表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/106

第3話 あやかしの魂

 その夜、土砂降りの雨が降り続けていた。


 少年は部屋で横たわり、苦しげな声を上げていた。窓ガラスには彼の苦痛に満ちた顔が映り、生気を失ったかのように青白く見えた。妖気を帯びた石を壊したことにより、彼の体は熱を帯び、右半身が動かなくなっていた。


 前世からの記憶のような景色が浮かんでいた。見たこともない山々や川が頭の中に現れ、頭の中が混乱していく。雨のせいだろうか、段々と体が冷えてくると、少年の体は凍結するかのように冷たくなっていった。


 おやしろにあった丸い石を壊してから、数時間、少年は意識を無くしていたらしい。その間、少年は誰かの声が聞こえてきていた。



 知らない声が聞こえる。



 「石を壊してくれ……」と、その声は語りかけていた。

 その声が語り掛けてきた。

 


——やっと、目を覚ましたようだな。ずっと、語りかけていたというのに気が付いていなかったのだがな。いや、何かがおかしい。この世界に妖怪を甦らそうとしているみたいだな。きっと、地獄につながる穴でも開けようとしているのだろう。なあ、少年、いまのオレには魂が半分しかないみたいなんだ。もう半分のオレの魂を探してくれないか?




 その声を聞き、少年は目を覚ましていた。

 

 

 

 彼は起き上がろうと試みたが、右半身に重りが乗せられたかのように動かなかった。部屋でずっと眠っていたような気がしていたが、同時に見知らぬ山の中を走っていたような感覚が残っていた。ここは一体どこなのだろうか。



 いや、これは夢なのだろうか。

 

 


 声がまた聞こえてくる。



 

——少年、それは呪いだよ。オレの力を使ってお前の右半分を動かせるようにしてやろう。だから、オレの魂を探してもらいたいんだ……




 少年は頭の中で囁いてくるあやかしの声を聞いていた。



「あなたはいったい誰ですか? ぼくはただダンジョンを作りたいだけなんです!」



——オレが誰かだって? 


「そうです……」




——さあ、それはわからない。何か使命があったような気がする。ただ、それを思い出すことができない。ただ、お前に声をかけていた。その声が聞こえるようになったのはあの石の力だろう。金槌坊かなづちぼうが探し当てたんだろう? 特殊な石に違いない。ただ、何も思い出せない。俺は記憶を失ってしまったようだ……



「記憶を失っている?」



——そう、おかしい話だと思うだろ? それを否定はしないよ。だけど、自分が何者であったのか、それすら覚えていないんだ。突然、この世界に戻ってきていた……



「あの、ぼくの呪いって何ですか?」



——そうだ、呪いのこともある。お前は、呪いをかけられてしまったのさ。その呪いを解いてやる。だから、オレの魂の半分を探してきてほしい……



「た、魂ですか?」



——なんだ? 何かがおかしいな……



「え、どうしたんですか?」



——誰かがオレの力を押さえつけようとしている。しばらくしたら、オレは何もできなくなってしまいそうだな。最後に、お前の呪いを押さえつけておくことにする。お前は右半身を動かすことができるだろう。その間に、オレのもう片方の魂を探してほしい。そうだ、オレには世界を変えられるだけの力があった。少年にもその力を分けてやることだってできるから……




 


 声が途切れると、少年は深い闇の中へと落ちていった。


 何か異変が起ころうとしている。

 少年は、自分の中に別の魂が溶け込んでしまったような感覚に襲われた。




 周囲には誰の声も届かない。

 深い闇の中を落ちていく。少年はずっと眠り続けていた。

【応援よろしくお願いします!】



 「面白かった!」



 「続きが気になる、読みたい!」



 と思ったら



 下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。



 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!



 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。



 何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ