第13話 忌み子とアイス
生徒会室のドアをノックすると、中から「どうぞ」と生徒会長の声が聞こえてくる。ゆっくりと少年はドアを開けることにした。
「やあ、来てくれたんだね」
生徒会長は笑顔で少年を迎えたが、少年はまるで危険な猛獣がいる場所に入ったかのような緊張を覚えていた。できることなら、この場所を離れたい。ダンジョンでの光景を思い出すと、緊張のために背中に汗を感じていた。
「さあ、座ってくれ」
その言葉を聞いて、スクイ少年が椅子に座ることにした。
ただ、少年は生徒会長を見つめていた。
ダンジョンの秘密を話さないよう注意することにした。
きっと、ダンジョンの秘密が明らかになれば大変なことになると考えていた。
「スクイ君、君にお願いがあるんだ。どうか、生徒会に入ってくれないか?」
と、生徒会長が言う。
その声を聞くと、生徒会長からは強い意志を感じ取ることができた。
適当な返事をすることはできそうになかった。
「ぼくが生徒会にですよね?…」
「うん。君に、生徒会に入ってほしい…」
「生徒会長、それは、ぼくの中にあるあやかしの魂が気になっているということですよね…」
「知っているみたいだね?」
「少しだけです。詳しいことはわかりません…」
「なるほど…。あやかしの魂なんて不安になるだろうね」
生徒会長は腕組みをしていた。
そのまま、
「私があやかしの魂に気が付いたのは幼稚園の頃だったかな。自分の中にあやかしの魂があることに気が付いた。そのせいで私の家系では忌み子のように扱われてしまったんだけどね……」
と、言っていた。
ミコト生徒会長は笑っていた。
その笑顔の裏にはどこか悲しげな表情があった。
「忌み子?」
「まあ、その話は後でしよう。お願いなんだ。スクイ君、生徒会に入ってくれないか?」
「生徒会ですよね……」
「ダメかな?」
少年は不安になっていた。
もしかすると、生徒会長は自分にダンジョンの秘密を追及してくるのではないかと思っていた。
しかし、そうではなかった。
ただの勧誘でしかなかったらしい。ただ、あやかし、忌み子について話す彼女の考えていることがわからないでいた。
すると、生徒会長の声がした。
「ゆっくり考えてほしいんだ。そうだ、アイスをもらったんだけど。スクイ君も食べないか?」
「え、アイスですか……」
少年は甘いものに目がなく、特にアイスが大好きであった。
テーブルの上にアイスが置かれているのを見て、思わず反応してしまったらしい。
少年は生徒会長の方をそっと一瞥していた。
生徒会長は笑顔を見せていた。
「気にしないで食べてくれていいよ」
生徒会長の声がした。
少年は、自分の甘いものへの反応が気づかれたのではないかと心配になっていた。
しかし、アイスの誘惑には勝てず、食べずにはいられなかった。
「はい…」
すぐに、少年はアイスを食べることにした。
シャリッと音を立てて、少年は小さなアイスをすくうことにした。
冷たくて、甘くて、それでいてふわふわしていた。
自然と、彼の手が動き続けていた。
白いアイスが心まで清らかにしてくれると感じていた。
「君、甘いものが好きなのかな? 生徒会に入れば、甘いものを食べることができるんだよ~」
と、猫又さんが猫なで声で誘惑してくる。
ピクリと少年が反応する。
しかし、すぐに顔を左右に振っていた。
「む…、無理です。ぼくは勉強ができるわけでもないですし、生徒会に入っても何のお役にも立てないと思うんです……」
少年はダンジョン作りに夢中だったせいで、ふと、生徒会活動も楽しそうだと感じ始めていた。
アイスを食べながらの生活にも魅力を感じる。
しかし、彼はそう簡単に気持ちを変えることには抵抗があった。
生徒会長の声が聞こえてきた。
「大丈夫。心配をする必要はないよ。私が君の手助けをするのだからね」
生徒会長が何かしらの理由で自分を生徒会に入れたがっていると感じていた。その理由が何であるのか、少年は確かめたいと思っていた。それが「あやかしの魂」に関係しているのではないかと考えていた。
「ちょっと、お聞きしたいことがあります。どうして、生徒会長はそんなにあやかしの魂のことを気にしているんですか?」
生徒会長が立ち上がる。
「じゃあ、少しだけ私の話をしようか…。私は陰陽師の家系なんだ…」
と、彼女は言っていた。
それを聞いて、少年はアイスのスプーンにかじりついていた。
「私はあやかしの魂を救いたいと思っている。あやかしの魂を弔ってあげたい。陰陽師である私がね。そのために君の中のあやかしの魂が欲しいんだ……」
少年は返事をすることができなかった。
すると、生徒会長があやかしについて話しかけてきていた。
「陰陽師だからこそ、私はあやかしの魂を救ってあげたい。魂を戻してあげたい。どうだろう、わがままだと思うかな?」
「わからないです…」
「そうだね。ただ、私の願いをかなえてくれないか?」
生徒会長の声がしていた。
彼女は真剣な顔をして少年を見つめていた。
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