第23話 戦いの終わり
「おかしい。どうして、何で、こんなことになっているんだよ……」
次第に、土蜘蛛が消えていく。
真っ黒い闇が土蜘蛛の周りを覆いつくそうとしていた。
ずっと、少年は土蜘蛛を見つめていた。
少年は身動きが取れなくなっていた。
胸にぽっかりと穴が開き、彼の中にあるあやかしの魂が2つに分かれていた。
土蜘蛛は跡形もなく消えていった。
もう少し、土蜘蛛から詳しい話を聞けばよかったと少年は思っていた。
「ざまぁみやがれ……」
猫又さんの声がした。
その時、彼は頭がクラクラしてきていた。
自分の中から、たくさんの妖力が抜けていくのを感じていた。
大の字に倒れていた。
少年は妖力が抜けてしまい、まったく体が動かせなくなっていた。
体の感覚が麻痺している。
まるで感覚がない。
きっと、あやかしの魂は2つに分かれてしまったせいだろう。
妖力を抑えつけることはできなかった。
「生徒会長、死んでしまったかと思いましたよ~」
猫又さんの声が聞こえた。
少年の隣には生徒会長が倒れていた。
彼女は意識を失っている。
少年の意識は混濁していた。
しばらくして、地下室にスーツ姿の男たちがビルの中に入ってきていた。
猫又さんと男たちが話をしている。
どうやら蜘蛛たちを回収する話をしているらしい。
「この世界で何かが起きようとしているようですね。こんな事件は初めてのことです……」
男の声が聞こえてきた。
少年の体は鉛のように重くなっていた。
起き上がれない。
地下室に入ってきた男たちは土蜘蛛の確認をしていた。
まだ、地下室の中には妖力が充満していた。
土蜘蛛が人間たちを殺し、この地下室の中でそのエネルギーを妖力に変えていたせいかもしれない。
次第に、少年は意識が曖昧になっていった。
その間、猫又さんと男たちの会話の断片が聞こえてきていた。
「もう、大丈夫。あやかしたちはいないようだ。ただ、そこの少年を私たちのところに連れてきてもらわないと困るけどね……」
男の声がした。
「そうですか、わかりました……」
猫又さんが返事をしていた。
少年は何も考えられなかった。
いつの間にか、少年は眠ってしまったらしい。
◇ ◇ ◇
「う、うーーーん……」
少年は目を覚ましていた。
眠っていたせいか口からよだれが垂れていたので、少年は慌てて手でゴシゴシすることにした。
ずっと、楽しい夢を見ていた気がする。
ただ、思い出せない。
そう言えば、さっき、ぼくはあやかしになったのだろうか……。
少年は意識をなくしていた。
あやかしの魂に体を奪られた時、少年は懐かしい記憶を見ていたような気がしていた。
うつらうつら、少年はまた目を閉じかけていた。
その時、体が揺れていた。
慌てて、少年は目を開けた。
地震か。
いや、違う。
横に誰かがいる。
視線を向けると、そこには生徒会長が眠っていた。
「ちょっ、スクイ君、何してるのよ~~~~!!!!!」
猫又さんの声が聞こえた。
その時、少年は驚いた。
自分が生徒会長を抱きしめていることに気が付いた。
うわー、どうしてこんなことになっているんだ!?
少年は自分に問いかけた。
少年の心臓が高鳴っていた。
どうしてこれほど心が揺れているのだろうかと少年は思う。
ずっと、少年は生徒会長を見つめていた。
少年の横では生徒会長がにやにやと笑いながら眠っていた。
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