第27話 尋問
「では、少年よ。これから尋問をさせてもらおう!!」
天狗の声が聞こえた。
その時、山の上からは太鼓と竹笛の音が聞こえてきていた。
天狗は背中のワシのような白い羽を動かして、バサバサと飛び上がり、少年の周りを飛び回っていた。
その時、ぶわっと少年の体が炎で燃え上がっていた。
彼の体が真っ赤な炎で覆われた。
太鼓と竹笛の音が聞こえると、それは儀式の様子であるように見えた。
少年が立ち尽くしていた。いや、彼は動けなかった。何故か、自分の体を動かすことは危険であるような気がしていた。
ずっと少年は自分の周りの炎を見つめていた。
両手を見ると、炎が手袋のように覆い尽くしていた。しかし、熱さはなく、しっとりとした膜に覆われている感覚がしていた。
それを見ると、若い天狗たちは困惑していて、老人の天狗が微笑みを浮かべていた。
2人の天狗の声が聞こえてきた。
「どうしてだ。白状しろ、お前が盗んだんだろ!! さあ、吐くのだ!! さあ、吐け!! さあ、さあ、さあ、さあ!!」
そう言いながら、天狗が少年の周りをぐるぐると飛び回っていた。
飛び回っている2人の天狗が探偵のように盗難事件についての話をしていた。
どうやら少年を犯人にしたいらしい。
しかし、数分後、少年の周りの炎が消えてしまっていた。
体の痛みはない。
皮膚に火傷のような跡も残っていなかった。
若い天狗は口笛を吹いていた。
口笛の音を聞き、忍者のような姿の天狗が林の中から飛び出してきた。
「カナデ、さあ、報告しろ!!」
「はい、主様。ご報告いたします。無罪のようです!!」
と、忍者姿の天狗が言った。
「それは本当か? 絶対、間違いはないのか!?」
メガネの天狗が頬をヒクヒクとさせている。
忍者の天狗が返事をした。
「はい、アマテラス様の力をお借りしておりますので、この結果は正しいと考えております」
「この男は犯人ではないということだな…」
「はい!」
「そうか……。やっぱり、違ったか………。ああ、どうしよう。こうなったら、大天狗様に盗まれたことを伝えなくちゃならないじゃないか~。もう怒られたくないよ~」
バタバタと羽を動かして、2人の天狗が騒いでいた。
それを見ると、老人の天狗が2人の天狗をなだめようとしていた。
「若様たち、もう、諦めなさいませ。正直に話をすればお父様も許してくれると思いますよ…」
「そんなことないよ。もう、じいは黙ってて! 絶対、お父様は許してなくてくれないんだからさ。あー、もうこんなことばかりだよ。あーどうしよーーー。うーん、どうしよーかー」
「じゃあさ、次の作戦を考えてみることにしようよー」
そう言うと、2人の天狗は山の上の方に飛び去ってしまった。しばらくすると、山の上の方から聞こえていた太鼓と竹笛の音が聞こえなくなっていた。すると、老人の天狗がやってきた。
老人の天狗は困った顔をしていた。
「お見苦しいところをお見せしてしまいました。ここ数日、あの子たちはあのような状態でしてね。ただ、新・遠野物語が盗まれたことは一大事なのです。巻物には世界を変える力があるのではないかと言われていますから。まったく、どうしたものか、本当に私たちは困っているんです…」
「あの、その盗難の件、私たちがお手伝いさせてもらえないでしょうか?」
と、生徒会長の声がした。
「おや、それは有り難い。では、お願いすることにしましょう。その代わり、私からも贈りものがあります。まだ、その少年は妖力の使い方に慣れていないようだ。あなたたちに従魔をお渡ししましょう。妖力の使い鷹について従魔は手助けをしてくれるはずです」
「ただ、1つ、お聞きしたいことがあります。新・遠野物語とはどういうものなのですか?」
「それは従魔に聞いてみてください。詳しいことを教えてくれるはずですよ…」
そう言い、老人の天狗が合図をすると、忍者の天狗が巻物を取り出していた。
忍者天狗は巻物を少年に手渡していた。
「その巻物はお前のものだ。さあ、受け取れ」
少年が巻物を受け取る。すると、巻物の紐が解け、辺りがむわんむわんと煙で覆い尽くされていった。
煙が収まると、少年の手に小さな黒猫が座っていた。
黒猫の黄色い目が少年を見つめていた。
突然、猫の声が聞こえた。
「はじめまして。ぼくはウパラと申します。では、最初に新・遠野物語について説明をさせてもらいますにゃぁ~」
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