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第18話 おとり捜査?

 助けた女性が同じ学校の生徒であると気が付くと、生徒会長は女子高生に声を掛けていた。「あなた、倉田カナさんですよね?」と言う。彼女は、うん、と頷いていた。


「どうしてこんなところにいるんです? おかしな奴に付いていったらダメですよ……」


 生徒会長の声がした。


「違うの!! 友達と待ち合わせしてたら、あいつらが私の腕をつかんで、ここまで連れてこられたの、本当に怖かったわ!!」



 そう言うと、女子高生は泣き出していた。


 少年は女性を見つめていた。

 ただ、彼女は操られているような気がしていた。きっと、生徒会長もそのことには気が付いているはずだと思っていた。



「友達との待ち合わせ?」


「そうなの。だけど、もう怖くて…」


「じゃあ、私たちがその友達の所まで一緒に付いて行ってあげます。また、変な目に遭わないようにね」


「うそ、ありがとー」



 そう言うと、倉田カナは生徒会長の腕にしがみついていた。



 生徒会長は困惑していた。

 ずっと、少年は倉田カナを見つめていた。


 彼女からわずかな妖力を感じていた。きっと、生徒会長も猫又さんも気が付いているはず。猫又さんの顔はピリピリして、操られていることを確認しているような感じである。待ち合わせ場所に向かうため、街の中を歩いていると、突然、倉田カナが動こうとしなくなっていた。



「あのー疲れてしまってー。少しだけ休憩してもらえませんか?」


「そうね、少しだけ休みましょう…」



 仕方がなく、近くにある喫茶店に入ることにした。


 少年はポケットの財布を見つめていた。

 どこにも金がない。


 何も買うことができそうにないので、諦めて水でも飲もうとしていると、倉田カナが支払いをしてくれると言っていた。こんなことで騙されるわけがないと思いながら、少年はメロンソーダフロートを頼むことにした。


 4人席のテーブルに座ると、しばらく休憩をすることになった。



 メロンソーダフロートのアイスをストローで抄っている。

 すると、倉田カナの声が聞こえてきた。



「生徒会長、こんなに強いなんて思っていなかったです!」


「まあ、普段、こんなことはしないからね……」


 生徒会長が笑っていた。


「どうしてあの場所にいたんですか?」


「私は陰陽師の家系なんだ。ある人からS市の調査を依頼されて……」


 それを聞いて、少年は驚いた顔をした。


 あやかしに操られているかもしれない相手にそんな話をして良いのか、いや、おとり捜査的な対応なのかもしれない、しばらくは様子を見てみよう。


「陰陽師なんてすごーい!」


「はははっ、そんなことはないです。小さい頃、私の中におかしな力が宿っていることがわかって、その時、私は陰陽師から捨てられてしまったんです。それからはある人に育てられていることになったんだから…」


 少年は生徒会長に視線を向ける。

 そんな話をして良いのだろうか、気が付いていない何てことがあるのだろうか。



「じゃあ、陰陽師の仲間が来ているわけではないんですねー?」


「私に陰陽師の仲間なんていないから…」


「へぇー、そうなんですね。あー、ちょっと休憩したら、元気になったみたいです。では、友達の所に行きましょうか!!」



 倉田カナが言う。



 彼女の顔は悪だくみでもしているような笑顔で満ちていた。

 あやかしの所まで連れていくつもりなのだろう。 


 おとり作戦としてなら成功と言えそうな気がするけど、きっと、そんなことはないんだろうなと思いながら、倉田カナに付いて人込みの中を進んでいく。段々、不穏な妖気が強くなってきていた。倉田カナは催眠術にでもかかってしまったようにぼんやりとした目をしていた。



「さあ、こっちです……」



 と、倉田カナの声がした。




 妖気が濃くなってくる気がした。

 坂道を転げ落ちてしまうかのような感覚に襲われる。

 この先に何がある。



 少年は立ち止まりそうになった。



「これ以上、この先に行く必要があるのかな!? 凄い嫌な感じがしますけど……」



 と、少年は言っていた。

 それを聞いて、カナが返事をした。


「どうして~、私はこの先に行ってみたいな〜。きっと、大事なものがあるような気がするんだ。だから、嫌なら帰ってもいいよ。そう言えば、用事があるんじゃなかったっけ?」



 カナが近づいてきていた。

 彼女からは心の中に入り込むような甘い匂いがしていた。


 ずっと、カナは笑っていた。

 どうして彼女は笑っているのだろうか。



 ふいに、少年は倉田カナの後ろにある糸を切ることにした。



 突然、カナは意識をなくした。

 やはり、彼女は操られていたのだろうか。そう思っていると、異様な妖気があたりに溢れていた。近くのビルの地下に向かう階段から大量の糸が飛び出してきていた。



 それは一瞬のこと。



 彼女がビルの地下に引きずられていく。

 気が付いた時、倉田カナは階段の下へ姿が消えていた。


 生徒会長と猫又さんが追いかけようとしていた。

 少年がそれを止めていた。



「待ってください! 彼女はあやかしに操られていました。このビルの下にはあやかしがいる可能性があります!」


 少年が言うと、生徒会長と猫又さんが驚いた顔をしていた。


 どうやら気が付ていなかったらしい。

 説明すべきだったのかもしれないなと思っていた。



 少年は地下に向かう階段を見つめていた。

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