンジョンとスライム
少年はダンジョンの入口で待機をしていた。どうやらダンジョンの入場には規制がされているらしい。
生徒会長が市の職員と話をしていた。
ずっと、少年はダンジョンの入口に視線を向けていた。辺りは工事現場のような塀が建てられて、小さなドアが付けられていた。カギがないとダンジョンの中に入ることはできなくなっていた。
まあ、ダンジョンの入口はたくさんある。
市が管理するにしても全ての入口を把握はしていないだろう。きっと、隠れて、いろんな人がダンジョンに入り込んでいるに違いない。そう言えば、今でもダンジョン配信は流行っているのだろうか、そう思いながら、少年は黒猫の背中をさすっていた。
「や、やめろ、モフモフするな。そういうタイプの話じゃないんだにゃ!!」
「大丈夫です。ちょっとだけ、ちょっとだけ……」
そこらへんにいる野良猫とは違うなと思う。
妖力のせいだろうか。
「ああ、止めろにゃ。生徒会長が戻って来たぞ。さあ、ダンジョンに入るんじゃなかったのかにゃ…」
生徒会長がこちらに歩いてきた。
それでも、少年は猫の喉ぼとけをさすってみた。
黒猫のしっぽがぴくっと反応した。
「もう止めろ、お前はいったい何をしているんだにゃ……」
黒猫が猫パンチをくらわしてきた。
まるで攻撃力はない。
また、喉ぼとけをなでる。
気が付くと、黒猫はゴロゴロと音を出していた。
「もーーーー、いい加減にしろにゃーーーーーーーーー!!!」
黒猫が怒っていた。
すると、生徒会長の声がした。
「あなたたち楽しそうね。ダンジョンに入る準備ができたわ。さあ、入りましょうか!」
「わかりました…」
と、少年が返事をした。
少年が立ち上がると、また黒猫が彼の肩に乗っていた。
黒猫が肩の上で丸くなっていた。
「さあ、ダンジョンに入るにゃ。今日は、君のダンジョンを堪能させてもらうにゃよ」
少年は黒猫の額を撫でていた。
黒猫は目を閉じていた。
少年がダンジョンの前に来ると、黒猫はうっすらと目を開けていた。
市の職員がドアを開ける。
黒猫はダンジョンの中を見つめていた。
少年たちはダンジョンの中に降りていこうとしていた。
◇ ◇ ◇
少年たちはダンジョンの階段を降りていく。
階段は人工的に作られ、綺麗に整えられていた。工事現場のような明かりが付いている。市の職員が付けたのだろうか。階段は明かりで照らされていた。ただ、奥の方は真っ暗になっていた。
副会長の剛力がライトを付けて、ダンジョンの先をぼんやりと照らしていた。階段を降りると、どでかいトンネルのような空間が広がっていた。
「うわーーー、広いな――――!!!」
と、副会長。
天井までは数十メートルはあるだろうか。
ただ、少年は見慣れていることもあり、まったく興味がないように歩いていた。
ライトの明かりで闇を照らした。
まっすぐに歩いていくが、そこには真っ暗な闇しかなかった。
「もっと、先に行こうぜ……」
副会長の声がした。
集団がばらけないようにと、副会長は大きな声で先導していた。
明かりを頼りに進んでいく。
少年たちはダンジョンの中を歩いていた。
ただ、誰もいない。ずっと、自分たちの足音が聞こえてくるだけ。それなのに、少年の肩では黒猫がギラギラと目を光らせていた。30分は歩いただろうか、突然、飛び跳ねている音が聞こえてきていた。その音を聞いて、少年が立ち止まり、副会長のびっくりしたような大きな声が聞こえてきた。
「うわー、スライムがいるぞ~~~~!!」
副会長が叫んでいた。
ライトの明かりでスライムが照らされていた。
スライムが飛び跳ねる。
その時、少年は金槌坊との会議のことを思い出していた。
ああ、本当に、スライムを作ったんだな~、と少年は思っていた。
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