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第26話 天狗

 山頂から男たちが現れていた。彼らは妖気をまとっていた。


 その時、山の方から太鼓の音が聞こえてきた。

 竹笛の滑らかな音が聞こえる。



 太鼓の音がドンドンドンと鳴り、その音は森の中を走り回っている動物たちのように躍動している。次に、竹笛の音色が聞こえてきた。ひゅーうぅーという竹笛の音は大きな川や林を通り抜ける冷たい風のようであった。



 ただ、その音には妖力が混じっていた。

 その音を聞いていると、少年の中のあやかしの魂が震えていた。


 少年は妖気を感じがしていた。段々と、少年の胸にある穴が痛みを感じていた。万が一、逃げるための準備もしておくべきだろうかと思っていた。



 ひりひりした妖気が満ちていた。

 ふと、少年は生徒会長の方に視線を向けていた。



「生徒会長、この場所にいるとおかしな感じがするのですが……」


 と、少年が言う。



 少年の手は震えていた。

 強い妖力に押しつぶされてしまいそうな感覚がしていた。

 すると、ミコト生徒会長の声が聞こえてきた。



「大丈夫。安心して。今日は土蜘蛛の事を説明するために来ただけだから。ただ、彼らは頑固だからね。変なことは言わない方が良いよ…」



 そう言うと、生徒会長は笑っていた。


 その時、山道を下りてくる男たちの姿があった。

 少年の前に男たちが立っていた。



 ただ、背が低い。

 背丈は小さな子犬ぐらい。


 小さな天狗のようである。

 彼らは鼻が長く、熱そうな山伏装束を着ていた。


 若そうな天狗が2人いて、その後ろに老人の天狗がいた。

 天狗は生徒会長に声を掛けていた。



「待ってましたよ。ミコト君、まあ、もう少し早く来てくれるとありがたいのだけどね…」



 と、眼鏡をかけた天狗の声がした。

 

「申し訳ございません」



 と、生徒会長が返事をした。



「まあ、良いさ。まったく、最近は町のあやかしどもが騒がしくてね。皆、出払っているんだよ。やはり、そいつの中にあるあやかしの魂のせいだろうか……」



 そう言うと、天狗たちはスクイ少年をにらみつけていた。

 それを遮るように生徒会長の声がした。



「あの、天狗様、今日は土蜘蛛の話であると聞いております。そちらの説明をしてもよろしいでしょうか?」


「まあ、待ちなさい。それよりもそこの少年のことだよ。お前、われらが保管していた新・遠野とおの物語を盗んだだろ?」



 天狗たちが手に持つ杖を大地に打ち付けていた。

 その時、太鼓の音が聞こえた。


 ドンドンドンという音が聞こえて、スクイ少年は困惑していた。

 音には妖力が混じり、少年の胸の穴に響いてくる。


「さあ、新・遠野とおの物語を返すんだ!!」


 また、天狗の声がした。

 その時、少年は胸を押さえつけていた。


「ちょっと、何を言っているんですか? ぼくは何も知りません。いったい、新・遠野とおの物語、それは何ですか?」


 と、少年は天狗たちにたずねた。



 すると、もう1人の天狗が返事をする。

 天狗は怒っているらしい。


「お前が、新・遠野とおの物語を盗んだんだろ!!」


 大きな声が聞こえてくた。

 後ろからは太鼓の音が聞こえてきていた。



 少年は困惑していた。



「新・遠野とおの物語、いったい、それは何ですか?」



 スクイ少年が返事をした。

 すると、後ろの老人の天狗の声が聞こえてきた。



「ほお、お主、本当に知らんのか? まあ、少しだけ説明をしよう。少し前、新・遠野とおの物語という巻物が盗まれてしまってな。あんな巻物が何の役に立つのかもわからないのだが、盗まれたからには探し出さなくてはならない。私たちは新・遠野とおの物語を探していた。そんな時、お主の噂を聞いたのだよ。本当に、お主は新・遠野とおの物語を知らないのかな?」


「いえ、知らないです…」


「なるほど、ただ、お主の言葉が真実であるのか、それを確かめなくてはなりませんな…」



 天狗たちが少年を見つめていた。

 

 少年は困惑していた。

 その横で猫又さんだけがニヤニヤと笑っていた。

 


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