第20話 猫耳カチューシャ
地下室の天井に、たくさんの小さな蜘蛛が張り付いていた。
じっと、こちらを見つめていた。
その時、土蜘蛛になった大男の声が聞こえた。
悲しそうな声であった。
「オレはな…。こんな世界にいたくないんだよ…。そうさ、これは悪夢なのさ。誰かが仕組んだことだ。しかし、そんなことにどうでもいいんだ。ただ、オレは元の世界に戻りたいんだ。そのために陰陽師の力を奪わせてもらうぞ……」
その声が聞こえ、土蜘蛛が合図をすると、天井から小さな蜘蛛たちが降りてきてこちらに近づいてきていた。段々と、小さな蜘蛛が部屋を覆い尽くしていった。
「どうやら、私たちも仲間を読んだ方が良いみたいね…」
猫又さんの声がした。
その時、地下室のドアが開いた。
突然、20人ほどの若い男たちが部屋に入ってきた。彼らは一様に猫耳のカチューシャを付けている。
その不思議な光景に、少年は硬直した。彼の視線は、入ってきた若い男たちに釘付けになった。一体、彼らは何者なのだろうか。
「さあ、そこにいる蜘蛛たちを殺しなさい!!」
猫又さんの声が聞こえてた。
「うぉー、猫又さんのために頑張るぞ!!」
若者たちは、小さな蜘蛛と激しく戦っていた。どうやら彼らは猫又さんに操られているようであった。猫又さんは彼らに命令を下していた。
彼らは猫又さんの従属となり、猫耳カチューシャを付けさせられていた。これは、駅前で猫又さんに声をかけた男性たちなのかもしれない。従属の証として、猫耳カチューシャを縛り付けられていた。その横で、生徒会長が3匹の白い犬を召喚していた。その白犬たちが小さな雲の相手をしていた。
「何だ、あいつらは…。まあ、良いさ。最初に、お前から殺すことにしようか…」
土蜘蛛の大男の声がした。
少年の前に、巨大な土蜘蛛が立ちはだかっていた。
その体長は5メートルにも及ぶ。
土蜘蛛の足は槍のように長く、先端にはフックを思わせる鋭い爪が付いていた。その口は、あらゆるものをかみ砕くかのように迫ってきた。
普通の人間ならば、その恐ろしい姿を一目見ただけで気を失ってしまうだろう。
しかし、少年は違っていた。
彼は恐怖することなく、土蜘蛛を見つめていた。
「お前、何故、恐れない。さらにお前からは妖力を感じるのだが…」
土蜘蛛の声がした。
「あの、土蜘蛛さん、ここだけの話ですけど、ぼくの仲間になってくれませんか?」
「仲間だと…」
「ちょっと声が大きいですよ。実は、ぼくはダンジョンを作っているんです。きっと、土蜘蛛さんが目覚めたのもぼくが影響しているのかもしれません。だから、ぼくと一緒にその謎を解き明かそうとは思いませんか?」
その時、土蜘蛛は少年の体をじっくりと見つめていた。
「俺には、お前の言っていることがよくわからない…。ただ、こんな場所にはいたくないのだ。だから、あの陰陽師の魂を渡せ。そうすえればお前のことは許してやろう…」
「うーん、やっぱりそういう感じなんですかね…。ちょっとぼくの秘密を話してもいいですか?」
そう言い、少年は土蜘蛛のほうに歩いていこうとしていた。
しかし、少年は動けなかった。
少年は自分の足に視線を向けてみた。
糸が巻き付いていた。
どうやら土蜘蛛の糸にとらわれてしまったらしい。
「おや、やっと気が付いたみたいだな…。それはオレの糸さ。粘着力があり、どんなに力を入れても切ることはできない。お前は捕まったのさ。さあ、お前の魂を貰うことにしようか。そうすればお前の力を得ることができるかもしれないからな」
土蜘蛛が糸を引っ張っている。
足が動かない、と少年は土蜘蛛を睨みつけていた。
土蜘蛛の糸は部屋を覆い尽くしていた。
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